中期時短方針2013 「心と体の健康」と「W.L.B.の実現」のために

建設産業を取り巻く労働環境は、近年悪化の一途をたどっています。このような状況のなかで、日建協は、組合活動の柱となる労働条件の改善にむけて時短推進活動に取り組んでいます。2013年度は、「中期時短方針2013」の周知・推進に積極的に取り組んでいきます。ここでは、「中期時短方針2013」をできるだけ分かりやすく紹介してみたいと思います。

この新しい時短方針を、加盟組合や組合員のみなさんに、時短推進活動に取り組む際の有効なツールとして活用していただければ幸いです。

中期時短方針は、取り組み状況や社会情勢に応じて定期的に見直しが行われています。「中期時短方針2013」も1年間かけて、加盟組合から参加していただいた時短推進委員会で議論し、策定されました。

日建協の考えるワーク・ライフ・バランス
建設産業のワーク・ライフ・バランスを実現するためには、仕事に偏りすぎている現状を改善し、生活に配分できる時間を創出することが重要です。そのためには、単に労働時間を短縮するだけでなく、業務の効率化に取り組むなど、自らの働き方を見直し、仕事の質を高めることが大切になります。効率的に仕事を進めた結果、生活の時間を確保することができれば、私たちの健康が保持され、家族や友人との時間、自己啓発や地域活動への参加のための時間が持て、充実した生活が送れるものと考えます。 (中期時短方針2013より)

 

厚生労働省によると、「長時間にわたる過重な労働は、疲労の蓄積をもたらすもっとも重要な要因と考えられ、脳・心臓疾患との関連性が強いという医学的知見が得られている」とされ、脳・心臓疾患と業務の関連性は月45時間以上の所定外労働との関連性が徐々に強くなるとされています。所定外労働時間が長くなるほど、関連性は強くなるとされています。

また、「心理的負荷による精神障害の認定基準について」によると、長時間労働が精神障害発病の原因になり得るとして、その基準として、強い心理的負荷となる時間外労働時間が示されています。例えば、発病直前の連続した3ヶ月間に月100時間以上の所定外労働を行い精神障害を患った場合は、労災が認定されます。

中期時短方針2013では、新たな共通の取り組みとして、外勤者の所定外労働時間の6割を占める「平日の所定外労働時間の削減」に取り組みます。今までは、どちらかというと休日の取得推進に力を入れてきましたが、今回から休日の所定外労働時間と平日の所定外労働時間削減にバランスよく取り組むことにしました。

個別の取り組みとして、有給休暇を効果的に取得し、休暇の長期連続化をめざす「有給休暇の取得推進」、また、組合員がワーク・ライフ・バランスの意味を正しく理解し、時短活動に役立つようにするために「ワーク・ライフ・バランスの理解促進」に新たに取り組んでいきます。

トライシートとは
日建協が作成した時短活動用の標準書式。
トライシートを活用することによって各加盟組合の時短推進活動の「目標」「取り組み項目」「取り組みの現状」「取り組みポイント」を明確にし、活動の「進捗状況」や「達成度」を把握することができる。他の加盟組合との情報交換や自分の組合の記録としても活用できる。

<取り組み事例>

  • 自分の所定内労働時間内の働き方を検証して、所定外労働時間の要因を分析する
  • ノ-残業デーには自分から「声かけ運動」を行う
  • 「ノ-残業当番」を活用する
  • 朝礼時に自分が何時に帰るのか宣言する
  • 記念日、自己啓発、資格取得、趣味のために有給休暇を取得する
  • 計画的に有給休暇を使って、休日期間を長くする

(「中期時短方針2013」4.時短推進活動の具体的な取り組み内容から)

<産業政策活動>

① 提言活動
加盟組合に対して経過報告および意見収集を適宜行います。
ⅰ)土木(公共)工事に従事する組合員の問題解消をめざして
ⅱ)建築(民間)工事における適正工期の実現にむけて
★ⅰ,ⅱの取り組みの実現にむけた時短推進に関する行政・発注者等への意見を発信します。

② 提言の企画・立案
加盟組合のニーズや時短アンケートの結果を検討しつつ、必要に応じて新たな分析・調査を行います。

③ 要望・意見発信
産別組織としての考えをタイムリーに、行政・発注者・業界団体・加盟組合企業経営者に対し意見発信を行います。

<日建協組織内への取り組み>

加盟組合が取り組む時短推進活動に対する、支援・情報交換を充実させます。
① 統一土曜閉所運動の推進 ② 時短意識の高揚 ③ 時短推進委員会の開催による情報交換  ④ 時短アンケートの分析と活用

「中期時短方針2013」について説明しましたが、加盟組合の皆さん、理解していただけたでしょうか?
この冊子を実際に手に取ることによって、今まで以上に時短について考え、そして時短に取り組んでいただきたいと思います。

ワーク・ライフ・バランスの実現にむけて、全加盟組合と組合員が協力して、所定外労働時間の削減に取り組んでいきましょう。

「中期時短方針2013」
データ版ダウンロード先  http://nikkenkyo.jp/downL/chuki_jitan/chuki_jitan2013.pdf