東西組合細見 neo14/鴻池組労働組合
1871年(明治4年)に鴻池忠治郎が北伝法村(現大阪市此花区伝法)で個人創業し、建設業ならびに運輸業を営むことから始まりました。1898年に淀川改良工事から本格的に土木工事に乗り出し、1900年には日本初の民間平炉工場で自社初の大型土木建築請負工事となる日本鋳鋼所(後の住友鋳鋼所)鋳物工場建設を受注。1918年には関西建設業界で初となる株式会社へ改組しました。2021年には創業150周年を迎え、長期ビジョン「KONOIKE ONE VISION 2050」を策定し、「つくる、支える、共にする」の3つのアクションで「幸せ」を築き、人と社会に持続的な価値を提供していくとしています。
鴻池組労働組合は、1947年10月に鴻池組従業員組合として発足し、今期で75周年を迎えました。今年度は「みんなが主役、変えてみよう未来のために!!」をスローガンに、組合員の処遇向上、総労働時間の短縮、職場環境の改善を重点活動項目として活気にあふれた組合活動を展開しています。
◆設立:1947年10月(昭和22年) ◆本部執行委員数:6名 |
◆支部数:7支部 ◆組合員数:約1,100名(2023年1月1日現在) |
◆組織率:57% ◆執行委員会:月1~2回 |
労使協働で働き方改革を推進する
働き方改革については、4週8閉所ステップアップ運動に労使協働で取り組んでおり、今年度は2024年から適用される時間外労働の上限規制をふまえて、現場閉所率の向上と4週8休の100%実施を目標としています。会社が設置した働き方改革推進委員会の議事内容は組合も共有しており、来年度はさらなる働き方改革の推進に取り組んでいく予定です。
また、男性の育児休暇取得推進にも取り組んでおり、昨年度の休暇取得率は目標としていた20%以上を達成することができました。昨年10月の育児・介護休業法の改正にあわせ、育児休暇(特別休暇)を新設し、子が出生から1歳に到達するまで、10日を上限に2回までの分割取得が可能となりました。
組合員の声にしっかりと耳を傾ける
昨年1月に人事考課制度が改定され、これまでの成果を重んじる評価から、期初に定めた行動方針に対するプロセスが評価される制度に変更されました。どのような行動をしたかが評価されるようになり、成果が定量化しにくい職種でも能力の向上を意識しやすいなど、現時点では納得している組合員が多い状況ですが、運用面なども含めてしっかりと組合員の声に耳を傾け、会社に届けたいと思っています。その他の制度としてはフレックスタイム制度が導入されましたが、現場での活用が上手くいっていないとの意見が多く寄せられています。他社の好事例などを展開し利用促進をはかっていきます。
組合員の人材育成や能力向上にむけて
組合活動の質向上・継承のため、本部役員が年2回の職場会時に若手の支部代議員にむけて、賃金や人事考課制度に関する勉強会を実施しています。その際、不明点などが出た場合は、その場で解消するようにしています。そのほか専門部会(労働条件・組織広報)を年3回程度開催し、各支部の専門部長(副委員長・副書記長クラス)が次世代の支部リーダーとしての素養を養う場を設けることで、人材の育成だけでなく継承にもつながっています。また、若手の組合員の割合が増えているので、組合とはどういうものかというところをしっかりと伝え、労働組合に興味をもってもらえるようにしていきたいと思っています。そのため、形式にとらわれない画期的な活動やレクリエーションなど、多くの組合員が参加できる活動をしていきたいと考えています。
今回の取材をつうじて、執行部のみなさんが、日々の組合活動に取り組むだけでなく、組合活動の継承、人材育成にも注力するなど精力的に取り組んでいる様子が伺えました。取材にご協力いただきました大上委員長、岩本書記長、ありがとうございました。日建協はこれからも、鴻池組労働組合の活動を応援していきます。