第90回 日建協定期大会報告

8月1日、2日の両日、日建協は東京(日暮里)のホテルラングウッドにおいて第90回定期大会を開催しました。加盟組合から代議員と多数の傍聴者が出席し、活動方針について活発な議論を交わしました。また本大会で植村新議長をはじめとする新役員が選出され、2013年度の日建協活動がスタートしました。

新議長挨拶  「私たちのワーク・ライフ・バランスをめざして」
        議長 植村 芳輝

このたび、日建協議長となりました植村芳輝です。これまで以上に変化が求められるこの時期に、重責を託されたことに対し、非常に身の引き締まる思いです。

建設産業の労働環境は、非常に厳しい環境におかれています。昨年度実施した日建協アンケートにおいては、外勤者の平均所定外労働時間は月80時間を超え、外勤建築系に至っては100時間に迫ろうという値を示しています。これはまさに危機的な状態と言わざるをえません。近年、ワーク・ライフ・バランスが声高に叫ばれるなか、私たち建設産業で働く仲間は多忙を極め、その本来の意味を理解する時間すら満足に与えられていないのです。この問題は、既に一組合員、一加盟組合、そして一企業で解決できるレベルを超えており、産業全体という大きな土俵で議論しなくてはならないと思います。今年度日建協は、産業別労働組合として組織の総合力を最大限活かし、この状況を打ち破っていきたいと考えています。

建設産業は変化の過程にあります。国や業界団体が産業の構造改革に向けて様々に動こうとしている今は、私たちの労働環境をより良いものにしていくチャンスです。日建協はこの潮流をしっかりと捉え正のスパイラルとしていくために、確実に取り組んでいきます。これからの一年間、加盟組合の皆さんとともに、全身全霊で活動を進めてまいりたいと思いますので、どうぞ宜しくお願い致します。

2013年度 活動方針のポイント

《活動の2本柱》
◆産業政策活動
提言活動
土木・建築工事における組合員の労働環境改善に向けて官庁や発注者団体に提言します。

アドバイザー会議(土木・建築)
加盟組合よりアドバイザーを募り、提言活動に組合員の声を反映させます。

出前講座
建設産業の次世代を担う大学生を対象に出前講座を開催し、社会資本整備の重要性と建設産業の魅力を伝えます。

女性技術者会議
女性技術者の視点から建設産業の魅力を向上させる上での課題を討議します。

◆加盟組合支援
統一土曜閉所運動の推進
組合員一人ひとりの休日取得・時短意識の向上にむけた取り組みの一つとして年2回(6月・11月第2土曜)の統一土曜閉所運動を進めます。

休日取得、平日の所定外労働時間の削減
休日の取得はもちろん、今年度は平日の所定外労働時間の削減にも力を入れて取り組みます。

時短推進委員会
加盟組合より時短推進委員を募り、時短に向けた様々な方策を討議します。

賃金政策の見直し
日建協が賃金をどのように考えるかを示す「日建協賃金政策」を見直します。

セミナー開催
組合員の皆さんに役立つセミナーを開催します(5回/年)。(EX.賃金交渉事前セミナー、労働法セミナーなど)

《活動の基盤》
◆データバンク機能
時短アンケートや賃金調査、労働条件総合調査など、実施した調査データをバックデータとし、日建協活動の基盤とします。また、調査結果は適時適切に加盟組合へフィードバックします。

◆組織活動
機関誌「Compass」など広報活動の充実
機関誌「Compass」を4回/年発行し、日建協活動を積極的に広報します。ホームページやメルマガ、Nikkenkyo Newsなど様々な広報ツールをより充実させます。

