BWI アジア・太平洋地域セミナー会議(inネパール)に参加しました!
日建協では、2006年のBWI加盟以降これまで、海外の労働環境についての情報収集と意見発信のツールとしてBWI活動に参加しています。今号では、ネパールで開催されたBWIアジア・太平洋地域セミナー会議の内容を中心に、BWI活動の現況について紹介します。
BWIとは
BWI(国際建設林業労働組合連盟)は、2005年12月に結成された建設産業と林業の国際的な組合組織です。現在、130カ国・328組合・約1200万人。BWI-JAC(BWI日本加盟組合協議会)は、森林労連・UAゼンセン・基幹労連建設部会・全建総連そして日建協で構成されています。
アジア太平洋地域の行動計画について
2013年BWI世界大会で採択された2014年~2017年の戦略計画(インパクト優先事項)に基づき、アジア太平洋地域における具体的な行動計画について確認されましたので、以下に主な内容を紹介します。
◆ BWIの組織拡大と多国籍企業との交渉
⇒ 建設現場で働く多くの労働者に対してBWIへの参加を呼び掛ける。また、セメント産業や紙・パルプ産業にも働きかける。
⇒ アジア諸国に進出している中国の多国籍企業に対して、国際枠組み協定の締結を交渉する。
◆ 主要なインフラプロジェクトや公共事業において労働環境の改善
⇒ 大型インフラプロジェクトへ資金を拠出しているアジア開発銀行と対話を行い、働く労働者の環境改善に繋げていく。
◆ 主要なスポーツイベントにむけた
建設プロジェクトへのキャンペーン「フェアプレー、フェアゲーム」の実施
⇒ 2018年韓国冬期オリンピック、2020年東京オリンピック、そして2022年カタールでのワールドカップにむけた施設建設において、この機会に労働者へのサポートに注力する。FIFAとIOCへは持続的な関与と対話を強化していく。日本では移民労働者を増やしていく施策が出ているが、その労働者が不当な取り扱いを受けないように注視する必要がある。
◆ 国際的な安全衛生基準の改善を要求
⇒ インドやバングラデシュでは、建設中のビルが崩壊し多くの労働者が亡くなっている。世界的安全衛生ネットワークの早期構築をめざす。また、パキスタンでの全国的なアスベスト禁止運動にも支援していく。
◆ 不安的雇用や低賃金・長時間労働による
生産コスト引き下げを止めるキャンペーンの実施
⇒ インドやネパールでは、石切り場やレンガ釜で働く児童労働者むけの学校作りを継続し「全ての人への教育」を支援する。
◆ 移民労働者の権利を守るグローバルキャンペーンの実施
⇒ 政府間の協定を注視するだけでなく、送り出し側と受け入れ側の組合間における協定締結と関係強化に取り組む。
◆ 若年者雇用と男女平等にむけたキャンペーンの実施
⇒ あらゆる場面・組織において女性の比率30%達成をめざしていく。
⇒ 若い労働者に対して技能研修を積極的に展開し、適正な雇用機会の拡大に尽力する。
2020年東京オリンピック・パラリンピック開催にむけ、産別組織としての立場から、技能労働者の不足に伴う移民労働者すなわち外国人労働者の活用について、植村議長がBWI-JACを代表してその主張を述べました。
《スピーチの概要》
◆ 開催の決定は日本の建設産業にとっても明るいニュースの一つだが、同時に現場で働く人材の不足にさらに拍車がかかることが懸念される。国は外国人技能実習制度の緩和により、外国人が日本で働ける期間を延ばすことで対応。
◆ この施策には問題点が3つ
● 外国人技能実習制度は、建設技術の移転などの国際貢
献が目的。本来の主旨でない。
● 実習期間が3~5年の外国人を、現場の労働力として活
用するのは無理。
● 現状の労働環境で外国人労働者を受け入れても、労働条件低下の悪循環を招きかね
ない。
◆ この産業で働く労働者の処遇改善を始めとした根本的な人材確保策を行うことが先決。誰もが働きたいと思える産業をめざし、その中で外国人労働者が入国する好循環を産み出すべき。
《スピーチを終えて》
出席者からは「日本が外国人労働者の受け入れを開始するなら、送り出す国はその準備をしなければならない。」 「技能のある労働者だけではなく、技能のない労働者の受け入れについても検討してもらいたい。」 などの発言があり、アジア諸国では日本で働くことに強い関心を抱いていることがうかがえました。
カタールでの移民労働者の現状について
終わりに
BWIは、建設産業の国際産別組織としてあらゆる国際機関や政府へ働きかけを行い、世界で起きている労働問題の解決にむけて積極的に活動を展開しています。今後、日本でも外国人労働者の増加が考えられるなか、産業内において起こりうるトラブルを未然に防止するため、また問題が生じた場合の早期解決にむけた対応を可能とするためには、BWIの組織力と経験を活かしたノウハウが必要であると考えます。今後もBWI-JACの活動への参加を通じて、BWIとの関係強化に努めていきます。