資 料


2.民間マンション建築工事に関する実態調査結果

A安値受注について


以下から、安値受注に関する設問です
設問4 受注金額、実行予算について教えて下さい。
―結 果―
D、Cの『全く足りない、持ち出しである』『本・支店経費、現場経費とも確保できない。赤字である』を合わせると70.0%、さらにBの『本・支店経費は出ないが、現場経費は確保できる』を加え、会社として赤字となると回答した現場は全体の約90%となった。非常に厳しい状況がうかがえる。
図2−11 受注金額と実行予算について
目次へ


(設問4でC、Dと答えた方にうかがいます)
設問5 なぜ利益が上がらないと考えますか。
―結 果―

『受注金額が安すぎる(そもそも受注金額に無理がある)』と安値受注が原因であることをあげている現場がほとんどで95%となっている。
図2−12 利益が上がらない理由
(その他意見)




作業開始(契約工期)、着工前に近隣協定等結んでおくべきである。発注者の責任である仮囲いの外の範囲について余分な金、手間、時間がかかる。
品質及び仕上グレードは、さらに高くを求められるが、受注金額は、それについての適正価格になっていない。
受注時の仕様及び工事範囲が曖昧であり、予定外費用の発生が必ずある。


(ここからは全員がお答えください)
設問6 利益向上のため取組んでいることがあれば教えて下さい。(回答:複数回答)
―結 果―
『VE手法によるコスト削減』が89.4%と9割近くの回答となっている。以下、『作業所経費の節約・削減』『最低品質を確保し、仕様以上の品質にコストをかけない』と続いている。労働条件の悪化に影響を及ぼす原因と予想される『配員人数の削減』が52.8%と半数以上の回答があるほか、『工期短縮による経費の節減』も28.6%と3割弱回答しており、一人当りの仕事量の増加を招いていることを表している。その他の意見としては、協力会社へのコスト負担や厳しい契約による発注等、協力会社との不健全な契約関係に関する回答が目立つ。
図2−13 利益向上のために取り組んでいること

(その他意見)




















協力会社の発注金額を指し値及び相見積によりコストダウンを計る。また、責任施工を明確化する。(他3件)
追加工事、設計変更及びとりやめ等により利益を回復する。(他2件)
現状赤字を少なくする為、協力会社にその分負担させているのが現状。最終的には、その方法しかない。(他1件)
会社全体での集中購買を行い価格を下げる。
測量、墨出し等の仮設契約的な作業を元請自身で行うことにより、外注発注金額を少しでも抑制する。
図面チェック、施工打合せを強化することにより、斫り工事、補修工事等の発注金額を極力抑える。
施主、設計者との打合せにより、不必要なものを極力なくす。
間接費を削減する。
メリハリの付いた仕上げ工事の提案を、施主、設計事務所に対し説得する。
他の工事と抱合せ業者ネゴを行う。
元請の利益だけでなく、下請の利益につながるような、工程管理をめざしている。最少人数でまわす。1日の工事量を確保しての手配する。
設計のレビューを実施する。
3工種、4工種が必要となる作業を見直し、1〜2工種で終わらせるように考える。
発注側の仕様が決まっているため、取り組み不可。利益向上どころか、設計図目次へ以上の仕様や変更をさせられ、工事金ももらえない。


設問7 契約、設計変更において問題と思われる事はありますか。また、ある場合、その内容はどのようなものですか。
(内容の回答:複数回答、契約業務外で依頼された販売協力の内容については、その内容も記述して下さい)
―結 果―
契約、設計変更において問題があるとの回答が90%と高い割合となった。その内容については『概算見積が先行し、本見積までの過程で仕様が上がったにもかかわらず、概算金額で契約している』が67.8%ともっとも多く、次いで『契約後、発注者の指示による材料等のグレード・仕様が上がったにもかかわらず追加が認められない』『契約当初VE提案を認めると言っていたが、実際には仕様が詳細まで決まっており変更の余地などない』がいずれも半数以上の回答となっている。その他意見としては、設計図書の不備や仕様の不明示等、設計の曖昧さによる契約、設計変更の問題があげられている。また、発注者からの契約外の販売協力の内容については、販売説明会における立会い・現場案内や資料の作成等がある。特に休日における仕事の依頼が多いという意見も目立った。コストの発生が伴うにもかかわらず契約外の業務が曖昧なまま実施されている。
図2−14
契約・設計変更の問題




(“Aある”の場合の内容)
図2−15 問題の内容
(その他意見)
















