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■家計を直撃する「定率減税の縮減・廃止」(2005年政府与党税制改正大綱)
私たちの所得税はどうなるの?
 政府与党においては、1999年に景気対策として導入した「個人所得課税の定率減税」を、景気は概ね回復しているとして、所得税については2006年1月から、個人住民税については同年6月からの徴収分より半減し、2007年には廃止しようとしています。
 今年の3月下旬には、今回の税制改正に関連する法案が国会で成立する見込みとのことですが、もしこの法案が成立したならば、私たちの納める税金はどう変わるのでしょうか。
 そこで、今回のコンパスでは、2005年度税制改正大綱の内容の中から、私たちの生活に与える影響が大きい「定率減税の縮減・廃止」について紹介していきます。  
「定率減税」とは何?

 年間の個人所得課税の税額を一定の割合で一律に削減する減税方式。1999年の「恒久的減税法」により、恒久的減税のひとつとして、所得税と住民税の税額から一定の割合を差し引くものです。この減税措置は景気対策の一環として導入されたものです。
【減税内容】
 所得税……… 課税額の20%を税額控除
           (上限25万円)
 個人住民税…課税額の15%を税額控除
           (上限4万円)
今回の改正により、定率減税が縮小されます。

・所得税は2006年1月から税額からの割引率を
 10%、上限額を12万5千円に
・個人住民税は2006年6月から割引率を7・5%、
 上限額を2万円に(減税幅をこれまでの半分に圧縮)
・減税の縮小・廃止は景気をみて改めて議論
 政府与党は今回の税制改正による税金の増収分によって、基礎年金の国庫負担割合を2分の1に引き上げるための財源を捻出しようとしています。  

定率減税の廃止・半減による負担増は…

年収別負担増加予想額
給与収入 単身世帯 夫婦のみ 夫婦子2人
400万円 52,000円 42,000円 15,900円
500万円 76,000円 63,500円 35,200円
600万円 100,500円 88,000円 56,100円
700万円 134,800円 119,000円 82,000円
(連合試算)
注)所得税と個人住民税の合計
注)夫婦片働き、子供のうち1人は特定扶養親族に該当
※定率減税の半減になると、給与収入500万円世帯(サラリーマン
  と専業主婦の妻、子供二人の四人家族)では、年間約1万8千円
  の負担増となります。
 定率減税が廃止された場合の世帯ごとの年間負担は表のとおりです。 (いずれもモデルケースでの試算)
 今回の定率減税の縮小・廃止は、子育て・働き盛り世帯に大きな負担増を押しつけることになります。このようなことになれば、景気の回復に冷や水を浴びせるだけでなく、拡大が懸念される経済社会の二極化を加速させるものと考えられます。
 私たちの可処分所得は、定率減税が導入されたころに比べ約1割減少している一方、2004年からの配偶者特別控除(上乗せ分)の廃止や年金保険料の引き上げによって、家計負担額は年々重くなり続けています。

 試算表からも、今回の税制改正が、私たちの生活に大きな影響を与えることがお分かりになるかと思います。
 日建協の家計調査においても、組合員の奥様方より、「ボーナスを使って税金、自動車保険などをまかなっているので、多くの預金はできない。節約を心がけて、毎月の預金は必ずできるようにがんばっている。年々、税金や教育費などの出費が増えていくことは厳しいです。」との声が届いており、今回の改正はみなさんの家計を直撃する大きな問題です。

 連合では、「未だ、個人消費の基盤は不安定であり、2004年10月より向こう14年間にわたる年金保険料の負担増(※)が実施されている。こうした状況下で定率減税の縮減・廃止をすれば、景気を再び腰折れさせることになる。」と予測しています。まず国民に負担増を求める前に、政府の歳出削減努力を国民に示すことが先決であるとしています。また、縮減・廃止を行うのであれば、まずは法人税から行うべきであると政府・与野党への要請活動に取り組んでいます。 私たちは、今回の税制改正の影響を受ける国民として、このような取り組みについても興味をもつようにしたいと思います。

※年金保険料については、コンパス2004年11月号(VOL.759)「私たちの年金はどう変わったの?」をご参照下さい。

Compass/Vol.761
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