日建協出前講座2020 学生はゼネコンをこう見ている

日建協では、将来の建設産業を担う土木・建築学科の学生に、ゼネコンの仕事内容や魅力を知ってもらうため、2006年より全国の大学で出前講座を開催しています。2020年度は7大学で開催し、合計694名が受講しました。
出前講座で実施したアンケート結果より、学生のゼネコンに対するイメージや就職先に求めることを紹介します。

希望就職先は「ゼネコン」が最多に

アンケートで学生に希望就職先(進路)について聞いたところ、昨年は設計事務所・コンサルタントが最も多い回答でしたが、今年はゼネコンが最多という結果となりました。また、今年度から大学院という選択肢を加えたところ、9.7%の学生が大学院への進学を希望しました。大学院進学を強く奨励している大学もあるので、その影響があると思われます。
ゼネコンが一番多い回答となりましたが、割合としては21%と決して高い数値ではありません。希望する学生をさらに増やすためには何が必要か見てみます。

早急にイメージアップ(改善)が必要なものは?

ゼネコンのイメージ(良い・悪い)と、就職での重視度を相関図にしました。その結果、大まかに3つのグループに分類できました。
「残業時間」「休日取得」「仕事と生活のバランス」は就職において重視度が高いのに、ゼネコンではそれらのイメージが悪いという結果になりました。このイメージの悪さが、学生がゼネコンを敬遠する要因になっていると思われます。ゼネコンへの就職希望を増やすためには、長時間労働の是正や休日取得の改善が急務です。

女子学生は「ゼネコンは働きにくそうな職場」だと感じている

就職先を決めるうえで重視することを聞いてみると、全体では「勤務地及び転勤・異動の有無」はあまり重視されていないものの、ゼネコンを志望しない学生の6割が「転勤・異動が多そう」を理由にあげています。転勤・異動はあまりしたくないと考える学生も多いようです。
また、ゼネコンを希望しなかった理由を男女別で比較してみると、6割以上の女子学生が「女性が働きにくそう」と回答しました。ゼネコンは男性社会という昔からのイメージを払拭するためにも、働き方改革や女性活躍推進の取り組みを、今以上にアピールしていく必要があると考えます。

受講後の学生の声を紹介します

・残業が多く、休日が確保しづらいイメージだったが、改善されてきていることがわかり、勤務環境が整えられてきていることに興味を持った。
・やりがいがある産業であり、社会貢献を実感することができる仕事だと思った。
・やはり週休二日は私にとって重要な点だと感じた。
・やりがいがありそうだとは思ったが、休みが思うように取れないのはきついと思った。
・良い部分も悪く思われる部分もしっかり聞けて良かった。
・建設業界は良い方向に変わっていっているというのがよくわかった。若者が活躍できるので頑張ってチャレンジしたい。
・女性が少ない業界ですが、活躍できる場があって、女性も働きやすい環境が少しずつ整えられているというのは嬉しいことだと思った。

コロナ禍での講義

今年度はコロナ禍での開催のため、大学からの要望により、完全リモートでの講義やWeb併用での講義、オンデマンドでの講義など、今までにない形式での開催となりました。日建協でも初めての体験だったので、試行錯誤を重ねての対応となり、例年以上に苦労しました。

おわりに

建設産業は、土木・建築系学科の学生に、仕事と生活のバランスがとりづらい産業であると思われていますが、受講後アンケートでは、昨今の働き方改革への取り組みにより、労働環境が改善していることに興味を持ったという感想が多数ありました。建設産業の将来の担い手確保のためには、学生にものづくりの魅力だけでなく、建設産業の働き方改革や女性活躍推進への取り組みなどを正しく伝えることで、ゼネコンに興味を持ってもらうことが重要だと思います。そのためにも、日建協では出前講座を引き続き開催していきます。