国際産別組織 BWI(国際建設林業労働組合連盟)ってどんな活動をしているの?

産業内の連携

日建協では、2006年のBWI(正式名称:Building and Wood Workers International)加盟以降、これまで海外の労働環境についての情報収集と意見発信のツールとして、BWI活動に参加してきました。今号では、建設に関わる諸問題とBWIの活動の現況について、主な内容を紹介します。 

BWIとは

BWI(国際建設林業労働組合連盟)は、これまであった複数の組織が統合し、2005年12月に結成された国際産業別労働組合であり、国際労働組合総連合(ITUC)と連携関係にある国際産業別労働組合組織(GUF)を構成している組織のひとつです。現在、130ヶ国・328組合・約1,200万人規模まで組織化が進んでいます。加盟国は地域別26グループに分かれており、日本は韓国・台湾・香港・モンゴルと同じグループに所属し、BWI-JAC(BWI日本加盟組合協議会)議長がそのグループの代表を務めています。BWI-JACは、森林労連・UAゼンセン・建設連合・全建総連、そして日建協の5組織で構成されています。

海外での社会的責任と国際ルール

企業は、海外へ事業展開するなど影響が及ぶ範囲の拡大に伴い、果たすべき社会的責任の範囲も広がっています。正社員だけでなく契約社員・派遣社員、そして海外現地法人や取引先企業で働く労働者など、全ての働く人々の権利を尊重しなければなりません。国際労働機関(ILO)は、その加盟国(日本含む)においては最低限守るべき中核的労働基準(8条約)について、批准していなくても(日本も一部未批准)尊重し促進しかつ実現する義務を負うとしています。働く人の権利尊重の国際ルールとして、経済協力開発機構(OECD)の多国籍企業行動指針や国連のグローバルコンパクト、ISO26000などが挙げられますが、労働組合が直接影響力を発揮できるツールとして国際枠組み協約があり、BWIは戦略プランの重点項目としてその締結推進に取り組んでいます。

「日本の常識はこうだから」「進出先国の法令を遵守しているから」は、世界に通用しません。日本の建設に携わる企業が、多国籍企業として真に社会的責任を果たし企業価値を高めていくには、国際的に認知された原則や基準に則った行動が不可欠です。企業がその活動をワールドワイドに展開しその影響が広がりをみせるなか、労働組合側もグローバルに対応していくことが求められています。

 

《国際枠組み協約とは》

国際産業別労働組合組織(GUF)が多国籍企業との間で「中核的労働基準の遵守」や「労働基本権の尊重」を柱とする協定を締結し、対話を進めていく中で建設的な労使関係をグローバルに築いていこうとするものです。多国籍企業とGUF並びに国内の労働組合がともに社会的責任を果たすことを約束し、その実効性を高めていくことを目的としています。

日本では、高島屋とミズノがこの国際枠組み協約を締結していますが、サプライチェーンが複雑な建設産業においても、海外進出の加速に伴い当然ながら対応を進めていく必要があります。この締結により、労使対話の促進で海外進出先での労使紛争を未然に防ぐことにつながり、トラブルが発生した際は、GUFのネットワークやノウハウにより早期解決が図れます。

 

世界各国の諸問題とBWIの取り組み

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コロンビア

多国籍企業(経済大国)からの、移民労働者と女性労働者に対する劣悪な待遇が顕在化。BWIは労働組合を支援・強化し、多国籍企業からの圧力を排除し、ILO中核基準の遵守、ディーセントペイ・ワークの保障を要請。

 


 

ブラジル

FIFAワールドカップの施設建設では、クレーンが倒れるなど作業員の被災が相次ぎ、労働者の安全が守られていない。安全衛生そして賃金を始めとした労働条件の確保に向けて、BWIはFIFAに対し建設現場の権利を守るための運動を行っている。

 


 

