労働組合の大事なおしごと! 賃金交渉時に組合はどんなことを検討してるの? 2025賃金交渉
今年も賃金交渉の時期となりました。賃金交渉は組合員の生活の基盤となる給料を含めた労働条件を改善するための大事な交渉です。今回は組合活動でも特に重要性の高い、賃金交渉における労働組合の役割をご紹介したいと思います。
そもそも賃金交渉とは?
労働組合は賃金などの労働条件の改善について要求し、新年度に向けて使用者(経営者)と交渉します。
現在の春闘方式は1956年から始まったと言われており、労働組合は、全国中央組織の労働団体や産業別組織の指導・調整のもとに統一行動をとることで、連帯性と相乗効果を発揮し、団体交渉を行います。
労働組合には団体交渉権があり、憲法第二十八条により保障されており、使用者は団体交渉を正当な理由なく拒むことは禁止されています。
労働組合の有無から見る賃上げの傾向
労働組合があるか無いかで、何か変わりはあるのでしょうか。
厚生労働省の調査によると、労働組合のない企業と比べて、労働組合がある企業の方が賃上げが実施されやすく、平均賃上げ率も高い傾向にあります。
2024年の結果を見てみると、賃上げ実施率で約9%、賃上げ率は平均1%高いことが分かります。
ちなみに…
団体交渉の成り立ちは産業革命期まで遡ります。賃金労働者(プロレタリアート)が資本家(ブルジョワジー)に対して交渉するに際し、労使の力関係の不均衡により個人単位での交渉が困難であったため、労働者階級が一致団結し、処遇改善を求めた労働運動に端を発します。
賃金交渉にあたって検討すること
組合が要求書を作るとき、主に次のようなことを検討します。
●月例賃金
生活基盤となる賃金表の改定によるベースアップを目指すとともに賃金カーブが適正なものであるかを検討する。
●一時金
企業の業績に影響されるものの生活給としての側面もあるため、月例賃金を含め要求の優先度を考えることも必要である。
●初任給
産業の魅力化の観点で欠かせない項目。賃金カーブの全体的な底上げにもつながることも考えられる。
●付帯要求
組合員ごとの不公平感を無くすためには、手当や制度の新設・拡充を検討することも重要である。
日建協が目指す賃金水準(定例年収)
下のグラフは日建協が目指している賃金水準の3つのラインです。ラインは上から順に先行ライン(理想的な生活レベル)、標準ライン(平均的な生活レベル)、必要ライン(必要な生活を保障するレベル)としており、各加盟組合は目指すべきラインを自ら定め、この水準を参考に要求金額を検討しています。
例えば標準ラインにおける35歳ポイントでの年収は7,882,050円となります。参考までに厚生労働省の資料によると全産業の平均年収は5,991,600円であり、日建協の標準ラインとの差は1,890,450円あります。日建協では建設産業が他産業に劣らぬ魅力を持てるように、約3年に1回この3つのラインを改定します。
組合活動に馴染みの無い方にとっては組合の成果は実感しにくいかもしれませんが、組合は賃金交渉をはじめ、みなさんの労働条件を改善するための重要な役割を担っています。
しかし、組合が力を発揮するためには、組合員ひとりひとりの意見発信が大事になります。より良い賃金交渉とするために、みんなで連帯して頑張っていきましょう!