この内容は、2001年9月に関東地協で「組合役員のレベルアップにつながること」を目的として、開催したセミナーのものです。当時、各組合の支部長・書記長、次期役員の育成の場として活用してもらおうと、若手組合員にも参加を呼びかけ、祝日にもかかわらず63名の出席となりました。
一方通行的な講演ではなく、ときおり自分が組合役員に就任した状況について参加者に質問(用紙に記入)するといった参加型のセミナーでした。
地協はなくなってしまいましたが、今後の労働組合のあり方と職場集会の持ち方の紹介として、また組合の役員とはどういうことを心がけていくべきかの参考になればという意味合いから、掲載させていただきます。
『講師プロフィール』
労働組合活性化研究所研究員 服部恵佑 氏
魅力ある労働組合づくりの支援活動を通じて、組合員の自己表現(生きがい支援)や良い会社づくり(働きがい支援)に役立てるよう年間300以上の組合を訪問し、労組と二人三脚で問題解決や活性化のため、日々取り組む。なお、2001年度に論文「労働組合再生試論」を発表し、日本労使関係研究協会より会長賞を受賞。
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意義:組合員の労働条件の改善、経済的地位の向上を図る
●労働三権で労使対等 |
意義:自分たちが所属する会社、をよりよくする。
組合運営の集団から組合・会社運営の集団へ
●マネジメントで労使対等 |
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マネジメント ⇒ 情報を知識として、知識を行動としてはっきりと形に現すこと。
― P.F.ドラッカー ―
組合活動では、ものの見方・考え方を再構築すること。 |
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T.労働組合の意義と機能
● 労働組合って何?(組合の意義)
今までの労働組合というと、私たち組合員の労働条件の向上や賃金確保という意味合いが強かったものです。そして相対的に弱者である私たち労働者は、労働三権(団結権、団体交渉権、団体行動権=ストライキ権)によって、使用者(会社)に対し対等な力関係を持つことができたわけです。社会情勢の激変する今、組合も従来どおりというわけにはいかないでしょう。
私たち組合員は、自分たちの所属する会社をよりよい会社にしていかなければなりません。社会情勢を考えれば、生活が脅かされることも考えられるからです。
つまり組合は、自分たちの労働条件の向上のみならず、会社を向上させるために、会社運営のプロ集団をもめざす必要があります。従来労働三権で労使の間を対等に保ってきたものを、マネジメント(ものの見方・考え方を再構築すること)によって対等なものにしていくということです。これがこれからの労働組合の意義と考えられます。
組合には、組織そのものの内部環境と、組織の外側から受ける影響、いわば外部環境があります。その2つの環境にそれぞれ強みや弱点があります。内部環境とは、たとえば一般組合員と組合役員の結びつきの強弱、組合員の結束力の強さ弱さ、というようなことです。また外部環境には、会社や社会情勢から加わる力によってポジティブな機会が開かれることもあれば、不安材料をつきつけられることもあります。
そこで、内部と外部の双方からいいところだけを取り上げて結びつけ、組合の持っている弱点をやわらげていくことができないものでしょうか。つまり、組合の結束力の強さとポジティブなチャンスを結びつけ、内部の弱点や外部からの不安材料をやわらげていこうという考え方です。このことによって、組合組織を構成する組合員と、組合役員の意思の疎通ができてくれば、組合員の全てが自らの目標について理解して成長を成し遂げることができるのではないでしょうか。
こういったことが今後の組合の意義になっていくと考えられます。 |