加盟組合 2015年度 会社訪問  今、企業経営者はこう考えている !

8-9-01title日建協では、毎年加盟組合企業を訪問し、日建協活動への理解と協力を求めるとともに、産業が抱える様々な課題について企業経営者への提言と意見交換を実施しています。今年度においても貴重な意見交換を行いました。主な内容を紹介します。

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◆ 外勤技術系は所定外労働時間約80時間であり、依然長時間労働が常態化している。そのような中でも100時間を超える所定外労働を行う組合員の多くが 「諦めずに自ら何とかしないといけない」 と思っている。改善には労使協働での取り組みが不可欠であり、協力をお願いしたい。

経営者からの主な意見

⇒ トップダウンの号令だけでなく、効率的に業務を進めるためのアイデアやツールを展開し、時短に対する取り組みを促している。上司の意識改革が重要と考えているが、個人の意識も不可欠であり 「どういうスケジュールで」 「どうやるか」 を意識し 「いかに充実した業務時間にするか」 を考え、実践するよう指導している。

⇒ 時短について社員教育を行い 「どうしたら休める様になるか」 と聞いているが、若年社員では時短に対する取り組みには限界があると感じる。作業所長の意識改革と自由に議論できる風土作りが重要と考える。

⇒ 経営者として、早い段階で手を打たないと建設産業が衰退してしまうという危機意識が高まっている。日建連の長期ビジョン作成も 「産業として足並みをそろえて対応しなければならない」 という危機感の表れだ。

8-9-03⇒ 長い歴史のなかで 「時間をかけてでも良いものを作っていこう」 という意識が根付いている技術者に対し、「長時間労働は健康を損なうリスクがある」 「長時間労働を減らすことが大事だ」 と伝えても、なかなか理解させるのは難しいのかもしれないが、多少時間がかかっても意識を変えていく。

⇒ 家庭のイベントがある職員に対しては 「絶対残業するな、させるな」 「休もう」 「周りの仲間で対応しよう」 を徹底している。

◆ 6月の統一土曜閉所運動では、閉所率が6年ぶりに60%を超えた。労使協働の取り組みにより、大幅に閉所率を上昇させた加盟組合も複数ある。国交省は週休2日制の実現をめざしており、産業を取り巻く環境も動き出している。土曜日があたりまえに休める産業にしたい。

 

経営者からの主な意見

⇒ 週休2日の実現には、本人の休もうという意志とあわせて、会社のリーダーシップが重要であることは承知しており、覚悟を持って取り組まなければならないと考えている。民間発注者にどう理解を得るのかが課題である。

⇒ 職人が日給月給であることも土曜閉所への動きを鈍らせている大きな要因だ。

⇒ 国交省や厚労省の後援を得たことを今後に活かしてほしい。かけ声だけで終わることなく、実効性をともなう法整備や仕組みづくりに繋げてほしい。

◆ 20代で約4割、30代で約3割が転職を考えている。まずは働くもの自身が魅力を感じ、誇りを持って働けることが重要と考える。

 

経営者からの主な意見

⇒ 若い人材を確保するためには、労働環境の早急な改善が必要であり、賃金水準の向上とあわせて、長時間労働を解消しなければならない。

⇒ 転職を考える職員の多くが他産業を希望していることはゆゆしき問題だ。危機感を覚える。

⇒ 多くの離職者を出したのは我々の反省点でもあり、残念な結果ではあったが、その後作業所で 「土曜は交代でもしっかり休むようにしよう」 と徹底している。また、施工支援体制をスタートさせて作業所の負荷を軽減している。

⇒ 一人前になり、これからという時に離職してしまうのは、言葉では言い尽くせないくらい、とにかく悔しい。

 

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◆ 女性技術者会議では、ロールモデルを作成しながら、女性が働き続けるうえでの問題点とその解決策について議論を行った。女性活躍推進についてお聞かせください。

 

経営者からの主な意見

⇒ 建設業界にも女性が増えてきたので、少しは建設業界も変わってきたと感じている。女性が働いていることで、一般社会のイメージも変われば良いと思う。

⇒ 女性が働き続けるためには、時短は必須事項。所定外労働の削減と同時に個人の働き方を選べるようにしないと、女性の活躍する場が増えていかない。

⇒ 女性活躍にむけて制度は整ってきたが、運用が課題。現状では出産や育児の負担が女性に偏っている。男性が育児休暇を取れるような流れを作りたい。

⇒ キャリアを積んだ女性には、育児休業後また戻ってきてもらわないといけない。
⇒ 技術職でない女性、また出産しない女性も多い。あらゆる女性のモチベーションを上げるような取り組みが必要だ。

◆ 次世代を多くの学生たちに 「ものづくりの喜び」 や 「社会的役割」 などの建設産業の魅力を伝えるため、出前講座を実施している。

 