ガボン

多国籍企業により労働者150人が不当に解雇されたことに対して、BWIはアピール活動を行い、労働組合の意義を伝え組織化が促進。ベルギーとフランスの労組が、ガボンまで足を運び対話することに繋がり、国際社会との交流に発展し子供たちへの教育支援にも寄与した。

 


 

スイス

スイスの建設労働者のうち7割はスペイン人かイタリア人であり、ダンピングや搾取が存在する。BWIは同じ仕事をしている者は、国籍や性別に関わらず同賃金であるべきだとし、改善に向けて運動を行っている。

 


 

カタール

隣国からの多くの移民労働者は、パスポートは取り上げられ、長時間労働のうえ賃金は不払い、20人部屋での過酷な生活を強いられている。「まさに奴隷」のような労働環境である。BWIはワールドカップに関して商業的にも決定権を持っているFIFAに対して、その責任は逃れられないとし、『労働者の権利無くしてワールドカップの開催は無い!』といった改善を強く要請するグローバルキャンペーンを展開。

 


 

インド

多くの子供たちが両親の借金の為に、カタールなどの他国へ出稼ぎに出され、一日20時間以上働かされている。BWIは、送り出す国にも問題があると考えると同時に、政府に対し適正な契約締結について、プレッシャーを掛け続けている。

 


 

中 国

以前の中国の労働運動は政府の弾圧を受けていたが、今ではストライキやソーシャルメディアを通じた働きかけが活発化するなど、自由になりつつある。BWIはこの民主化への動きには賛同するが、中国国営企業がアフリカへ進出し、現地労働者に対して搾取している事実は許されないと警告している。

 


 

日本では・・・

海外で工事をする日本のゼネコンは裾野の広い多国籍企業であり、致命的な国際問題を引き起こすリスクを抱えています。また、2020年東京オリンピック開催に向けたインフラ整備や東北震災復興の本格化に伴い、いっそうの技能労働者不足が懸念されるなか、海外からの移民労働者が増えることも考えられ、日本の建設現場でも世界各国で今起きている問題と同様の事態が生じる可能性があります。 BWI-JACを通じ、BWI本部やアジア事務所とのパイプを強化することは、起こりうる事態を未然に防ぐことに繋がり、また問題が生じた際も早期解決に向けて、BWIの組織力と経験を活かした対応を可能にします。

 

トピックス

2013/12/4~5に、タイ・バンコクで開催されたBWI第3回世界大会に参加しました!

今大会は『JOBS FOR ALL JUSTICE FOR ALL(全ての人に雇用を、全ての人に公平性を)』をスローガンとして開催され、以下3点を軸としたBWI戦略プラン(2013年~2017年)が採択されました。

◆ 組織化・・・労働者が団結して課題に立ち向かえるよう組織拡大に注力

◆ 交渉・・・ILO中核的労働基準の批准国拡大、国際枠組み協約締結推進

◆ 効果的な法整備・・・産業政策に影響を与える法整備に積極参加

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801-8-1《大会レセプションにて》

日建協植村議長は、この大会で会長の任期を終えたクラウス前BWI会長(ドイツ)と挨拶を交わし、これまでの慰労の意を伝えました。また、今回続投となるアンベット・ユソン書記長(フィリピン)へは、「日本の建設産業において、海外での仕事が増えているなかで、ILO中核的労働基準の批准国拡大や国際枠組み協約締結の推進は非常に意味のあることであり、今後のBWI活動に対してとても期待している。」などと考えを示し、「日本の組合員が海外で労働問題に直面した際には、協力をお願いしたい。」と要請しました。

終わりに

BWIは、建設産業の国際産別組織としてあらゆる国際機関などへ働きかけを行い、世界で起きている労働問題の解決に向けて積極的に活動を展開しています。日建協では、加盟組合企業が海外へ事業範囲を広げていくなか、世界各国において労働環境の底上げに向けて取り組みを続けるBWIの活動に参加することは、産別組織としての責務であると捉えており、今後も継続して活動を進めていきます。

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