指定業者が指定金額で施工するコストオン工事が請負の大半を占め、当社の企業努力がいかせられない。
設計変更(VE)としての業務が全て現場となり、作業所長は現場管理できない。
設計・施工でありながら、発注者の言う坪単価の設計になっていない。発注者の仕様が図面に反映されていない。
契約図書の内容を営業、設計が吟味しないまま契約している。
設計図書の不備がある。契約時、質疑回答書等により確認しているが、漏れもあるため、見積に計上落しがある。
他社設計で設計打合せが充分でなく、設計者と施主との詳細に渡る打合せがされていない為、施主の意向が設計面に反映されておらず、結果的に変更、追加が発生している(施主は追加として認めない)。
市の整備事業の融資対象物件なので、設計変更、VEができず、年度末の出来高査定が実際の工事高以上の査定となっている。
モデルルームを依頼負担させられる。
パンフレット、モデルルーム優先のため契約図との差異があった場合、変更がなかなか認められない。
概算金額の不正確な事。以後の交渉で是正出来なかった事。

(発注者から契約業務外で依頼された販売協力の内容)














販売説明会等の資料作成(施工手順書、パネル)及び現場案内や説明立合い。
(特に土日)
建物内にサンプル(モデル)ルームを造りたい。購入希望者対応としての現場整備、サンプル掲示等の要求がある。
  例)垂れ幕を張って欲しい。現場案内に協力して欲しい。パンフレットチェック。
設計図等の不備が多く予測で見積をするケースが有る。現場で生産設計をし仕様決定するので、経費が越すとアップする場合が多い。
竣工後(引渡し後)の販売協力。
契約条件がはっきりしてない。設計、施工なのに、各部位のデザイン、色、仕様等の決定にデザイナーが入ってくる。
リゾートマンション(数戸)、その他マンション、当該工事のマンション、子会社のホームセンターの販売協力。
スポーツジム会員券、英会話教室。
自販機設置。販売、看板等の協力。販売営業協力。
目次へ客の設計変更、受付け、立会い見積作成の依頼。


設問8 ンピングまがいの安値受注によってどの様な影響がありますか。
(回答:各3つ以内)
(現場・会社に対して)
―結 果―
『現場の適正な施工要員を配置できない』が64.6%と労働条件の悪化につながる回答がもっとも多く、次いで『社員の労働意欲が低下し、士気が低下した』『赤字工事ということで会社が現場に対して適正な評価をしない』が続く。また、品質や安全管理の低下に影響するという回答も多かった。その他の意見としては、安値受注により会社への利益がでないため、リストラや賃金カットに影響をおよぼしているという意見もあった。

図2−16 安値受注による影響(現場・会社に対して)

(その他意見)







十分な人件費、一般管理費が確保できない為、人員整理(リストラ)、給与・賞与のカット等といった問題が発生している。(他2件)
会社の利益が下がり、全現場のノルマが上がる。
ぎりぎりの所で影響がでないよう努力している。
お金を管理していても面白くない。
労働時間の制限が曖昧にならざるを得ない。短い時間であれもこれもの作業をこなそうとするため、中途半端な業務が発生しやすい。
購買の力が強くなり、予算に対して赤字での業者発注がなかなか通らないため、工期にしわ寄せがきて、最終的には間に合わすために突貫工事になり、トータル的に原価が上がってしまう。(責任は現場)

(協力会社に対して)
―結 果―
『協力会社との健全な契約関係が維持できない』が64.0%となっている。また、『職人が品質より歩掛かり重視になり品質が低下した』『予算の関係で優秀な職人を確保することができない』等、品質の低下につながる要因としての回答も多い。

図2−17 安値受注による影響(協力会社に対して)
(その他意見)








安い金額のため、協力会社が決まらない。協力会社決定まで時間がかかり工事着手が遅れる。(他3件)
いかに効率よく作業をこなすのが現場での問題である。
外注金額から、職人一人一人へ払う賃金を考えると辛い。又、業界に未来が感じられない。
取り決め項目外工事は当然別途精算になる為、金銭トラブルが多く発生する。業者担当者も手持件数が増えている為、連絡がスムーズにいきにくくなる。規模の小さな業者への発注が増える為、信用不安が生まれる。
工程の遅れを取り戻すための増員の手配が、単価が安いため手配ができず最後にしわ寄せがくる。

(自分自身に対して)
―結 果―
『時間外勤務が増える等の労働条件が悪化した』が71.4%ともっとも多く、次いで『厳しい状況の中、身体的、精神的に苦痛である』が続いている。また、『ものを造る喜びを見出せない、建設業の魅力減退』が半数以上の回答となっており建設業に対する失望感が高まっていることがうかがえる。その他の意見としては、部下への信頼が持てなくなるなど、職場・人間関係に支障をきたしているという意見もあった。

図2−18 安値受注による影響(自分自身に対して)

(その他意見)



いかに自己に勝って行くか、考え方の改善をしなければならない。
手戻り、手直しをなくす様考えるので、信頼すべき部下に対して、不信の目で見る傾向になった。
目次へすべての内容にあてはまる。


