きっと変わるはず・・・変えなきゃいけない ― 建築(民間工事)受発注を適正な工期で

こんにちは! このたび適正工期推進マスコットを拝命しましたテキセイインコです。

僕の役目は、適正工期での受発注を推進すること。そして、そこで働く全ての人たちのワーク・ライフ・バランスを実現させ、魅力と活気に溢れた建設産業をつくること。 重責だけど、やるからにはぜったい何か変えてやる! 実現してやる! と真剣に思ってます。一生懸命頑張りますので、これからヨロシクお願いしますね。

では勉強のために、日建協が行っている建築(民間)提言について詳しく聞いてみたいと思います。

 


Q  建築作業所で働く仲間からは、「休む暇もない」なんて聞くけど、所定外労働時間の現状はどうなの?

A  下のグラフを見て! 建築外勤職の過去10年の所定外労働時間は、平均で80時間/月を超えていて、2012年は、99.1時間/月という最悪の状況なんだ。


Q 99.1時間。それは大変な数値だ! その長時間労働の要因は何だと考えているの?

A  長時間労働の理由を聞いたら、「工程が厳しくて休めない」という声が多かったんだ。そこで工期に着目したんだ。


Q  工期について、法律に定めはないの?

A  建設業法では、着工日・竣工日・引渡日は契約書に記載するよう定められているけど、休日条件は定められていないんだ。受発注者の合意があれば、どんな工期でも契約出来てしまう。国交省が策定した「発注者・受注者間における建設業法令遵守ガイドライン(*1)」では、「適正な工期設定を必要とする」って書いてあるけど、明確なルールは無いんだ。

*1 発注者・受注者間における建設業法令遵守ガイドラインhttp://www.mlit.go.jp/common/000234749.pdf


Q  ガイドラインに記載されている「適正な工期設定を必要とする」じゃ明確なルールにならないの?

A  日建協では、4週8休を含む不稼働日を考慮した工期(日建協標準工期(*2)の考え方)が適正であり、適正な工期で受発注が行われるべきと考えているんだ。だけど、発注者、受注者など立場によって解釈は様々で、統一したルールの運用には至っていないのが実情。だから、ルールづくりにむけた活動をしてるんだ。

*2 日建協標準工期  http://nikkenkyo.jp/archives/1104


Q ルールづくりにむけた活動って具体的にどんなことしてるの?

A 工期に関するルールの必要性について、関係機関に対して働きかけを行っているんだ。その他にも、工期の問題をたくさんの人に考えてもらうために、広報活動も行っているんだ。これから紹介するよ。

 

行政発注工事は民間工事の模範となるべき。休日条件の明記された公共建築工事標準仕様書(※)の内容を周知徹底願いたい。

国土交通省
行政として民間の契約には介入できないが、受発注者がともに会する説明会などで公共建築工事標準仕様書の施工条件を継続して周知に努める。
※ 公共建築工事標準仕様書では、行政機関の休日に工事は行わない旨が記されています。


適正な工期で受発注できるルールづくりの必要性についてご理解いただきたい。

設計者団体・資格者団体
必要性は理解できるが、適正な工期は、施工者が中心となり示すべき問題だ。しかし、産業が抱える問題は、産業全体で考えていくべき。意見発信を続けて欲しい。


民間建築工事において適正な工期の目安となる標準的な工期設定の考え方を会員企業へ示していただきたい。

業界団体
適正な工期の必要性は理解できる。このような提言を労働組合が行うことは良いことだと思う。業界団体としても適正な工期について検討する。


適正な工期で受発注できるルールづくりにむけて提言活動を継続する。支援、協力をお願いしたい。

企業経営者
過当競争の中、一企業の努力では解決が難しい問題だ。過度に短い工期設定で契約することを規制やルールで防止すべきと考える。意見発信を続けて欲しい。

 

日本建築学会主催の第29回建築生産シンポジウムで発表!
建築生産シンポジウムで有識者にむけて発表を行いました。建設産業の魅力向上には、「適正な工期設定により健全な労働環境を実現することが必要である」と強く訴えました。

 

建設専門紙に意見広告を掲載!

