日建協第92回定期大会 かわりつつある建設産業 私たちの力で未来をつくろう
8月3日、4日の両日、日建協は第92回定期大会を開催しました。会場である東京(日暮里)のホテルラングウッドには加盟組合代議員のほか傍聴者など多くの方にお集まりいただきました。1日目は2014年度の活動と決算報告の審議ののち、役員選挙により田中新議長をはじめとする新役員が選出されました。2日目は新体制による2015年度活動方針について3つの分散会にて活発な議論を交わしました。すべての議案は出席代議員全員の賛成により承認され、2015年度の日建協活動がスタートしました。
議長挨拶 「未来につながる魅力ある建設産業をめざして」
日建協 第44代議長 田中 宏幸
このたび、日建協議長を務めることとなりました田中宏幸です。これから2年間、加盟組合の皆さんとともに、全身全霊で活動を進めてまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
建設産業では多くの企業が業績を改善しつつありますが、国や業界団体は、持続可能な建設産業をめざして建設産業活性化会議を設置し、官民の役割とスケジュール感を示した建設業の総合的な人材確保と育成対策の工程表などの施策を打ち出しています。これら施策には日建協がこれまで主張してきた内容が多く含まれ、政労使の想いが一つになり、建設産業がさらなる魅力向上へ動き出したと感じられます。これら施策に対し、PDCAを廻すことでより良いもの 、私たちの労働環境の改善につなげていきたいと思います。
しかしながら、国や業界団体に頼るだけでなく、私たち自身もこれまで以上にできることをやっていかなければなりません。
2014年の日建協「時短アンケート」においても、1か月の所定外労働時間の平均が58.3時間と、10年ぶりに60時間を下回ったものの、外勤技術者は、建築職で82.3時間、土木職で79.7時間となっており、特に、長時間労働の問題は喫緊の課題となっています。長時間労働の削減のために、組合員一人ひとりの時短意識の高揚をはかりたいと考えています。
活動の2本柱
産業政策活動
提言活動の実施
作業所における4週8休の実現にむけ、行政、発注者、業界団体など関係者へ提言活動を実施します。また、産官学連携での建設産業のPRを働きかけます。
アドバイザー会議、女性技術者会議の開催
加盟組合よりアドバイザーや女性技術者を募り、作業所アンケートを含め議論し、提言活動に反映させます。
産業内の連携強化
建設産労懇、行政、業界団体、その他建設関係団体との交流機会をもち、情報交換を積極的に行い、提言力の強化、新たな提言活動につなげます。
出前講座の開催
将来の建設産業を担う学生を対象に出前講座を開催し、社会資本整備の重要性やものづくりの魅力を伝えます。
加盟組合支援
統一土曜閉所運動の推進
行政や業界団体、加盟組合企業と連携した取り組みをさらに推進し、産業全体の運動に発展させます。
休日取得、平日の所定外労働時間の削減
加盟組合企業へ作業所異動時休暇や年次有給休暇などの休日取得や、加盟組合へ平日の所定外労働時間削減にむけた推進活動を行います。
時短アイデア大賞の開催
時短推進にむけ意識高揚を促すため、第3回時短アイデア大賞・図画コンクールを開催します。ご応募いただいたアイデアを展開し、時短につなげていきます。
賃金交渉への取り組み
加盟組合が効果的な賃金交渉に取り組めるよう、日建協賃金政策の周知、2016年賃金交渉基本交渉の策定を行います。
活動の基盤
データバンク機能
データの充実
時短アンケートや賃金調査、労働条件総合調査などを実施し、質および量の充実したデータの収集と蓄積をおこないます。
調査・発信
調査結果が有効に活用できるように、設問内容の見直しやニーズに合わせた分析を行います。結果は適切に加盟組合へフィードバックします。
組織活動
組織拡大にむけた取り組み
建設産業ではたらく組合員の声をさらに大きくするため、未加盟組合への加盟促進、加盟組合の組合範囲拡大への支援を行います。
広報活動の充実
