加盟組合 企業経営者はこう言っています! ― 2014年度会社訪問
2014年度 会社訪問
日建協では毎年加盟組合企業を訪問し、日建協活動への理解と協力を求めるとともに、産業が抱える様々な課題についてついて貴重な意見をいただきましたので、主な内容をご紹介します。
時短アンケート結果をもとに、労働時間の実態や意識に関する組合員の現状を説明し、時短推進活動や統一土曜閉所運動について、労使一体となった取り組みをより一層強化するよう求めました。
◆ 外勤技術系の約半数が80時間以上の所定外労働を行っている。特に100時間以上は全体の3割を超えており、早急に解決する必要がある。
◆ 建設産業に魅力を感じる割合は17年ぶりに5割を超えたものの、まだまだ低水準である。「長時間労働の解消」 「賃金水準の向上」「ものづくりに対するモチベーションアップ」により、さらなる建設産業の魅力向上が必要である。
◆ 統一土曜閉所運動での閉所率が低下傾向である。土曜日が休める産業となるためにも、まずは年2回の統一土曜閉所運動への強力な指導・推進をお願いする。
企業経営者からの主な意見
◎ 役員を筆頭に全国の現場を回り、職種別の労働時間と労働内容の実態を個人個人にヒアリングしている。
◎ 社員の人数や仕事量を考え、様々な方法で採用を行っているが思うように増えない。仕事量が増加傾向にあるため、仕事の効率をどのように上げるか知恵を出し工夫していかないといけない。
◎ 所定外労働時間が100時間を超える状況を放置してはいけない。業界全体で取り組む必要がある。
◎ 発注者に対し、毎月1回土曜日閉所を工程に組み込む許可を得ている。今後も積極的に申し入れていくつもりである。
◎ 長時間労働は会社のリスクである。メンタルケアを推進し貴重な人材を失わないようにしなければならない。長時間労働は休日出勤が大きな要因となっており、土曜日閉所を重視している。
◎ 採用活動において学生がまず聞いてくることが「週休2日となっていますが実際はどれくらい休めますか」という質問である。土曜日・日曜日が休めることは、学生が就職先を決める大きな要因となっているのではないか。
◎ 年2回の統一土曜閉所ができない建設業の経営者は恥ずかしいと思わないといけない。呼びかけないと年2回の土曜閉所さえできない環境で仕事をしてもらっているのは情けない。
※ 女性技術者会議の詳細は、Compass 9月号(Vol.802)をご覧ください。
日建協出前講座で得られた大学生の意見を紹介するとともに、建設産業のイメージアップにむけた取り組みをお願いしました。
◆ 女性技術者会議で出された意見に基づき、労働環境の整備をお願いする。
◆ 抽出された課題は女性に特化した事項に限らず、建設産業全体の抱える構造的な課題も多くあり、産業の魅力向上のためにも対応をお願いする。
企業経営者からの主な意見
◎ 一気に変えていくことは出来ないが、女性が働きやすい会社の制度に変えていこうと思う。
◎ 女性が思い切って入職しなければならない産業は特別な産業であり、普通に勤務できる産業をめざしていきたい。
◎ 女性を採用することで環境が変わることもある。労使一体となって環境改善、魅力の伝達に努めていきたい。
◎ 女性の労働環境も大切だが、企業としては誰もが働きやすい全体的な労働環境の整備を行っていく。
※ 日建協出前講座の詳細は、Compass 3月号(Vol.801)をご覧ください。
日建協出前講座で得られた大学生の意見を紹介するとともに、建設産業のイメージアップにむけた取り組みをお願いしました。
◆ 希望職種に関する調査では、工事管理を希望する大学生は土木系で30.5%、建築系で2.7%であり、もっと工事管理の魅力を知ってもらう必要がある。また、建設産業の魅力について現場見学会などで子供たちへのアピールもお願いする。
◆ ゼネコンへの魅力について、大学生と若手外勤職員とでは感じ方が異なり、若手職員が魅力を感じる「建設物が後世に残る」「創造する喜び」「共同して仕事をする喜び」をもっと大学生に伝えていく必要がある。
