建設産業の魅力向上と労働環境の改善にむけて(日建協 2019年度政策提言活動)
日建協では、毎年政策提言書を作成し、国土交通省本省や各地方整備局(内閣府沖縄総合事務局を含む)に対して政策提言を実施しています。2019年度は、新型コロナにより開催時期について制約を受けましたが、Web会議開催など感染予防に配慮しながら開催しました。主な提言とその回答をご紹介します。
政策提言書はどうやって作るの?
① 土木・建築アドバイザー会議を開催し、会議での意見も参考にして作成しています。
・4週8閉所実現、所定外労働時間削減など産業が抱える課題の解決について
・毎年10月に実施している作業所アンケート(土木・建築)の結果
・加盟組合からの意見
・継続して提言することが必要な事項② 各提言の根拠として、作業所アンケートの分析結果と自由筆記に 書かれた組合員の切実な
・ 意見を引用しています。
※ 作業所アンケートの分析結果は日建協HPに掲載しています。
政策提言書はどんな内容なの?
2019年度は以下の6つのテーマで提言をしました。
1. 週休2日(原則土曜閉所)を実現するために
2. 所定外労働時間の削減にむけて
3. 民間発注者の土日閉所への理解のために
4. 災害復旧工事への対応による既存作業所への配慮を
5. 国交省各種施策の普及・改善について
6. 単身赴任者の帰宅旅費非課税化にむけて
■政策提言に対する主な回答を紹介します。
1.週休2日(原則土曜閉所)を実現するために
国交省発注工事における週休2日(原則土日閉所)の義務化を継続して提言しています
●国交省の「建設業における週休2日推進」の方針により、国交省(内閣府沖縄総合事務局を含む)発注の工事は原則全て週休2日としている。ただし、緊急を要する災害復旧工事や土日に施工することが望ましい工事もあるので、土日閉所に固執せず、4週8休、週休2日と柔軟に考えている。
●国交省でも、建設産業の週休2日定着にむけた意識改革、価値観の転換において、4週8閉所の取り組みは重要であると捉えている。今後は、「工期に関する基準」の適切な運用がなされるよう注視していく。
2.所定外労働時間の削減にむけて
2018年度より国交省発注工事での短時間稼働作業所(作業所稼働時間9:00~16:00)の試行を提言しています
●現状の作業所稼働時間(8:00~17:00)が労働者の所定外労働時間発生の要因であることは理解する。
●作業所の稼働時間は受注者の専権事項なので発注者から稼働時間を指定することは難しいが、受注者が主体的に短時間稼働作業所を試行するために工期延長を要請する場合には協議の余地はある。
5.国交省各種施策の普及・改善について
「ウィークリースタンス」は所定外労働時間削減に効果があるので、業務委託分野だけでなく、すべての工事への適用を提言しています
●すでに工事に適用している地方整備局(北海道、東北、北陸)の事例を調査し、適用について検討する。
●中国地方整備局では新たに本年4月より工事への適用を開始した。
「ウィークリースタンス」って何?
・休日明けを依頼期限にしない(マンディ・ノーピリオド)
・水曜日の定時退社(ウェンズディ・ホーム)
・休前日に新たな依頼をしない(フライディ・ノーリクエスト)
・16時以降は打合せをしない
・作業内容に見合う作業期間の確保
6.単身赴任者の帰宅旅費非課税化にむけて
帰宅旅費非課税化にむけた活動への理解と協力を要望しています
●国交省としては、税制改正要望は所掌外なので回答を控える。
●外勤既婚者の約4割が単身赴任している現状と、官庁発注工事における監理技術者の資格要件や実務経験の指定が、単身赴任を生じさせる要因の一つになっていることは改めて認識した。
2020年度 政策提言活動にむけて
国交省では、建設業法改正など働き方改革の促進にむけた取り組みが進んでいます。日建協の提言に対して、中国地整がウィークリースタンスを適用するなど、改善が進んでいると感じます。
新型コロナの影響による景気後退が懸念され、経済の先行きが不透明な状況ですが、建設産業の魅力向上と労働環境の改善にむけ、今こそ政労使が同じ方向を目指していくことが重要です。日建協は、組合員の皆さんの声を各種アンケートなどで収集し、政策提言にまとめ積極的に意見発信していきます。
2020年度の政策提言にむけ、組合員の皆さんの忌憚のないご意見を日建協へお寄せください。
作業所アンケートの分析結果、政策提言の内容はこちらに掲載していますのでご覧ください。