日建協 2024年政策提言 持続可能な建設産業にむけた取り組み
日建協では、建設産業がかかえる諸課題解決のために、毎年政策提言書を作成し、国土交通省本省および各地方整備局、北海道開発局、内閣府沖縄総合事務局に対して政策提言を実施しており、2024年は9つの提言を行いました。今号では国交省の回答と施策を紹介します。
日建協提言書 http://nikkenkyo.jp/downL/teigen/2024.04-2024seisakuteigen.pdf
【回答】
■令和6年3月に「工期に関する基準」を改定及び拡充をし、発注者を含めた関係者に対して周知・徹底を行っています。
■労働基準監督署などと連携して、適正な工期に特化したモニタリング調査などを実施しており、引き続き取り組みを行っていきます。
【施策】
令和6年3月に「工期に関する基準」を改定した。
工期の設定について、4月から適用されている時間外労働の上限規制の遵守の徹底を図るべく改定している。また、元下間の工期設定においても、時間外労働の上限規制の遵守を前提としている。
「工期に関する基準」概要 ⇒ ttps://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/content/kouki.pdf
【日建協コメント】
上記の通り、工期に関する基準で、時間外労働の上限規制について触れているものの、工期を決定する上での具体的な基準になっているとは言い難いものです。今後も適正な工期の設定のために要望を続けていく必要性を感じています。
【回答】
■港湾、空港、官庁営繕を除く直轄土木工事において、令和6年度からは、以前までの「受発注者協議の上」を改め、原則実施としました。
■港湾、空港工事は、令和6年4月1日以降に入札公告を行う工事に関して、検査書類限定型の試行の工事を実施しています。
■官庁営繕の工事では、検査官が検査用に何か新たに書類を作らせるということは従来からしていません。受注者が工事中に作られた工事関係書類を監督職員に提出しています。
■「土木工事電子書類スリム化ガイド」において、発注者から誤った指摘の事例を取り上げ、それに対する適切な見解や解説を記載しています。受発注者に周知を行うようにします。
【施策】
各地方整備局、北海道開発局及び内閣府沖縄総合事務局で工事書類の簡素化を目的としたガイドブックを作成している。また、受発注者間の適切な役割分担やICT機器の活用事例を追記するなど働き方改革の更なる推進のためバージョンアップされている。
土木工事電子書類スリム化ガイド(関東地方整備局)⇒ https://www.ktr.mlit.go.jp/ktr_content/content/000877606.pdf
【日建協コメント】
今後はこれらの施策が地方自治体や民間企業の発注工事まで浸透するように要望していきます。
【回答】
■監理技術者制度運用マニュアルの解釈として、出産育児も明示しているので、有期の交代は基本的に受発注者で協議し、合意があれば可能です。
■監理技術者の交代が認められる条件は、入札の公平性を確保するという観点もあり、今回の改正でも変更はなかったが、技術者が現場を不在にする場合の運用を見直すことで品質の確保を行いながら技術者の処遇改善を図っていけるよう今後も取り組んでいきたいと思います。
【施策】
令和6年4月より改正された「監理技術者制度運用マニュアル」が適用されている。
監理技術者が現場を不在にする合理的な理由の例示の追加、不在時の対応の見直し、不在時の適切な体制確保の例示の追加などが盛り込まれている。
「監理技術者制度運用マニュアル」の改正概要 ⇒ https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/content/001732904.pdf
【日建協コメント】
受発注者間協議で監理技術者も産後パパ育休の取得は可能との回答はもらいましたが、ほぼ前例はないと思われます。また、不在にすることのできる日数も具体的には示されていません。それらの点も踏まえ、今後も継続して要望していく必要があると考えます。
日建協では、毎年政策提言を行っています。提言の中にはすでに国交省が取り組みをしているものもあり、国交省の建設産業の魅力や発展について考え方にも触れられる提言活動になりました。今回の内容に満足することなく、2025年の提言内容を検討していきます。
日建協は、今後も組合員のみなさんの声を大切に、政策提言活動をしていきます。