◆ 個社のPRに留まらず、建設産業全体のイメージアップをお願いする。
企業経営者からの主な意見
◎ 若手の入職希望者を増やしていくためにも、建設産業の魅力を伝える出前講座などの活動を継続して欲しい。
◎ 一企業として積極的にイメージアップ等のできることは進める。それ以上のことは業界全体で進めていきたい。
◎ 建設産業への入職者に聞くと、小学生や中学校の時に職業選択のきっかけがあったりする。早い段階でアピールが必要だと考えている。
◎ 自社の人材を増やすためにも、建設産業全体の魅力をアピールしていく。
※ 土木(公共)提言の詳細は、こちらをご覧ください。
※ 建築(民間)提言の詳細は、Compass 11月号(Vol.803)をご覧ください。
作業所で働く組合員における長時間労働などの諸問題の解決を目的に、日建協が行っている提言と国土交通省(地方整備局)や業界団体等の関係者から得た回答について、意見交換を行いました。また、諸問題のなかで各企業にてできる取り組みをお願いしました。
土木(公共)工事に従事する組合員の問題解消について
◆ 国土交通省は「受注者からも三者会議開催の発議を」とコメントしており、受注者として積極的に発議すべきである。
◆ 施工円滑化にむけ、各施策が適切に運用されるように引き続き実態の把握が必要である。
◆ 国土交通省以外が発注する工事においても同様の問題があり、解消にむけた取り組みが必要である。
◆ 改正品確法の内容が、民間も含めたすべての発注者の共通認識として運用される必要がある。
企業経営者からの主な意見
◎ 国土交通省は以前に比べると、工事一時中止が認められ、設計変更や設計不具合による三者会議が開催されるなど変わってきていると思う。国土交通省からその他の行政機関、民間発注者等への展開を期待する。
◎ われわれにも契約の履行責任があるとの考え方に変えなければならない。必要であれば、契約に基づき工事一時中止などの申請を行う。
◎ 国土交通省は施工円滑化に関する施策について、積極的にアナウンスしているが現場レベルではまだまだ浸透していない。
◎ 国土交通省が開示した通知・通達等を自社の国土交通省管轄の工事所長に伝達し、理解させている。双方が理解することが片務の予防に繋がる。
◎ 品確法改正をチャンスと捉え、うまく利用し積極的に新しいものを取り入れていくことが大事である。
建築(民間)工事における適正工期での受発注について
◆ 適正工期で受発注するために、民間契約約款へ休日条件を記載するなどのルールづくりが必要である。
◆ 4週8休を含む不稼働日を考慮した工期設定で受発注すべきである。
企業経営者からの主な意見
◎ ルールづくりとして、契約約款に休日条件を記載することは難しいと思うが、まずは約款に記載することから始めないと何も変わらない。
◎ 日建連では「工期ダンピングを撲滅しよう」という流れである。国土交通省も民間工事の適正工期について言及している。受注環境の変化がみられる今が変えるチャンスである。
◎ 産業全体としてこれまで工期も競争材料としてしまっていたが、今は適正な工期と工事費をあわせて施主に要求できる環境へと少しずつ変わってきている。一企業として改善に向けてやれることをしっかりと進めていきたい。
◎ 全体の計画があやふやなため「もの決め」ができない。工事の引き渡し時期は変わらないため、現場は非常に苦しんでいる。
企業経営者への提言
◆ 短工期での受発注の根絶、土日閉所を前提とした工期設定での受発注をお願いする。
◆「4週8休取得モデル現場」の推進、「プラス1の人員配置」をお願いする。
企業経営者からの主な意見
◎ 民間工事において短工期での受発注の根絶は難しい。行政機関が適正工期をチェックする仕組みが必要である。
◎ 4週5閉所取得モデル現場を8現場で設定している。やはり着工段階から土曜閉所を工程に組み込み、施主の理解も得つつ取り組まなければならない。
◎ コストの問題もあり、どの職場でもプラス1というわけにはいかないが、大規模現場ではプラス1の配置を心掛けている。人材育成のためにも重要と考えている。