風水の基本
避けて通れない陰陽五行説
風水だけでなく、漢方や鍼灸、中国の占いや武術、哲学を知る上で避けて通れないのが陰陽五行説です。膨大な学問ですが、ここでは駆け足で、本当にサックリとみていきましょう。
5つのエネルギー(五行)
五行というのは、5つのエネルギーの動きが変化していくサイクルを表しています。5つのエネルギーの動きはそれぞれの動きの方向によって、一般に火、土、金、水、木の5つの現象を示す名称で知られています。
● 火
季節:夏、方向:南・上、色:赤
月:輝く満月
エネルギーは上に向かっており、エネルギーサイクルが最高点に達している。● 土
季節:季節の移行期、方向:中央、
色:黄、月:欠ける前の大きな金色の月
エネルギーは自らの軸を水平に回り、季節の変化する時期に影響を及ぼす。● 金
季節:秋、方向:西・左、色:白、月:欠けていく月
内向きのエネルギーで圧縮したり固めたりする性質を持つ。全エネルギーのなかでもっとも密度が濃い。● 水
季節:冬、方向:北・下、色:青・黒
月:新月
エネルギーは下に向かっており、物事が最大限の休息と集中に入る段階。● 木
季節:春
方向:東・右、色:緑、月:満ちていく月
あらゆる方向に広がるエネルギーで、大きな力を持つ。何かが現れ成長しはじめる段階。
相 生
相 剋
この5種類のエネルギーは、次から次へとナチュラルに変化していきます。季節が変わるように、あるエネルギーの形態が、違うエネルギーの形態を生み出して循環していくのです。
イラストはエネルギーの創造サイクルをあらわします。これを相生(そうせい)関係といいます。
これによって宇宙を考えるとちょっと面白いですね。今宇宙は膨張しつづける木の状態。だとすると、膨張しきって最大限に達したあとは、収縮しはじめて長い休息の暗黒がやってきて、また膨張し始める・・・こんなサイクルを、想像を絶するほど長い時間繰り返していくのでしょうか。
こちらは制御サイクルで、矢印の先にあるエネルギー形態をコントロールします。相性が悪いというより、制御しあう関係というべきでしょう。たとえば水は火をコントロールします。火の上向きの勢いは、下に向かう水の重力によってバランスを保たれています。水のエネルギーが弱ければ火は燃え盛ってしまうし、反対に強すぎれば火は消えてしまいます。
これを相剋(そうこく)関係といいます。
4種類の動物(四霊獣)
人間は常に肉体的および精神的調和を求めています。風水師は生活や環境を調和させるために、特殊な精神地図を使い、大きなことから日常的な小さなことまで解釈します。風水地図で一番のポイントは、どんなときでも人間の位置が周囲の世界の方向や関係を決めることです。
もっとも一般的な地図のひとつは、単に“4種類の動物”として知られています。少し神話的に見えますが、インテリアから人間の活動力の機能まで、とても広範囲な現象を理解するのに使えます。本来は都市の立地条件の判断とは関係のないものでしたが、風水の発展にともなって地形条件が加味されるようになりました。
風水においては、四獣の配置の出発点はあくまで「中心の人間が向かっている方向」です。その人に対して、龍が左(東)側、虎は右(西)側、不死鳥は前(南)、亀は後ろ(北)ということになります。本来、各動物には一定の象徴性がありました。以下にその象徴を表にしてみました。
龍(青龍)
虎(白虎)
不死鳥(朱雀)
亀(玄武)
方角:東、色:緑
季節:春、要素:木(もく)
地形:長くたくましくうねっていく山脈
遠方まで見渡せ、神聖な性質を持っている。龍は鳥が集めてくる情報について思案し、重要な決定を下す。龍は驚くべきエネルギーを持ち、同時に賢明さの象徴でもある。方角:西、色:白
季節:秋、要素:金、地形:大きな路
防護と攻撃の象徴。千里を行く。この力は必要であるとともに慎重なコントロールが必要。常に危険な兆しを発見しようとするが、人間に内在する暴力の危険性の象徴でもある。方角:南、色:赤
季節:夏、要素:火、
地形:大きく舞い跳ぶような山、翼を広げたような池
不死鳥は視力、周囲の環境や、そこで展開している出来事について知覚できる情報収集能力をあらわしている。大変美しく、強烈な刺激と不滅のインスピレーションを与える。方角:北、色:黒
季節:冬、要素:水(すい)
地形:どっしりした山
丈夫な甲羅も持つかめは安定という性質が特徴。安全な状態。ふさわしい位置は後方で、甲羅のように安全と長命をもたらし、後方からの攻撃に対する不安から解放する。
これらの霊獣は人間が祀る神ということではなく、風水にとってはあくまでも理想地形を読みとる地図のひとつでしかありません。この理論にかなった土地を「四神相応」の地と呼びますが、地形に「四神相応」を読みとっただけでは都はおろかお墓も家も造れません。具体的にどういう土地が「四神相応」の地なのかは次の章で紹介します。
駆け足での基本でしたが、以上のようなことをベースに、風水は体系付けられてきました。では実際にどんなふうにみていくのでしょうか。
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