7月29日に建設専門紙に意見広告を掲載しました。「働くすべての人たちがきちんと休める工期」が適正な工期であると訴えました。  →


Q  これまでの提言活動を振り返ると?

A  関係機関への継続的な働きかけや広報活動により、ルールづくりの必要性について産業全体の理解は深まっていると感じます。今春、業界団体である日建連は、「民間工事における適正な受注活動の徹底に関する決議」を行い、その中で「適正な工期の確保」を会員企業に促しています。6月には、国交省が主要な民間発注団体に対して適正な工期設定を要請、7月には、日建連が国交大臣に対して、官民の建設工事発注者に対して適正な工期設定を徹底するよう要請しました。これまで私たち日建協が訴え続けてきた「適正な工期」について、考える機運は確実に高まっています。最後に建設産業を取り巻く動きを紹介して今日の勉強会は終了にします。気になるところは検索してみてください。真剣に伝えたかったので硬い表現になったけど、少しは役に立ったかな。今日は一日お疲れさまでした。

 

国土交通省
●復旧・復興事業における施工確保対策策定/建設業団体トップに大臣が直接要請
●担い手確保・育成検討会設置/検討項目
   1.専門工事業者等評価        2.技能労働者技能の「見える化」
   3.登録基幹技能者の更なる普及
   4.技能労働者に対する教育訓練    5.戦略的広報

●今後の建設産業政策及び入札契約制度の検討の方向性取りまとめ/4つの改革理念
   1.単発の個別品質に加え、中長期的な担い手の確保
   2.時代のニーズに応えられる官民パートナーシップの実現
   3.企業評価・選定の理念の明確化と行き過ぎた価格競争の是正
   4.元請から技能労働者まで施工体制全体の持続可能性確保

●公共工事設計労務単価15%引上げ実施/
建設業団体、公共発注者及び民間発注者に対して技能労働者への適切な賃金水準の確保を要請(都道府県も同水準へ)
●社会保険未加入対策推進協議会設置/
下請企業から元請企業へ法定福利費を内訳明示した標準見積書の提出を一斉開始、主要民間発注者団体にも理解求める

業界団体
●復旧復興事業の迅速かつ円滑な施工確保を会員企業に周知
●民間工事における適正な受注活動の徹底に関する決議/決議内容
   1.適正価格での受注の徹底
   2.適正工期の確保
   3.適正な契約条件の確保

●社会保険未加入対策の一環として労務賃金改善等推進要綱決定/改めて重層下請構造を含め、技能労働者の確保、育成に向けた総合的な取組みの推進を決意
●東京五輪等に係る事業の執行について提言
●公共事業の適切な執行に関して決議/決議内容
   1.迅速かつ円滑な公共事業の施工の確保
   2.労働者への適切な水準の賃金の支払い
   3.社会保険等への加入の促進
   4.適切な価格での契約と脱ダンピング受注の推進

民間発注者団体
●施工者とWin-Winの関係構築を目指す(コメント)
●人の問題を含め、建設産業の構造改革に期待する(コメント)

その他
●防災・減災等に資する国土強靭化基本法案が国会審議
●品確法・入契法・建設業法 改正法案が国会提出予定
●ハローワークで建設業の人材斡旋を強化

数十年の時を経て、再び首都東京に聖火が灯ることになりました。2020年という明確なタイムリミットが示されたことで、建設産業も課題解決にむけて更に動きを加速させることが予想されます。オリンピックの開催は、私たち建設産業で働くものにとっても、その魅力をアピールできる絶好の機会であり大変喜ばしいことですが、短期間に大規模な事業が進められることから、私たちの労働環境は益々の悪化が懸念され、決して手放しで喜べる状況とは言えません。

日建協ではこのような状況の変化を的確に捉え、これからも建設産業の魅力向上、組合員の労働環境改善をめざして、中長期のビジョンを描きつつ建築(民間)提言活動に取り組みます。これまで訴え続けてきたことで機運は確実に高まっています。産業全体に正のスパイラルをおこす絶好のタイミングです。

組合員のみなさん! ともに声を大にして発信していきましょう。

―― 産業の明るい未来をめざして ――