3. 2001年11月時短アンケート結果
日建協では毎年11月に組合員を対象とした労働時間に関する実態調査を行っています。2001年度は、新たに発注者欄に民間マンション関連デベロッパーを属性として設け、調査を行いました。また、作業所の職員の配属状況やサービス業務に関する設問を加えて問題の整理・分析を行いました。

@残業時間について


  ―結 果―

月あたりの残業時間において、民間マンション関連の建築工事が87.97時間と最も多くなっている。
図3−1 発注者別残業時間

A土曜閉所について

    ―結 果―

土曜閉所状況は、発注者別の中で民間マンション関連デベロッパー工事(以下、民間マンション工事)が最も少なく、平均閉所回数は全4回中、0.65回であった。また、まったく閉所できなかった作業所が半数以上となっている。
図3−2 発注者別土曜閉所日数


B配員状況について


―結 果―


民間マンション工事において請負金額で今回最も多く分布している2億円〜20億円(約70%)での配員人数を全体平均と比較すると、0.71人〜1.44人少なくなっている。
民間マンション工事では、「大幅に不足している」22.6%と「若干不足している」56.9%を合わせると、約8割の作業所で配員人数が不足していると回答している。

請負金額別の配員人数

図3−3 請負金額別の配員人数


現在所属している作業所について、配員人数は仕事量に対して適正か

図3−4 作業所の配員人数は適正か


C民間マンション建築工事におけるサービス業務について

アンケートに寄せられた意見

■発注者・施主に対するサービス業務


(契約外の事項への対応)







設計業務はサービス工事となっている。
契約外の別途工事業者の図面チェック、納期他打合せ、工程管理
変更要望事項への対応。
内々での依頼事に対してサービスしている。相手の立場を守るため。
工事監理契約を結んでいないにもかかわらず、同様の監理を要求される。
工事着工後の設計変更・プラン変更
追加・変更工事の無償施工
設計者等の納まり、仕様、法的間違いをサービスで直している。

(書類の提出)
●施主が用意すべき資料等の作成を全て業者に押し付け気味である。
●契約にない報告書を求められる(自分でも出来るようなもの)
●設計変更用の図面及び資料等を作成している。
●提出書類の多種多様な依頼に対し資料の提出
●品質確保という名目で行われている過度の検査及び検査書類の作成
●緊急の書類の作成
●発注者の急な設計変更などで生じる図面作成。
●数量計算書の作成
●変更による作図、見積
●ワープロなど文書作成業務

(販売協力)
●現場見学対応
●マンション購入者オプションの仕様説明など
●月1回のレポートの作成,販売説明会にて現場案内,内覧の現場案内(日曜日)
●マンションのユーザー検査。本来はデベロッパーが行うべきものと考える。
●販売用のパンフレット及び資料の作成チェック
●発注者の社内プレゼンのための資料作成・調査

(エンドユーザーに対する契約外の業務)
●引渡し後における工事は施工者の対応となっている。
●過度と思われるアフターサービスについて発注者が施工者まかせとなっている。
●オプション変更に対するやりとりなど。
●エンドユーザーからの設計変更
●エンドユーザーの設計変更に対する見積

(近隣への対応)
●着工前の近隣調整。
●工事上の苦情を除く近隣対応
●工事現場近隣との事前交渉を怠っているため、近隣からの不満が施行者に降りかかってき
  ている。
●近隣へのサービス工事
●発注者が事前に完了すべき、近隣との境界等の問題。

(メンテナンスに関して)
●メンテナンス等で工事的に関係のないものまで確認に行かされる。
●マンション入居者への引渡し後の不具合手直し。
●前に竣工した物件で保全、クレーム他、土日祝でも連絡あればとりあえず対応しなければな
  らない。


■設計者などに対するサービス業務


(本来、設計者などが行うべき業務の代行)
●追加・変更に対する図面作成などの対応
●質疑などに対して具体案を出さないので、それらをこちらで作成している。
●設計事務所が意匠事務所であり、形式上は設備設計事務所がいるが、設計変更などの際
  には、実質我々のほうで設備設計を行っている。
●役所への書類提出
●設計監理者が本来行うべき役所など(設計上のこと)との打合せ業務の代行
●設計、監理の補助的な作業の依頼
●設計図書の変更箇所の修正
●監理者が行うべき業務の肩代わり(検査業務・竣工図の整備などなど)。対施主に対するミス
  のなすりつけ。
●本来設計事務所が施主に対してやるべき資料作成協力をやらせられる。

(設計者などに起因する不備事項へのフォロー)
●設計図(意匠・構造・設備図)の整合性がとれていないことや、法規的、構造的、システム的
  な問題への対処
●設計図面の不足、不備、不明確な部分の施行検討および監督官庁との折衝
●設計の不具合によるVEにならない設計提案
●気分で変わる決定事項への対応
●いい加減な設計図面を基に仕事をするため、余計な図面などを作成しなければならない。


