魅力ある建設産業にむけた4つの提言 (土木作業所の労働環境改善)

公共工事

土木作業所で働く組合員の労働環境改善をめざして

1.はじめに

日建協は、これまで国土交通省の施工円滑化にむけた施策を活用することが、公共工事に従事する組合員の労働時間の短縮につながるとの考えから提言活動を実施してきました。

しかし、これまで日建協が取り上げていなかった、総合評価落札方式や低価格受注などの要因により、長時間労働など労働環境へ影響が出ているとの声があり、2011年1月に日建協加盟組合の土木工事作業所を対象に「土木総合アンケート」を実施しました。

その結果をもとに労働環境の改善をはかるため、加盟組合から派遣された土木アドバイザーと議論を重ね、地方整備局をはじめとする発注者に対して、作業所における労働環境の実態を伝えるとともに、問題の解消にむけた提言活動を行いました。

今号では、「土木総合アンケート」の結果から作成した提言内容と、2012年4月から6月にかけて提言活動を行った、東日本大震災の影響が残る東北地方整備局を除く全国7地方整備局と北海道開発局からの主な回答を紹介します。

2.地方整備局への提言

 

(1)総合評価落札方式について

総合評価落札方式は公共工事の入札・契約に関する透明性の確保のために導入されましたが、その一方、組合員の長時間労働につながっているのでは、との声があがりました。

アンケートでは、国土交通省など、中央官庁の作業所の半数以上で総合評価落札方式が長時間労働につながっていると答え、その理由を聞くと、技術提案の履行に関するものや、技術提案の作成に関するものが多くありました。(図-1)

提言 ①

総合評価落札方式のあり方を見直し、私たち受注者に労働負荷を強いる仕組みを改めることが必要です。


1)技術提案において加点評価されなかった提案項目については履行証明の必要をなくすべきです。

2)技術提案のテーマ選定において、工期短縮はとり扱うべきではありません。

3)技術提案の提案数には引き続き制限を設けるべきです。

 

回 答

・加点評価しなかった項目は監督員と協議のうえ、標準案相当と判断されれば履行の必要は無い。(中部、九州)

・標準型技術提案では、立体交差点工事の渋滞対策などで工期短縮を設定するケースもあるが、基本的には工期短縮のテーマは少ないと認識している。(北海道、中部、中国、九州)

 

(2)低価格受注について

低価格受注は、企業の体力を奪うだけではなく、そこで働く私たちの健康に悪影響を与え、さらにワーク・ライフ・バランスの実現も阻んでいます。

アンケートで、低価格受注が長時間労働につながっているかを聞き、落札率別に整理してみました。(図-2)

また、受注価格が長時間労働につながっている理由を聞くと、約8割の作業所が経費削減による少人数施工を理由にあげました。

提言 ②

過当競争により低価格受注に陥り、労働環境の悪化につながっている現状を変えることが必要です。


1)調査基準価格の引き上げを行うべきです。

2)失格基準を設け、基準を下回った業者は特例などを設けずに即失格とすべきです。

 

回 答

・平成20年、21年、23年に引き上げを行っている。本省で検討しているので、今回の提案は本省に伝える。(全地整)

・会計法、予算決算及び会計令があり、失格基準を設けることができない。まずは法の改正が必要である。(九州)

 

(3)工期設定について

アンケートで半数を超える作業所から工期設定が長時間労働につながっている、との回答がありました。

また、その理由を聞くと、4週8休の工期設定が実現できなくなる内容が多くありました。(図-3)

提言 ③

現場条件を加味した、4週8休による工期設定を徹底すべきです。また、民間工事においても同様な観点から、4週8休による工期設定が必要です。


1)国土交通省は、現場条件を加味した、実際に4週8休が設定できる工期を設定すべきです。

2)国土交通省は、他発注機関に対して、工期設定に関わる指導を行うべきです。

 

回 答

・直轄工事ではすでに4週8休の設定をしている。工事中に異常気象や不測の事態が発生した場合は、工事の一時中止や工期の延伸など、柔軟な対応を指導している。(北海道、北陸、四国、九州)

・中央官庁、自治体、公共性の高い民間企業が集まる発注者協議会等をつうじて、地方整備局が取り組んでいる施策の情報提供をしていく事が重要と考えている。(北陸、中部、近畿、九州)

 

(4)片務性について

片務性とは発注者という優位的立場を利用して、受注者に理不尽な要求を行うことです。 本来、受注者と発注者は対等な立場です。しかし、アンケート結果からは、半数を超える作業所で、受注者と発注者の間の片務性が長時間労働につながっていると回答があり、その理由には、発注者の優位的立場を利用した内容が多くありました。(図-4)

提言 ④

片務性を解消し、受注者と発注者双方が対等な立場で業務が行わなければなりません。


1)発注者が優位的な立場を利用して期間に余裕がない業務指示などを行うべきではありません。

2)国土交通省は、業務の円滑化に関する施策の他発注機関への展開を行うべきです。

 

回 答

・地方整備局の局員が現場を巡回し、監督職員を交えずに直接現場代理人と会話をする、巡回現場会議の取り組みを行っている。(関東)

・他発注機関への施策の展開については、発注者機関が集まる会議の中で円滑な工事の執行をめざし、官民共同の取り組みを行っている。(北海道、北陸、中部、近畿、中国、九州)

3.今後の日建協の取り組み

今回の提言活動で、地方整備局も総合評価落札方式などの要因が、長時間労働など作業所の労働環境に悪影響を与えていることに理解を示し、労働環境の改善につながる回答が得られました。今後日建協では、作業所のさらなる労働環境改善につなげるべく、国土交通省本省に対しても意見交換を実施する予定です。

また、これらの活動は加盟組合のみなさんの声がもとになっています。日建協ではこれからも土木アドバイザーとともに、土木工事作業所の労働環境改善につながる提言活動を行ってまいります。

今後も日建協の活動にご理解、ご協力をお願いします。

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