続・東西細見28 ― 佐藤秀労働組合
設計者である佐藤秀三は「自分の設計を納得のいく形で完結し、お客様にご満足いただくためには、自ら施工も手掛けなければ」との強い信念のもと、昭和4年に佐藤工務所を創業しました。以来85年に渡り「誠心誠意」「お客様の身になって」をモットーとして品質にこだわり続け、株式会社佐藤秀はお客様の思いをかたちにしてきました。
佐藤秀労働組合は、組合員一人ひとりが「理想の建築は私たちが!」との志を胸に安心して働ける職場環境をめざして、日々取り組みを進めています。
◆ 設 立 : 昭和23年5月
◆ 組合員数 : 77名(平成27年1月末現在)
◆ 組織率 : 59%
◆ 執行委員数 : 5名
◆ 執行委員会 : 月2回程度
安定した生活と安心して働ける環境をめざして!
「ともに成長 “家族” と “会社” 」を今年度スローガンに掲げ、組合員とその家族が安定した生活をし、そして組合員一人ひとりが安心して仕事に取り組めるよう、賃金水準の向上に注力しています。特に組合員の意見・意向を第一に考えて会社と交渉を進め、皆が納得のいく回答をめざしています。また、目標面接や成績評価の公平性がとても重要であると捉えており、賃金の実態調査とあわせて面接実施に関するアンケートを毎年行い、制度運用が適正にされているかを労使で確認しています。
当社の賃金制度は定期昇給が無く、会社業績に応じた昇給原資を成績評価に応じて社員に分配する形であるため、将来的には、安定した昇給をめざして賃金表を整備するなど、あるべき賃金体系の確立に取り組んでいきたいと考えています。
まず休もう! 出かけよう! そして仕事しよう!
労働環境面では、受注環境の厳しさから長時間労働が常態化し、組合員のモチベーション維持が喫緊の課題となっています。きっちり休んでリフレッシュすることで、仕事への活力や新しい発想が生まれてくるのではないかと考え、まずは休日取得の促進に重点を置いて活動しています。「一人ひとりが休む意識を持つことが重要」との認識のもと、組合員自らが少なくとも年2日くらいは計画的に閉所することを期待して、日建協統一土曜閉所運動に取り組んできました。また、作業所異動時休暇やアニバーサリー休暇の取得について毎年アンケートをとり、その結果をもとに労使協議会で運用状況の確認と取得促進にむけた働きかけを行っています。年4回発行の組合機関誌「轍」では「まず休もう! 出かけよう! そして仕事しよう!」との呼びかけのもと、組合員の休日の過ごし方を紹介するなど、日頃より休暇取得の意識向上を図っています。
創業者の精神を受け継いで
当社は、木造を中心とした住宅や寺社仏閣など、特徴的な建築物を得意として数多く手掛けてきました。組合員の多くは、特色とこだわりのある、そして長く愛される建築物の設計や施工に携りたいとの希望を抱いて入社してきます。そのような熱意をいつまでも大切にしてほしいとの思いから、機関誌で「佐藤秀三の建築に行ってみる」と題して、創業者の建築を体感できるスポットを紹介しました。その仕事と精神を肌で感じることで、組合員一人ひとりがこの会社で働くやりがいと誇りを再認識し、それらが一体感に繋がっていくことを期待しています。
建設産業の魅力化にむけて
ものづくりの喜びを感じられる建設産業は、達成感や社会的貢献度からみても、とても魅力のある産業だと思います。しかしながら、長時間労働や賃金水準などの現状が魅力を押し下げていると考えられ、そこを改善していくことが最優先だと捉えています。その上で、組合員個々の成長が会社の成長に繋がり、そして産業全体の魅力を少しずつ底上げしていく力になるのではとの意識から、組合員が前向きに力を発揮できる職場環境の整備に邁進しています。
取材では「組合員一人ひとりの声が活動の原動力であり、会社との交渉においても大きな力になる。もっと積極的に組合活動へ参加して欲しい。」との関委員長の言葉がとても印象に残りました。
佐藤秀労働組合の皆さんの今後の活動が、さらに実り多きものとなりますよう祈念するとともに、全力で応援していきます。日建協活動への引き続きのご支援ご協力をお願いいたします。