木浪議長メッセージ第4回 2024年度の活動にあたって
皆さん、こんにちは。日建協議長の木浪です。
第101回定期大会を終え、日建協の2024年度の活動がスタートしました。
組合員の皆さんにおかれましては、日頃より日建協活動に対し、ご理解とご協力を賜り、心より感謝申し上げます。
昨年度に続き2期目の議長となりますが、産別労働組合として建設産業の魅力向上、組合員の皆さんの処遇向上、労働環境の改善にむけて活動に邁進してまいります。これから1年間、どうぞよろしくお願いいたします。
さて、世界情勢を見渡してみますと、ロシアによるウクライナ侵攻が長期化する中、中東情勢の悪化や米中対立による地政学的緊張の高まりは、世界の分断を加速させ、混迷を極めていると言っても過言ではありません。経済面では中国の不動産市況の悪化による影響や、インフレリスクなどが懸念材料となっています。
日本経済においては、世界的な原材料価格の高騰や円安などにより、物価上昇が続いていますが、社会経済活動の正常化にともない、雇用環境の改善やインバウンド需要の持ち直しなどにより景気の回復基調は継続するとみられています。企業の設備投資においても良好な収益環境や期待成長率の高まりを背景に拡大傾向が続く見込みです。
そのような中、私たちが働く建設産業では政府建設投資、民間建設投資ともに底堅く推移していますが、建設資材やエネルギー価格の高止まり、工事量の増加にともなう労務費の上昇などにより、厳しい経営環境となっています。そのような状況下ですが、今春闘では政府主導による賃上げ機運の高まりや物価上昇が追い風となり、ベースアップや一時金の水準改善が多くの企業で実施されました。また、人材獲得のため、初任給を引き上げる企業も多くみられました。
ここ数年、働き方改革や担い手確保という共通の課題にむけて、政労使が一体となって取り組みを進めてきたことで、私たちの労働条件や労働環境は、着実に改善してきておりますが、労働時間や休日・休暇の取得状況など、他産業と比べると見劣りする面も多く、まだまだ改善の余地があることから、今後も継続して取り組んでいかなければなりません。
私たちが働く建設産業は、暮らしを支える経済社会基盤を建設、維持管理していく社会資本の担い手であり、災害時には、現場の最前線で地域社会を支える地域の守り手としての役割も担っていますが、近年、その地域の守り手が不在の市区町村が拡大傾向にあります。社会にとってなくてはならない存在であるからこそ、産業が抱える課題を早期に解決し、他産業に勝る魅力を持つ、次世代に選ばれる産業へと変えていかなければなりません。
以上をふまえ、2024年度、日建協は「産業政策活動」と「加盟組合支援」を2本柱として活動を進めていきます。また、活動を進めるにあたっては、対面でのコミュニケーションを大切にし、その中で加盟組合間の交流もはかれるような組合活動を実践してまいります。
産業政策活動では「政策提言」「単身赴任者の帰宅旅費の非課税化にむけた取り組み」を重点項目として位置づけ活動を進めます。政策提言アドバイザー会議、各種アンケート結果を通じて、建設産業の実態をはじめ、作業所が抱える問題や労働実態を明確にし、建設産業が取り組むべき課題や構造的な問題だけでなく、産業に従事する者の処遇改善についても、働く者の立場から意見発信・提言をしていきます。また、単身赴任者の帰宅旅費非課税化の実現にむけた新たな取り組みとして、国税庁に対する「取引等に係る税務上の取扱い等に関する照会」を実施します。
加盟組合支援では「4週8閉所ステップアップ運動」「多様な働き方」「賃金交渉」を重点項目に位置付け、活動を進めます。4週8閉所のさらなる推進や総労働時間の短縮など、ワーク・ライフ・バランスの実現にむけて、現状と課題を産業内外に広く発信するとともに、上限規制適用後の時短推進、労働環境の改善や、多様で柔軟な働き方の実現にむけて活動に取り組みます。また、私たちが建設産業に希望と誇りを持ち、安心して働き続けるためには、賃金水準の維持・向上が不可欠です。建設産業で働く私たちの「あるべき賃金水準」の実現をめざし、加盟組合の皆さんと日建協とが一体となって取り組むことで、賃金交渉の充実をはかっていきます。
私たちが掲げている日建協ビジョン2030「誰もがいつまでも働ける 誰からも誇りに思われる産業」の実現にむけて、日建協は新たな執行体制での活動をスタートさせます。ビジョンの実現のためには、一般社会への理解醸成に加え、これまで取り組んできた労働環境改善にむけた活動をさらに推し進め、他産業と比べても遜色のない労働時間や休日・休暇の取得に加え、魅力ある賃金水準を目指していかなければなりません。
働く私たち自身が希望を持つことができ、未来に誇れる建設産業にしていくためには、組合員の皆さん、ひいては産業で働くすべての方々の前向きな考動が欠かせません。
未来を創るのは私たちです。誰もが働きたい、働き続けたいと思える、そして次世代に選ばれる建設産業を築くために、ともに変革への一歩を踏みだしましょう。