今さら聞けない? 上限規制 ー 労基法改正 4つのルール
政府の働き方改革実行計画に基づき、国会で労働基準法 (労基法) の改正が議論されています。
改正内容のひとつに、これまで実質的に上限がなかった時間外労働時間 (残業時間) を制限する 「上限規制」 の導入があります。この上限規制には大きく4つのルールがあります。このルールは2024年に建設業にも適用される予定であり、今後の私たちの働き方に大きな影響がありますのでご紹介します。
年間720時間ってことは毎月60時間にすればいいの?
ルール① は年間720時間以内となっています。これを月平均にすると60時間になります。
しかしながら、ルール④ で45時間を超えるのは年6回までとされているので、毎月60時間では法律違反になってしまいます。
※ この法律は現在 (2018年3月現在) 国会にて審議中です。法施行は2019年4月、建設業について
は施行から5年後から適用になる見込みです。
また、国会の審議いかんによっては内容が変わることがありえます。ご注意ください。
そもそもなぜ規制が必要なの?
短期間における過重労働や、慢性的な長時間労働は脳・心臓疾患のリスクが高まるといわれており、一つの目安に月100時間、2~6ヶ月の平均が80時間を超えると病気と長時間労働との関連性が強いとされています。
そのため、ルール②③ では上限時間に休日労働を含むこととしています。
働き方改革実現会議では、健康確保のみならず 「女性や高齢者が働きやすい社会」、 「ワーク・ライフ・バランスの改善」 などの必要性が議論され、今回の規制に至りました。
所定? 法定? 何が違うの? 土曜日出勤は休日労働?
今回、①~④ のルールは便宜的に 「残業時間」 としていますが、正しくは 「法定外労働時間」 です。
また、似た言葉も多く少しややこしいので、今回はこれらの言葉の違いも解説します。
今回の上限規制は 「残業時間規制」 などとも呼ばれますが、定時が8時間の会社 (8時~17時など。休憩時間は除く )以外では、「残業時間」 とは異なることに注意しましょう。以下の例 (定時が7時間、日曜日が法定休日) を参照して下さい。
まとめ
これまでも労働時間の上限時間に関する決まりは存在していました。しかしながら、法律で定められたものではなく罰則もなかったため、事実上、実効性を持っていませんでした。さらに、建設業には上限が適用されない業種とされていました。今回の法改正では、5年の猶予期間はありますが、建設業にも他産業と同様に上限規制が導入されます。
時短アンケートの結果などをみると、全体平均で月の残業は45時間を超えており、特にルール④ は高いハードルです。しかしながら、今回の規制は罰則付きの法律になるため、会社は必ず上限内で働かせなければなりません。そして、私たち自身もこの上限規制を守っていく必要があります。
まずは一人ひとりが上限規制の内容を充分に理解し、時短を進めていきましよう。