■サービス業務をなくすための方法


(責任区分の明確化・契約事項の明確化)


























欧米のようなPM(プロジェクト・マネージメント)、CM(コンストラクション・マネージメント)制度の確立。
正式な手順を踏まえた請負契約。
完成された図面、それに基づく見積書作成→受注契約
請負形態の制度を明確にすること
請負契約時に業務内容を明確に記述し、契約条項以外は業務をしないという強い姿勢で臨むことができるかどうかである。
施主はどこまでエンドユーザー対応をするか、設計者はどこまで決定業務をするかをきちんと行うこと。と同時にコストを明確にすべきだ。
業務内容、作業形態、環境、請負内容、条件等あらゆる建設業に関する業務の情報を公開し、法違反を厳しく処分する。適正な工期と請負金額を確立と公開。第三者機関等でチェックする体制作り。  
原則として設計図が明確になってからの工事着工。購入者の要望に対しては施主が対応する。
どうして先にモデルルームやパンフレットができてしまうのか。設計図に合わせて積算しているのにおかしい。
設計図の質の向上→設計事務所も設計費が安いからそうなるのはわかるが、マンガみたいなものが多い。施行図段階で何もかもを検討して納まらないところを設計事務所に打診してやっていては時間ばかりがかかる。
発注者として為すべきこと、設計管理者として為すべきこと、それぞれの立場で責任ある対応をすべきである。「請け負け」という古い風潮を打破しなければ解決できない。都合の悪いことを施工者に押し付けるやり方はやめるべき。
設計事務所のバラツキをなくす。若い所員だけで、設計監理をしており危なっかしい。チェック機能がない。
工事着工までに発注者・施主が決めるべきことを決定するという意識改革をしてもらいたい。工事着工後の変更は概してサービス業務になってしまう。

(会社に対して)






会社内の部門ごとに役割分担を明確にする必要あり。
営業引継ぎ時しっかり伝達してもらう。うやむやにしない。
営業が技術的能力を身につける事
過剰業務に対応できる部所を社内に設ける。
各担当でしっかりとこの建物を作っているという自覚を持って欲しい。責任を持って行って欲しい。
自社管理体制の強化を行い、技術的な面でクレームを受けない体制をつくる。またはフォローアップ体制を整える。

(フィー化を図る)








業務の有料化
適切な請負金額、工期での受注
どこからどこまでサービス業務なのか、不明であることがよくない。結局、請負契約と、体質が悪い。
事前に発生しうるサービス業務を予測し、契約に盛り込む。
請負約款内容以外の項目の経費を認めさせる。
施主、設計、請負者の作業区分を明確にし、区分以外の作業については経費のみについても請求できるよう法律などで決める。
打合せや施工用の図面などが工事を進めていく上で絶対に不可欠であり、その業務がサービスの内容なのでなくならないと思うが、付加価値をつけていけば改善されるのではないかと考えている。

(意識改革)











建設業全体での意識の改革が必要。
発注者、設計事務所の意識の問題。それを受ける経営者にも問題あり。
発注者、設計事務所、施工会社間の関係で、表に現れない上下関係がなくならない限りなくならない。
役割分担が明確になっているのに責任意識が少なく、他人に押し付けてくる。こういう意識を変えないとダメ。
請負体質の改善、契約上の平等は実際には平等でない。しかし、仕事を「いただく」という習慣、考え方も完全にはなくなっていないため、押しつけられているのが現状と思われる。
責任のとれないことに意地を張ったり、高飛車な態度で監理する人が多い。良い建物を作るために共同の意識をもって設計監理して欲しい。いざとなってから逃げないようにして欲しい。
設計段階で問題はある程度把握しているが、あとは現場の施工で「何とかしてくれる」という甘えの体質があるのではないか。

(その他)











請負体質の行政力による撤廃
業界全体として書類を削減する。
建設業の社会的地位向上。
監督署に訴え、世間の注目を浴び、社会的糾弾を浴びるか、過労死者がでない限りなくならないであろう。
現在のような発注システムが根本的に改善されない限りなくならない。
サービス業務も今後の営業のことを考えるとしかたがないと思う。
請負業という立場上、なくなるということはないと思う。
組織の中での業務バランスを考えると、全く“0”には出来ないと思う。仕事は一人でするものではない。チームワークでするものであるから、ある程度サービス業務も受けざるを得ないと思う。
仕事に関してやる気があれば、サービス業務は関係ない。
以 上


目次へ 前のページへ ページトップへ ご意見、お問い合わせはこちら
掲示板へ じゃんじゃん書き込んでください