2014年 年頭所感 活気ある、明るい産業とするために

活気ある、明るい産業とするために

日本建設産業職員労働組合協議会  議 長 植村 芳輝

 

新年明けましておめでとうございます。旧年中は日建協に対し、さまざまなご意見やご指導をいただきまして有難うございました。私たちは皆さまからいただく声をしっかりと活動に活かしてまいりたいと考えています。引き続きのご支援、ご協力をよろしくお願いいたします。

さて、2013年を振り返ると、最も日本を賑わせた話題の一つに2020年に東京オリンピックの開催が決定したことが挙げられます。経済が回復局面にある中で、更に心を浮き立たせるようなこの明るいニュースは、国民のひとりとして非常に喜ばしいことであると感じています。建設産業にとっても、オリンピック施設の建設などを通じて、世界的イベントに参加できる喜びを味わうことができるという点で歓迎すべき出来事ではないでしょうか。今後、オリンピック関連施設の建設だけではなく、本格化する東日本大震災の復興工事、リニア新幹線の着工などによって、建設産業の重要性が改めて世間から注目されることは間違いありません。これらひとつひとつを契機に建設産業が活気づき、この誇るべき産業へ入職を志す若者が増えることを願ってやみません。

ただし、これらのニュースには私たち建設産業で働く組合員にとって、単純に喜んでばかりはいられない一面もあります。組合員の労働環境は、常態化した長時間労働や入職者の減少による人手不足など、非常に厳しい状況におかれています。そのような中、オリンピックの開催の決定によって、労働環境の悪化に一段と拍車がかかるのではないかと危惧されます。建設産業における世界的な労働組合組織であるBWI*は、2022年にFIFAワールドカップが開催されるカタールの事例を基に、巨大スポーツイベントはそこで働く人たちの過酷な労働によって成り立っている、と報告しています。移民労働者の多いカタールと今の日本は簡単に比較できませんが、今後日本でもこれに似た状況が発生し、労働環境がますます悪化する危険性が考えられます。この危険性を排除しなければ、私たちは安心してオリンピックの開催を受け止めることはできません。

2014年、今は建設産業で働く私たちにとって、労働環境をより良いものに変えていくチャンスです。これまで、過度な短工期、行き過ぎた価格競争、次世代を担う人材の不足など建設産業が疲弊している中で、官民一体となってこれを改善しようとする動きが見えてきました。設計労務単価の引き上げや、適正な価格や工期での受発注の促進、など多くの施策や決議が打ち出されています。このチャンスをしっかりとものにするため、日建協は目の前の一つ一つの活動に熱意を持って取り組んでまいります。そして、皆さま組合員一人ひとりも、どうか声を上げ、一体感を持って活動していただきたいと思います。連帯した行動は産業を変える大きな力になります。

最後になりますが、本年は日建協結成60周年を迎える節目の年となります。先輩方が築きあげてきた歴史をベースに、日建協は31,000人の加盟組合員の結束力をもって、ワーク・ライフ・バランスが実現できる環境、そしてここで働く誰もが誇りを持てる産業を目指していきます。

さあ建設産業の明るい未来に向けて、ともに新しい一歩を踏み出していきましょう。

* Building and Wood Workers International 国際建設林業労働組合連盟