夏休みの計画に! 寝台特急の旅
どこを結んで走っているのでしょう?
東京・大阪を起点に、地方都市を結ぶ楽しみ方のバリエーション
食堂車で車窓を楽んで食事する/列車内の設備
を使う/寝台を楽しむ/乗り物好きな子ども一緒に寝台車にはどのような種類があるの?
個室は多種・多彩なタイプ気になるお値段
私たちの建設産業に思いを馳せて
加盟組合のみなさん、日々の業務お疲れ様です。
少し早い話になりますが、あと2ヶ月たつと、夏休みです。旅行の計画やh親父、お袋fの顔を思い出しつつの帰省の段取りなどなど、考えはじめる時期ではないでしょうか?
いまや、遠隔地への移動手段はコストや時間、そして便利さを考えると新幹線や飛行機がもっともポピュラーです。しかし、たまの長い休みです。移動中もこころとからだのリフレッシュということで旅の気分を味わってみませんか? 寝台列車に揺られ、翌朝、目的地に到着するというのはいかがでしょうか。
夏休みの計画のヒントに、全国を走る寝台特急をご紹介します。
九州内は、ED76交流電気機関車に牽引される“はやぶさ”号、“さくら”号。博多駅にて。 東京・大阪を起点に、地方都市を結ぶ
新幹線網が広がるにつれ、航空運賃が安くなるにつれ、寝台列車は利用者が減少し、その本数を減らしてきています。しかし、「トワイライトエクスプレス」「カシオペア」「北斗星」といった寝台特急に代表されるように、多彩な寝台のタイプや、ディナーを楽しめる食堂、シャワー室、ラウンジを持った寝台列車も登場しています。寝台特急は、その客車の色から「ブルートレイン」と呼ばれ、1958年に20系という特急用寝台車が誕生して以来親しまれています。表1では、JTB時刻表の「寝台特急」のページに載っているものを一覧にしました。やはり、東京、大阪を起点に500km以上の地方都市を結ぶものが中心です。みなさんの夏休みの旅行先や帰省先に該当する最寄り駅はあるでしょうか?
表1では、運転区間のみを表記していますが、例えば、下り「日本海3号」「あけぼの」の停車駅である秋田には、それぞれ朝7時、8時半ごろに到着します。また、「あさかぜ」で広島を夜8時に出発すると、眠っている間に新幹線や飛行機では到着不可能な、朝8時前に東京に着くことも可能です。このように、途中駅での利用も便利な場合があります。
個室は多種・多彩なタイプ
寝台車には、A寝台とB寝台とよばれる種類があります。例えるなら、A寝台はグリーン車の、B寝台は普通指定席の寝台版というところでしょうか。
大阪から約22時間の旅を終え、札幌駅に進入するトワイライトエクスプレス。道内はDD51ディーゼル機関車が牽引。
今も、4名ワンボックスの開放式寝台車(一般型)が主流ですが、1988年に青函トンネルが開通し、東京と札幌を結ぶh北斗星fのデビューから、寝台列車の旅を楽しむというコンセプトで、個室タイプのものが増えました。表1のように、ほとんどの列車に個室があります。中には、Bコンパートと呼ぶ、一般型寝台を間仕切りで個室タイプにし、4人家族の旅行にベストチョイスのものもあります。また、寝台には、浴衣とスリッパが用意されています。A寝台では、持ち帰り用の洗面用具がおかれているものもあります。
表2に寝台のタイプをまとめました。グループ分けすると5つのタイプがありますが、同じタイプでも個室には、さまざまな名称がつけられていてまぎらわしいですね。これは、個室車両の大半が既存の車両を改造してつくられ、同じタイプの個室でも構造の違いや、所有する会社が違うことによるものと思われます。寝台のタイプは、市販の時刻表の巻末に詳しく記載してあります。
なお、列車によって連結している寝台のタイプが違います。これも時刻表で要チェックです。
↑一般型B寝台の通路側。眠れない人は側面に収納された補助イスを利用し、夜の車窓を楽しめる。 ↑寝台特急北斗星で、大通り公園、時計台で有名な札幌の町を訪れてみては。
まるで走るホテル!
