学生の就職意識 ! ― 日建協出前講座2017
日建協では、将来の建設産業を担う土木・建築学科の学生たちにゼネコンの仕事や魅力を正しく知ってもらうため、2006年度より全国の大学や研修センターで出前講座を開催しています。2017年度は5大学、1研修センターで開催し、合計502名が受講しました。
学生には 「就職に対する意識」 と 「いつ頃から将来を意識し始めたか」 についてアンケート調査し、各大学の教授とは今の学生の特徴や就職に対する傾向について意見交換しました。それを基に学生が 「何を重要視して就職先を選択しているか」 「ゼネコンを就職先としてもらうためには何が必要か」 を見てみました。
1.学生の就職に対する意識
昨年同様希望就職先の第1位はゼネコンとなり、次いで設計事務所・コンサルタント、官公庁となりました。一方で学生がゼネコンを志望しない理由のトップに 「労働時間」、第3位に 「休日」 が挙がっています。依然として 「ゼネコン=長時間労働」 のイメージがあるようです。 「仕事の内容」 「仕事のやりがい」 については引き続き産業として仕事の醍醐味などを伝えることが必要であると思います。
ではどのように発信すれば良いか、学生がどういった情報を基に就職活動をしているかを次項で見てみましょう。
2.学生の情報収集ツール
ゼネコンへの就職希望に関わらず、情報収集に 「TV」 や 「新聞・雑誌」 を利用している学生は少数という結果になりました。授業や現場見学会・インターンシップなど学校のカリキュラムに組み込まれている項目に回答が多い中、近年インターネットを利用する学生も多いようです。
学生への影響は現場に触れる機会である現場見学会や、若者が慣れ親しんでいるインターネット経由がより効果的と思われることから、建設産業の魅力発信の方法を考える必要があります。
次に建設産業のアピールが効果的な時期について見ていきます。
3.将来を意識し始めた時期
建設産業を意識した時期について、65.8%の学生が高校時代と回答しています。大学進学を含め、自身の将来について少し踏み込んで考える時期なのでしょう。一人でも多くの学生に建設産業を選択肢の一つとしてもらうためには、意思決定を行う高校以前に記憶に残るものに触れることが重要と考えられます。
現在も産業をあげて現場見学会を開催するなど魅力を発信していますが、前項の情報収集ツールの結果と合わせてみて、現物に触れるインターンシップの受け入れ増加や、インターネットによるコンテンツの配信など、時代のニーズにあったアピール方法を模索していくことも必要です。
大学教授の声
出前講座に合わせて、大学教授と意見交換会を行っています。
最近の学生の傾向や、就職活動についていただいた意見・感想をご紹介します。・今の学生は、何事にも周りと同じものを望む。就職についても友達が完全週休二日の会社
であれば同じ条件を探す。他産業の水準を意識した方がいいのではないか。
・給料なども気にしてはいるが、昔に比べ優先順位は下がってきているようだ。
・先輩から情報を聞いて、ゼネコンを避けている学生もいる。
・自分の思いを内に秘め、表に出さない学生が増えているイメージである。
・各企業も就職担当教授には接触しているが、直に学生に接する各教授に建設産業をアピールしてもいいのでは。
2017年度 出前講座を振り返って
建設系の学生にとってゼネコンは有力な就職先ですが、労働時間の長さや休日の取りづらさを気にしている学生が多いようです。特に学生と教授双方から声のあった 「先輩から労働実態を聞いておりゼネコンを避ける」 という問題は、私たちが時短を進めていくことで解決していかなければなりません。
情報収集の方法としては、現物に触れられる現場見学会が多い一方、インターネット経由も増えていることがわかり、アピールする時期に関しては進路を決める高校以前での働きかけも効果的と考えられます。政・労・使それぞれが情報発信していく必要があるのではないでしょうか。
日建協でもより多くの方に建設産業を理解してもらうため、次年度の出前講座では担当教授に限らず参加の呼びかけを行い、ゼネコンの魅力発信の幅を広げていきたいと思います。