|
日建協では、2006年度の賃金交渉にむけて 「今こそ形にしよう!みんなの努力の成果。」をキャッチフレーズに掲げ取り組んでいます。私たちの不断の努力の成果を、今こそ「賃金」という形にするために、私たち自身が賃金交渉にしっかりと目をむけ、連帯して取り組んでいくことが必要です。将来へ向けた安定した生活を確保するためにも、厳しい時代の今だからこそ「賃金」に対する思いをしっかり持って2006年賃金交渉に取り組みましょう。 |
|
|
|
では、私たちにとって「賃金」はどのような意味を持つのでしょうか。賃金に関する文献を見ると「労働力の再生産費用」と書かれているものがあります。少し難しく感じますが、それは、私たちは働くことで「賃金」を手に入れ生活している限り、少なくとも最低限の生活を確保できる、またはそれ以上の水準が必要であり、「低すぎて生活に必要な物やサービスを購入できなければ、十分な働きもできない」ということです。もちろん「賃金」をどの側面から見るかによって様々な意味を持つのでしょうが、これは私たちにとってもっとも大切なことです。
「賃金」は私たちにとって唯一の生活の糧であり、老後の生活を見据えた安定した生活を、将来にわたって維持できる水準を確保することは、賃金交渉において重要なポイントになります。
最近でこそ、「景気は回復基調にある」という言葉を耳にすることが多くなってきましたが、バブル崩壊以後は長期にわたる景気の低迷とともに、私たちの賃金水準も低下傾向が続きました。それが生活にも大きく影響してきたところは、みなさんも実感していることと思います。果たして本当に今の私たちの「賃金」は、将来を見据えた生活に必要な賃金水準を確保できているのでしょうか。今現在の生活を確保するのがやっとで、将来を見据えた生活設計が本当にできているのでしょうか。 |
|
|
|
「4年契約で62億円!」。これは4年目を迎えるニューヨークヤンキースの松井選手の契約です。私たちにとっては夢のような金額です。メジャーリーグの松井選手やイチロー選手のように、年収が億単位もある人たちは、私たちの想像を絶する豪華な人生設計を思い描くことでしょう。将来にむけては何も不安は残らないはずです。私たちが彼らのような華やかな生活を望むことは夢物語であっても、建設産業で働くホワイトカラー層の私たちが望む生活とはどのようなものなのか、またその生活に必要な賃金水準はどのくらいなのかを確認することは、生涯にわたる安定した生活を考えるうえで非常に大切なことです。
日建協では、建設産業で働く私たち組合員の標準的なライフステージを想定し、その生活を実現するためにどのくらいの賃金水準が必要なのかを「日建協個別賃金」という形で示しています。私たちの一生涯を考えた場合には、結婚や育児、住宅取得、車の購入などといった年を重ねるにつれて増加する支出があります。これをベースに必要な生涯収入を算出し、年齢ごとの必要な賃金を示したものです。ライフステージにもとづく支出額の算出には、諸官庁の統計データや民間調査機関のデータ、そして「日建協家計調査」などを活用して作成しています。日建協では、この「日建協個別賃金」を各加盟組合が賃金交渉を進めていくうえでひとつの目標として活用できるように、毎年掲げる日建協の賃金交渉要求基準のなかで示しています。 |
|
日建協個別賃金で想定する「標準的なライフステージ」
「日建協個別賃金」って何?