寝台特急に乗ったなら、その独特の雰囲気に、またこれからの旅路に思いをはせ、だれもがわくわくすることでしょう。どのような、楽しみ方があるでしょうか。
トワイライトエクスプレスの食道者。夜はディナータイムで華やぐ。 ディナー、パブ、モーニングタイムの利用
ひと昔前までは、ほとんどの寝台特急が食堂車を連結していました。しかし、採算性の問題から、いまや、表1のように3列車に残るのみです。その分、これらの列車では走るレストランというコンセプトでディナータイムを設け、コース料理を予約制で提供したり、内装にこだわったりと、寝台特急の旅を演出しています。ちなみにh北斗星fのディナーコースは、フランス料理7、800円、懐石御膳5、500円です。切符を買うときに、同時に予約できます。ディナータイムが終わると、パブタイムが23:00まであります。カクテルでもいかがでしょうか。
また、朝はモーニングを提供しています。コーヒーを飲みながら、車窓に流れる田舎の風景を眺めるのもリフレッシュになります。
ロビーカー、シャワーを完備した列車もある
ロビーカーもしくはラウンジカーという呼び名で、ソファーがおかれ、だれでも利用できるオープンスペースがあります。
一般型B寝台のベッド。上段・下段でそれぞれ二つが並ぶ。窓際中央に折りたたみ式のはしごがついている。
寝台で眠れない時など、ビール片手に深夜の車窓を楽しむのもよいでしょう。また、シャワールームがある列車もあります。車掌さんからシャワーカード(310円)を購入し、ひと汗流すこともできます。同じく表1に設備の有無を記載しました。
ワンボックス4人の一般型寝台では、仲間と夜遅くまでトランプゲームに興じるのもよいでしょう。一方、個室はプライバシーが保てます。一人で夜汽車の汽笛を聞きながら毛布にもぐり小説を読むのも良し、夫婦、恋人同士で夜汽車の窓から星空を眺めるのもよしです。
機関車の交換シーンを見学
写真のように、ほとんどの寝台特急は、その名称をデザインしたヘッドマークを掲げ、機関車に牽引されて目的地に向かいます。日本の鉄道は、大きく分けて電化区間(直流区間、交流区間)、非電化区間にわけることができます。長距離を走る寝台特急は、全ての区間を走っています。しかし、すべての区間を走ることができる機関車はありません。途中で機関車を交換しながら走ります。
↑早朝の富士山をバックに、東京に向けEF66直流電気機関車に牽引され、寝台特急「富士」が力走する。
例えば、トワイライトエクスプレスに乗ると大阪を発車したときは、EF81型電気機関車だったのが、札幌で降りるときは、DD51型ディーゼル機関車に変わっています。
表3の機関車欄の( )内の駅名は、途中で機関車を交換する駅です。通常、機関車交換のために、5分ほど停車します。子供達と機関車の付け替え作業の見学や、記念写真を撮ってはいかがでしょう。とくに青函トンネル、関門トンネルといった海底トンネルを通過する際には、海水の影響を考慮し、その区間専用の機関車が牽引します。
ちなみにEが頭文字の機関車は電気機関車、Dはディーゼル機関車です。また、サンライズは電車寝台です。
寝台のグレードで料金に幅あり
寝台特急に乗るには、特急券、乗車券、寝台券が必要です。指定券の代わりが寝台券になります。運賃は、寝台のグレードで料金が大きく変わります。たとえば、北斗星の一般型B寝台で東京から札幌までが、片道1人25、270円ですが、カシオペアのカシオペアツイン(2人用A個室)では片道1人32、320円となります。こちらも時刻表にわかりやすい表がでていますが、表4に大まかなものをまとめてみました。
↑B寝台個室“ソロ”の車窓から眺めた富士山。
今回は、夏休みのヒントにということで、寝台特急の旅をご紹介しました。帰省を兼ねて家族サービスに寝台列車で帰るというのもひとつですね。実践に役立つよう、時刻、行き先なども載せてみました。また、勤続特別休暇などでは、日ごろの内助の功に対し、奥様をトワイライトエクスプレスやカシオペアの旅に招待するのもひとつです。普段でもトワイライト、北斗星、カシオペア、サンライズなど人気が高い列車がある一方、九州方面へ向かう寝台特急は、食堂車はなく、車両もくたびれ、車内はガラガラという、鉄道好きの筆者から見れば、廃止されてしまうのではと気になる列車もあります。しかし、このような列車も夏休みは満席となります。早めの予約をお勧めします。
話はかわりますが、先日、NHKの人気番組、プロジェクトXのアナウンサー国井 雅比古氏の講演会に行きました。過去に放映された番組の製作エピソードでしたが、そのエピソードのほとんどが、青函トンネルや瀬戸大橋、黒四ダムといった、建設モノだったのが印象的でした。やはり、建設というものづくりの与えるインパクトは大きいと感じました。加盟組合のみなさんの中にも、これらの工事に携わった方がいらっしゃることと思います。
いま、寝台特急は、その青函トンネルをくぐり北海道へ、瀬戸大橋を渡って四国へ走っています。そういった意味では、私たちの仕事は、社会的貢献度が大きいと言えますが、建設産業の社会的な評価は決して高いものではありません。私たちは、この産業は社会的な評価がなぜ低いのかを真剣に考え、改善にむけた取り組を行わねばならないと改めて感じます。日建協は、建設産業の信頼の回復にむけた活動もあきらめることなく行っています。
さて、日建協の加盟組合企業の中には、鉄道工事を受注し、深夜に軌道工事などに従事している多くの仲間がいます。深夜の車窓から工事用ライトに照らされたヘルメットが見えたら、ぜひ、安全第一で頑張りましょうとエールを贈ってください。よろしくお願いします。
以上、寝台特急の旅へのお誘いでした。■(加藤 潤)
参考資料●JTB時刻表4月号、JTB特急大図鑑2002年、ニフティ鉄道フォーラム 写真●加藤 潤
2003年6月
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