時短への新たなチャレンジ
「働き方改革」のもと、建設産業を取り巻く労働環境は大きく変わってきています。私たちの労働時間は削減されつつあるものの、長時間労働の解消は道半ばです。このような状況のなか、日建協では組合員の労働環境の改善にむけて時短推進活動に取り組んでいます。
第95回定期大会において、新たな時短推進活動の方針である「中期時短方針2018」が採択されました。今号ではこの方針で掲げられた「共通目標」と「2つの新たな取り組み」を中心に、中期時短方針の概要を説明します。
中期時短方針は、日建協加盟組合が連帯して時短に取り組む際の目的、所定外労働時間の削減目標、取り組み内容を具体的に示したものです。
時短の取り組みは、単年度の活動で結果につなげるのは難しく、継続的に実施することが必要です。このため、中期的な方針を掲げています。厚生労働省の2つの労災認定基準にもとづいています。「脳・心臓疾患発症の労災認定基準」 では、月100時間以上の所定外労働をすることで、業務と脳・心臓疾患発症との関連性が強くなるとされています。
また、「精神障害の労災認定基準」 では、発病直前の連続した3ヶ月間に、1月あたりおおむね100時間以上の所定外労働を行うと、精神障害発病の原因となり得るとされています。心と身体の健康障害を防止するため、100時間以上の過重労働をなくすとの目標を掲げました。
36協定による労働時間の延長限度は1年間360時間(月平均30時間)とされています。また、脳・心臓疾患の発症との関連性リスクが高くないとされている所定外労働時間は月45時間以内です。全ての組合員がこれを下回るよう改善をめざす必要があると考え、月30時間以内とする目標を掲げました。
日建協では2002年11月以来、6月と11月の第2土曜日に作業所を一斉閉所する 「統一土曜閉所運動」 を展開してきました。近年は建設産業全体の運動へと発展し、直近では77.2%まで閉所率が向上してきています。
会社や作業所において統一土曜閉所運動に対する理解と取り組みが浸透し、閉所する機運が高まったことにより、閉所率は77.2%にまで達しました。
建設産業を取り巻く環境が大きく変わるなか、今後は土曜閉所の回数を増やしていく取り組みが求められています。このため、日建協の目標としてきた4週8閉所の実現にむけて、新たに「4週8閉所ステップアップ運動」に取り組むことにしました。
この運動は、作業所の4週8閉所にむけて、加盟組合、作業所ごとにペースは異なるものの、「ともに一歩ずつ 」改善に取り組んでいく活動です。6月と11月を時短推進強化月間と定め、当初の閉所予定や前回の閉所実績よりも 「一歩ずつ」 段階的に着実な改善を実現していくための運動です。
作業所の労働環境改善を進めるうえでは、民間発注者や担い手となる若者とその家族などに対し、産業の社会的役割を訴えていくことも必要だと考えました。一般社会にむけた建設産業に対する理解を求めて、仮囲いへのポスター掲示などに取り組みます。
「中期時短方針2018」には、今回紹介した新たな取り組み以外にも加盟組合が共通で取り組む項目や各加盟組合が状況に応じて取り組む項目、取り組み事例なども記載されています。
今回は、日建協共通目標や新たな取り組みを中心に、中期時短方針2018の概要を説明しました。皆さん理解していただけましたでしょうか?
日建協は、組合員一人ひとりの心と体の健康の維持や、仕事と生活の調和をはかる 「ワーク・ライフ・バランスの実現」 のため、時短推進活動に取り組んでいきます。すべての加盟組合と組合員が一体となって、ともに取り組んでいきましょう。
「中期時短方針2018」 の冊子はこちらから。