NikkenkyoNews Vol.60 国土交通省官庁営繕部と意見交換

2016年4月22日
於:国土交通省 大臣官房官庁営繕部 会議室

 

改正担い手三法の理念を広く社会に浸透させるためには、建設投資の6割を占める民間工事への波及が不可欠です。民間工事の8割が建築工事であることから、日建協は公共建築分野において先導的な役割を担う官庁営繕部に対し、政策提言を行っています。

今回は大臣官房官庁営繕部整備課に対し、建築作業所アンケート結果を用いて組合員の労働環境の実態を伝えると共に、「建築(民間)提言」について意見交換を行いました。

 

1.民間発注者との理念共有(改正担い手三法等)
2.プロジェクト全体工期の適正化
3.担い手確保・育成のための4週8休の推進
4.下流工程への負荷を軽減する建設生産システムの普及促進
5.産官学連携の建設産業PRでの中長期的な人材確保・育成
6.施工円滑化にむけた各種施策の運用強化
7.技能労働者の処遇改善

 

官庁営繕部(写真左)と日建協(写真右)

官庁営繕部(写真左)と日建協(写真右)

官庁営繕部からは「我々は公共発注者であり、民間事業者に対し直接指導する立場ではないが、良い手本を見せ、建設産業をリードしていく姿勢を示していきたいと考えている。日建協のことは、建設産業を共にリードしていくパートナーだと思っている。今後ともこうした意見交換や様々な情報交換をしていきたい」とのコメントがありました。

 

左から、官庁営繕部新井係長、日建協地濃局次長 官庁営繕部岩村課長補佐、日建協時枝副議長、官庁営繕部松村課長補佐

左から、官庁営繕部新井係長、日建協地濃局次長
官庁営繕部岩村課長補佐、日建協時枝副議長、官庁営繕部松村課長補佐

日建協では、「土曜日を当たり前に休める建設産業」について、社会や発注者からより一層の理解と協力が得られるよう、引き続き官庁営繕部に対し、働きかけを行っていきます。

意見交換後に、公共建築工事における4週8休の実現にむけ、6月の統一土曜閉所運動への協力要請を行いました。

 

以下、意見交換での各テーマについて、官庁営繕部からの主なコメントを紹介します。

 

余裕期間の確保について
・プロジェクト全体工期の適正化にむけ、フレックスのルール整備が今後の課題である。

 

施工時期の平準化について
・土木工事で一部の地域では、発注情報について、地域の発注者協議会を通じて各地方公共団体と共有をはかり、ホームページに公開している。建築工事では、発注件数が少ないこともあり、発注者ごとに配慮しているところである。

 

上流工程で諸課題を解決する建設生産システムについて
・設計業務については、発注者責務として設計図書の精度を上げ、すぐに着手できるようにしている。

 

施工を理解する人材を活用する建設プロジェクト運営方式の推進について
・公共建築相談窓口を開設し、非常に多くの相談をいただいている。地方公共団体への支援は我々の責務でやっていかなければならないと考えている。

 

規格の標準化、モジュール化について
・これまでも標準仕様書や標準詳細図などを発行し、展開をしてきている。ICTの進展に伴い、省力化に資するところがある一方で、技術の研鑽を怠り、技術力が低下することも懸念される。また川上の設計段階では、一般的に流通している部材を用いた設計を行うなど、調達の遅延リスクを減らす取り組みを行っている。