経営者からの主な意見

⇒ 建設産業を正しく知ってもらうことは重要であり、現場に携る職員の実体験をふまえた話は重みと説得力があると思う。

⇒ 小さい頃に大きな建築物を見たという体験が建設産業を選択するきっかけになると考え、地元の小学生への現場見学会など、今後もやれることを積極的に実行していく。

⇒ 大学生以外の若い世代にも建設産業の魅力を伝えてほしい。

 

※ 女性技術者会議の詳細は、Compass 9月号(Vol.806)、 日建協出前講座の詳細は、Compass 3月号(Vol.805)をご覧ください。

 

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◆ 4週8休モデル工事の推進について提言している。4週8休の実現にむけた取り組みをお聞かせ願いたい。

 

経営者からの主な意見

8-9-06⇒ 4週6休モデル作業所として設定しようと考えている。まずは形にしていかないと前に進まない。一歩一歩進めていきたい。

⇒ 業界としての動きを待つのではなく、会社として4週8休を進めていきたいと考えている。今年度は月1回の土曜閉所、来年度前半で月2回以上の土曜閉所を達成し、1年後には一つでも多くの作業所で完全週休2日を達成できるように頑張っていきたい。

⇒ 民間の建築工事でも、受注段階において、施工者の工程に関する要望を聞き入れてもらおうと努力しているところだ。受注産業なので、実際は厳しいところもあるが、現業で工程を作成する段階で、4週5休・6休とモデル的な工程をめざすよう指導している。徐々にではあるが改善してきている。

◆ フロントローディング型の建設生産システムの普及促進について、お聞かせください。

 

経営者からの主な意見

⇒ フロントローディングの考え方など、建設業自体の今までの仕組みも含めて何がベストな選択なのかを考える時期に来ている。現業だけ変えようとしても難しい。もっと上の所から変えることで上手く動いていくかもしれない。

⇒ 設計図書自体に問題があって、実態に合っていないということが多い。設計段階から入っていくのが良いのだろう。

◆ 国交省に対し、直轄工事が手本となり、地方自治体や民間の発注工事へ改正担い手三法の理念を浸透させるべきと提言した。

 

 

経営者からの主な意見

⇒ 担い手三法が打ち出されたことは我々にとって非常にプラスである。民間にどう波及していくかは難しいところではあるが、働きかけを強化していかなければならないと感じている。

⇒建築工事の発注者は約8割が民間企業で、「早く・安く」 がニーズとしてあり、適正な工期設定は厳しいのが現状。まず官庁工事で手本を見せて、民間に普及させていってほしい。

⇒ 国交省の本省や整備局では積極的な動きがあるようだが、改正品確法の理念が各工事事務所の現場監督官にまで徹底されていないのが課題である。監督官が施策を認識してくれないと改善へは繋がらない。

◆ 『適正な工期』での受発注にむけて必要なことは。

 

経営者からの主な意見

⇒ 工事の確認申請時に土曜閉所を加味した工程表を添付させ、その履行を義務付ける仕組みなど、発注者側にタガをはめる仕組みが必要だ。

⇒ 労働局が土曜日に閉所していない事業の発注者に是正勧告を出すなど、発注者を規制する仕組みを作っても良いのでは。

⇒ 民間は過当な受注競争があることからも、発注者の理解が必要である。受注段階で 「週休2日でマスター工程を書かせて欲しい」 としっかり意思表示しなければならない。

※土木提言の詳細は、Compass 11月号(Vol.807)、 建築提言の詳細は、本号Compass 1月号の「政策提言 建築作業所における4週8休の実現にむけて」 をご覧ください。
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経営者からの主な意見

8-9-08⇒ 各社がしのぎを削るというよりも、産業全体として労働条件を改善していかなければならないという空気が醸成されてきており、労働環境を改善していくうえでは好ましい状態だ。今が正念場でもあるといえる。日建協にも頑張って欲しいし、協力も惜しまない。

⇒ 一つの会社で出来ることには限界がある。関係機関に面と向かって言えるのは日建協のような産業別労働組合しかない。

⇒ 社員の誰もが会社に誇りと忠誠心を持たないと、会社は絶対に存続できない。そのためにも少しでも社員に還元したいと思っている。

⇒ 時短を含め、良い会社にしようと本気で取り組んでいる。職員が誇りと希望を持って働けるよう、労使一体となって取り組んでいく。

⇒ 「事業スケジュールありきの短工期受注根絶」 を徹底しており、当社では競争案件で 「工期を金で買うことはやめよう」 という方針を打ち出している。業務量が増加している中、まずは職員の安全を第一に考えなくてはいけない。

⇒ 今の建設産業は会社も組合もめざす方向は同じである。広く一般社会にどう訴えていくかをともに考えていかなければならない。

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