機関誌「Compass」や「Nikkenkyo News」などにより、タイムリーで、わかりやすく日建協活動を広報していきます。
財政と活動に関する小委員会
日建協活動の健全な運営を続けていくため、加盟組合とともに財政と活動の検討を行います。
分散会で出た主な意見等
◆国内の外国人労働者や海外で働く組合員の情報を蓄積し、就労状況の統計分析等に活かせるようにしてほしい。
◆会社訪問において、所定外労働時間の現状を加盟各社と比較して伝えたことが経営陣に響いた。継続して実施してほしい。
◆近年、若年者の離職が多くみられる。離職対策として若年層に手当てをすると、今度は逆に中間層の負担が増えてしまう。今後、この問題を産業全体の課題と捉え、離職防止に向けた活動の共有をするなど、取り組みを強化して欲しい。
◆データバンクの維持継続は大変だと思うが、日建協に各種データがあるという後ろ盾は心強い。重要な活動だと認識して継続して欲しい。
◆当組合では、土曜閉所率を向上させるために閉所日にイベントを企画、実施した。当該事例を含め、土曜閉所を進めるための各組合の好事例の展開をお願いしたい。
◆地方でも加盟組合間交流会を開催して欲しい。また、若手に限らず、対象範囲を広げて実施して欲しい。
日本労働組合総連合会(連合) 副事務局長 小川 裕康 様
2015春季生活闘争では、2年連続の賃上げが実現しました。経済の好循環を確かなものにするにはこの流れをしっかりと次につなげていくことが重要です。日建協のみなさんにも引き続きの連合活動への協力をお願いします。
厚生労働省 職業安定局雇用開発部 建設・港湾対策室長 谷 直樹 様
本年4月、国交省とともに魅力ある職場づくり、人材確保、人材育成の3点から建設産業の人材育成策について取りまとめ公表しました。今後も、働きやすい環境づくりが重要になっていきますので、建設産業の魅力向上のため、これまで以上の取り組みを期待します。
内閣府 男女共同参画局推進課 課長補佐 宗近 美佐子 様
女性が社会で活躍する上では、ワーク・ライフ・バランスの実現が何よりも重要です。内閣府では、本年6月に女性の活躍を加速させるため、職場の環境整備などの重点取り組み事項を取りまとめました。今後も関係団体等と連携をはかりながら取り組みを進めていきましょう。
長谷工グループ労働組合 中央執行委員長 梅田 泰三 様
建設産労懇において、日建協をはじめとする、建設関連の産業別労働組合とともに活動を行っており、統一土曜閉所運動や各種情報交換などを行っています。引き続き職場環境の改善とともに建設業界の魅力を伝えていきましょう。
大会に引き続き、多数のご来賓と加盟組合役員の出席のもと、名刺交換会を開催しました。冒頭の田中議長の挨拶のあと、ご来賓の方々から激励のお言葉をいただき、加盟組合を代表して五洋建設労働組合小泉中央執行委員長の乾杯のご発声により、名刺交換会がスタートしました。終始和やかななか、今回退任した日建協執行部の挨拶、新執行委員の紹介を行い、閉会しました。
ご来賓の皆さま:左から
・日本労働組合総連合会(連合) 総合組織局 局長 鈴木 宏二 様
・日本建設業連合会 専務理事 坂山 修平 様
・国際建設林業労働組合連盟 日本加盟組合協議会 議長 岩﨑 春良 様
~退任役員を代表して~ 日建協前議長 植村 芳輝
私たち3名が日建協の執行委員となって以降、建設産業は大きく変わってきました。産業の明るい未来をつくるため、関係するものがそれぞれの立場で動きはじめたのです。そのような中で、組合員一人ひとりのワーク・ライフ・バランスを実現するために、労働組合の果たすべき役割を模索し、活動を続けてきた3年間でした。もちろん、まだまだ道半ばであると思います。今後も日建協には魅力ある建設産業をめざし、魂のこもった活動を期待しています。
最後になりますが、私たちがここまで任期を全うすることができたのも、加盟組合の皆様のご支援のおかげと感謝しております。ありがとうございました。
新年度のスタートにあたり、日建協執行部一同、新たに気持ちを一つにし、魅力ある建設産業の実現にむけ全力で活動に取り組んでまいります。加盟組合の皆さん、今後ともよろしくお願いします。