共済制度
日建協のスケールメリットを活かした共済制度の広報を積極的に展開します。

財政と活動に関する小委員会
日建協活動の健全な運営を続けていくため、加盟組合とともに財政と活動の検討を行います。

分散会で出た主な意見

  • 国交省以外についても、建設業界の現状に危機感を持っていると考えられるため、提言先の拡充を検討すべきではないか。また、昨今の目まぐるしい環境の変化に対応すべく、提言内容の検討をスピーディに行い、タイムリーに提言して欲しい。
  • 建設業界への風が変わりつつある今こそ、次世代への取り組みである出前講座に力を入れて欲しい。開催大学の拡大と合わせて、より若い世代を対象とした開催についても検討して欲しい。
  • 休日取得に続き、平日の所定外労働時間の削減を時短推進目標の共通取り組み項目に追加したことの意味は大きい。業務効率化・生産性向上にむけて取り組んでいきたい。
  • 海外進出が増加しているため、現地情報等の収集に努め、積極的に展開して欲しい。
  • 日建協ヤング・ゴー!・ゴー!については、地方開催も含め検討の上、ぜひ開催して欲しい。
  • 中期時短方針2013について、より利用しやすくなるよう周知・推進をお願いしたい。

分散会で頂いた貴重なご意見は、今後の日建協活動の参考にさせていただきます。

定期大会の紹介

日建協新年度の活動スタートに寄せて

日本労働組合総連合会(連合)副事務局長  水谷 雄二 様

今取り組むべきであるのは社会全体の労働環境の底上げです。連合は「働くことを軸とする安心社会」の実現に向けて、全力で活動を進めています。今年度も日建協の皆様の積極的な活動に期待しています。


国土交通省 土地・建設産業局 建設市場整備課
労働資材対策室 課長補佐  小野 健太 様

建設産業が抱える構造的な問題に対し国交省は様々な対策を講じています。特に適正な価格、工期で受発注することは非常に大切なことだと認識しています。建設産業全体の社会的経済的地位の向上にむけて、労働者側も是非大きく声を上げてほしいと思います。


厚生労働省 職業安定局 建設・港湾対策室長  上田 国士 様

建設産業では東日本大震災の影響などにより人手不足が顕在化し、非常に厳しい状況です。皆様の声を頂きながら、特に若年層の入職者不足、熟練者の技術継承の問題について力を入れて取り組んでいきます。


内閣府 男女共同参画局推進課長
仕事と生活の調和推進室参事官  小林 洋子 様

仕事と生活の調和を推進するため、2020年までの行動指針を定め、政労使一体となって取り組んでいます。代表的な活動に「カエル!ジャパン」がありますが、WLBの適切な理解と浸透を望んでいます。


建設産業労働組合懇話会  代表 建設連合  中央執行委員長  星野 康幸 様

組合活動は、考え方次第で何にでも取り組める無限の可能性を秘めています。執行部の皆様には、これまでの枠にとらわれず幅広い視点で、何でも積極的にチャレンジして頂きたいと思います。

名刺交換会

大会に引き続き、多数のご来賓と加盟組合役員の出席のもと、名刺交換会を開催しました。冒頭の植村議長の挨拶のあと、ご来賓の方々から定期大会が活発な議論の後に閉会したことに対し、ご祝辞を頂戴しました。また、加盟組合を代表して、安藤・間職員組合の一柳中央執行委員長より乾杯の発声を頂きました。

ご来賓のみなさま:左から
・日本労働組合総連合会 総合組織局長 山根木 晴久 様

・日本建設業連合会 事務総長 有賀 長郎 様

・国際建設林業労働組合連盟 日本加盟組合協議会
              議長 河田 伸夫 様

~退任役員を代表して~

日建協前議長 山田 栄治

この第90回定期大会をもって、日建協執行部を退任いたしました。ここまで任期を全うすることができたのも、ひとえに加盟組合の皆さんのご支援のおかげだと思っております。本当に有難うございました。

産業を取り巻く状況が大きく変わろうとする時代において、日建協の産業別労働組合として果たす役割は、今後ますます重要になってくると思います。日建協には魅力ある建設産業の実現にむけて力強く歩んでいくことを心より期待します。

日建協は、2013年度のスローガン「さあ踏み出そう、新しい一歩を。建設産業の明るい未来へ。」のもと、働きがいのある、魅力ある建設産業の実現に向け全力で取り組んでまいります。加盟組合の皆さん、今後ともよろしくお願いします。