日建協個別賃金とは、私たち建設産業で働く者のあるべき賃金水準を示したものです。組合員の標準的なライフステージ(一生における新婚期や育児期、教育期、子の独立期、老夫婦期などの段階)を想定し、結婚や育児、住宅取得、車の購入といったライフイベントごとの支出をベースに必要な収入を算出し、基本賃金や一時金に割り付けたものです |
|
|
2006年賃金交渉にむけて |
|
|
先ほど少し触れましたが、日建協では毎年、賃金交渉の要求基準を掲げています。日建協が要求基準を掲げるのは、加盟組合が要求設定の基準として有効に活用し、また要求基準に沿って連帯して取り組むことで、加盟組合の賃金水準、ひいては日建協全体の賃金水準の向上に必要なことだと考えるからです。
2006年要求基準の柱は「全加盟組合は、日建協個別賃金水準の実現を目指し、賃金水準の向上に全力で取り組むものとする」としています。「建設産業に働く私たちのあるべき賃金水準」すなわち日建協個別賃金水準の実現にむけて計画的に取り組むことで、加盟組合および日建協全体の賃金水準向上に繋げていきたいと考えています。
また、今年の賃金交渉を取り巻く状況に目をむけてみますと、年末から新聞やテレビのニュースでも大きく取り上げられているように、日本経団連が14年ぶりに賃金抑制を緩める姿勢を示しています。賃上げによるコストの増加に対しては警戒しているものの、ここ数年の企業業績の向上を背景に、賃金交渉を取り巻く状況も変化の兆しを見せています。 |
|
●2006年日建協賃金交渉要求基準 |
|
全加盟組合は、日建協個別賃金水準の実現を目指し、賃金水準の向上に全力で取り組むものとする。
1.月例賃金について
加盟組合はめざすべき到達ラインを設定し、月例賃金の水準向上にむけて、計画的に取り組むものとする。
2.一時金について
加盟組合は生活給である一時金の水準向上にむけて、強い姿勢で取り組むものとする。
3.初任給について加盟組合は自ら定める到達ラインの水準実現にむけて取り組むものとする。 |
|
各加盟組合は、自らが目指すべき日建協個別賃金水準のラインを定め、その実現にむけて計画を立て、自らの賃金水準の向上に取り組む。 |
|
建設産業で働く私たちのあるべき賃金水準
「日建協個別賃金水準」(2005年版)
(月例賃金・一時金・初任給) |
1)月例賃金:組合員大卒正規入社30歳の基準内賃金
先行ライン 374,100円(基本賃金:364,100円)
標準ライン 315,200円(基本賃金:305,200円)
底上げライン 292,400円(基本賃金:282,400円)
組合員大卒正規入社35歳の基準内賃金
先行ライン 487,900円(基本賃金:471,900円)
標準ライン 405,800円(基本賃金:389,800円)
底上げライン 351,100円(基本賃金:335,100円)
2)一時金:年間で基準内賃金の5ヶ月分以上とする。
3)初任給:学卒年齢22歳の総合職
先行ライン 205,000円
標準ライン 201,000円
底上げライン 200,000円
※)年収換算:組合員大卒正規入社30歳の基準内年収
先行ライン 6,359,700円
標準ライン 5,358,400円
底上げライン 4,970,800円
組合員大卒正規入社35歳の基準内年収
先行ライン 8,294,300円
標準ライン 6,898,600円
底上げライン 5,968,700円 |
|
要求提出日 3月23日(木) 指定回答日 4月6日(木) |
|
|
|
|
ここで、2005年9月に組合員のみなさんにご協力いただいた「日建協家計調査」の結果から、家計のなかで強く負担を感じているものを見てみましょう。
20代後半(3人世帯)では「自動車関係費」、30代前半(3人世帯)では「住居費」「飲食費」をあげる人が多い傾向にありますが、30代後半以降は「教育費」と「住宅ローン返済」の負担が急増しているのがわかります。特に子どもが高校、大学への進学が始まる40代以降は、半数を超える組合員が「教育費」に強い負担を感じています。
また、どの世帯、年代にも共通するのは「税金・社会保険料」で、4割前後から5割弱を占めています。このような結果は、みなさんの家計においても共感できるものではありませんか?
また、自由筆記の意見からは、「毎月の支出でやりくりするのが精一杯。子供が大きくなるにつれて心配」「一時金や預金を取り崩しながらなんとか生活している」「そのうち破綻するのではないかという危機感が大きい」など、切実な家計状況が伝わってきます。
各世帯に共通して負担感の強い税金や社会保険料は、今後、定率減税の廃止や社会保険料の負担率の増加によって、さらに家計への影響が大きくなることが予想されます。今年の賃金交渉においても、このような厳しい家計の状況を組合員の生の声として、経営者に伝えていきたいと考えています。
(お忙しいなか、調査にご協力いただいた組合員のご家族のみなさん、本当にありがとうございました。調査結果やいただいた貴重な意見は、組合員の生活水準向上に向けた活動に大いに役立てていきます。)
|
|
「日建協家計調査」
本調査は、日建協加盟組合員の一ヶ月の家計収支状況をつうじて、組合員の収入及び消費生活の実態を把握し、賃金交渉をはじめとする組合員の生活水準の向上へむけての政策、活動の基礎的資料を得ることを目的に実施しています。1967年より実施され2005年9月の調査で39回目を迎えています。 |
|
|
|
賃金交渉は、私たちの思いを伝える大切な取り組みです。今一度、一人ひとりが「賃金」の持つ意味を真剣に考えてみましょう。組合員一人ひとりの思いと、加盟組合執行部の「組合員の生活を守る」という熱い使命感と、さらには加盟組合全体が連帯して取り組むことで、日建協の加盟組合員みんなの将来を見据えた安定した生活へと繋がる大きな力になるはずです。厳しい環境のなかでこそ絶えない私たちの努力の成果を、今こそ形にするために、一致団結してこの2006年賃金交渉にともに取り組みましょう。 |
|