建築(民間)提言 「適正工期での受発注」
~4週8休を含む不稼働日を考慮した工期設定の実現にむけて~
日建協では、建築作業所で働く組合員の労働環境改善をめざし、関係機関に対して適正工期(日建協標準工期の考え方)で受発注を行うよう提言しています。建築工事の約8割は民間事業であり、法律を守ってさえいれば受発注者の合意により施工者にとってどのような厳しい条件でも契約が成立してしまいます。
そこで、適正工期での受発注を実現するために、共通認識の醸成をはかるとともに、具体的な方策のひとつとして民間契約に多く用いられる民間(旧四会)連合協定工事請負契約約款に休日条件を盛り込むよう約款構成団体(*)に対して働きかけを行ってきました。今回はこれまでの提言活動とその回答、および今後の活動の方向性について紹介します。
* 約款構成団体:日本建築学会、日本建築協会、日本建築家協会、全国建設業協会、日本建設業連合会、日本建築士会連合会、日本建築士事務所協会連合会
1.これまでの建築提言活動
日建協では「適正な工期」の指標として、作業ができる「稼動日」と、作業ができない「不稼動日」について明確にした「日建協標準工期」の考え方を用いて、工期設定を行うよう提言しています。
回答・意見に対するコメント
稼働日と不稼働日を明確にした日建協標準工期の考え方については多くの理解を得ることが出来ました。しかし、稼働日をはかる共通のものさしが存在しないことなどから、適正工期での受発注の実現にむけては、検討すべき課題が多く存在することを改めて認識しました。日建協では、これまで関係者から頂いた意見をもとに、関係者に4週8休を含む不稼働日を考慮した工期設定での受発注を働きかけていきます。
日建協では民間契約において、何かルールが必要と考え、民間契約に多く用いられている民間契約約款に休日条件を盛り込むよう提言しています。
回答・意見に対するコメント
これまで約款に休日条件を記載するよう働きかけてきましたが、約款委員長からは「民間契約約款に休日条件を記載することは難しい」との厳しい回答をいただきました。しかしながら、何らかのルールなくしては、建築(民間)工事において適正工期での受発注を実現することは難しいと考えるため、日建協では今後も様々なアプローチを考え、ルールづくりにむけて取り組んでいきます。
その他、適正工期に対する様々な意見
回答・意見に対するコメント
契約時の「工期設定」の問題に加え、4週8休実現のための要素として「発注者インセンティブ」「プロジェクト全体の工期」「設計と施工のあり方」など、様々な意見をいただきました。今後、政策提言アドバイザーとともに議論を深めていきます。
2.今後の提言活動
これまで活動を行う中で、適正工期で受発注が行われることの重要性が理解されるとともに、実現にむけては関係者より様々な意見を頂くことが出来ました。日建協では、これまでの日建協標準工期の考え方とともに、例えばプロジェクト全体の工期などにも着目し、設計との対話をはじめ、民間契約約款構成団体をはじめとした受発注に関係するものに対し、4週8休を含んだ適正工期での受発注の実現にむけて、「適正工期のルールづくり」にむけて取り組んでいきます。
3.おわりに
日建協が2007年から提言を続けてきた「適正工期」について、人材不足の問題と合わせ、活発な議論が展開されて来ています。工期には様々なファクターがありますので、引き続き関係諸団体に対し提言を行い「働くすべてものがきちんと休める適正な工期の実現」を目指します。
今般、公共工事の改正品確法では発注者が負う責務の一つとして「適切な工期設定」が示され、また建設産業活性化会議の中間とりまとめでは「週休2日制の実現」が打ち出されました。これらを公共発注者のみならず、民間も含めたすべての発注者の共通認識として的確に運用されるよう、関係者に対し働きかけを行っていきます。