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組合員の皆様、明けまして、おめでとうございます。
昨年は、政府の不祥事に対する国民の社会的不安感、国家財政や景気の慢性的な悪化に加えて、原油価格や物価の高騰など、私たち一国民、一消費者の日常生活に直接的に影響を及ぼす事件が芋づる式に発生した一年だったのではないでしょうか。また、社会や行政サービス、あるいは私たちが所属する企業母体が、様々な社会経済的な問題から私たちを保護すべき“盾”としての機能を必ずしも発揮しなかったため、外的要因に基づく上記の諸問題が直接的に私たちの暮らしの在り方に影響を及ぼすに至ったことが深く印象付けられます。
さて建設産業を魅力ある産業とするために、日建協では全ての活動の共通理念として「ワーク・ライフ・バランス」を掲げています。


「仕事と生活の調和」を意味するこの言葉は、働く事に拘束される時間が極端に多い私たちの現状に照らして考えてみた場合、理念の背景に時短推進活動ばかりが想像されます。それも決して間違いではありません。しかし私自身としましては別の観点からも「ワーク・ライフ・バランス」という理念の持つ意義深さを感じます。なぜならこの理念が“私たちが一人の人間としてどう生きるべきか”あるいは“自分の人生をどのように全うしていくべきか”といった、いわゆる「自分さがし」に寄与する一面を有しているとも考えられるからです。私たちの今の生活が「労働時間」と「生活時間」とに大別されるとするならば、自分自身を振りかえりながら“どのように働くべきか”“どのように生活時間を過ごすべきか”さらには“労働時間と生活時間とをどのように配分するべきか”について考えることは、すなわち“自分はどう生きていくべきなのか”を考えることに等しいとも言えるのではないでしょうか。

自分自身にとっての「ワーク・ライフ・バランス」とは何かについて考えていくと、労働も一日の生活の中の一部分であり、労働と生活は相互に連鎖性を有するものであるということに気付かされます。当たりまえの事だと笑われてしまうかもしれませんが、多忙な日々を重ねる私たちにとっては、このような当たりまえの事さえも見過ごしがちになります。例えば「労働時間」については、単に組織その他の集団に拘束される時間と位置付け、「生活時間」から切り離して考えてみたり、充実した暮らしや生活の糧を得るための避けがたい時間として捉えられがちではないでしょうか。もし、そうだとしたならば「ワーク・ライフ・バランス」という観点から現状の働き方を見つめ直した上で、その後の行動に移していくことは、自分自身が仕事と向き合う姿勢に、ある種の「意志」や「モチベーション」を付加することに繋がります。意志やモチベーションを抱きながら仕事と向き合うことができたならば、もはや労働時間を単なる拘束時間とは考えなくなるでしょうし、かえって仕事の遂行を通じて「悦び」や「充実」を得ることにも繋がります。つまり「ワーク・ライフ・バランス」の理念を通じた「自分さがし」により、「生活時間」からも「労働時間」からも充実感を得ることが可能となるわけです。
しかし、この理念がもたらす効果を享受することができるか否かは私たち一人ひとりの発意に掛かってきます。組合員の皆様におかれましては、是非、自分自身の「ワーク・ライフ・バランス」について考えてみてはいかがでしょうか。


建設産業の魅力とは何か、どのように魅力化を図っていくべきか、についてのヒントもまた、「ワーク・ライフ・バランス」の中にはあります。つまりこの理念を通じて働く者一人ひとりに享受される「意欲」や「モチベーション」の集積である「活力」こそが、今の建設産業に一番求められていることだからです。建設産業に従事する者が、「日々の労働に対して魅力を感じているのか」、「どれほどの豊かな生活をおくっているのか」、そういった産業に生きる人間の姿を見た人々は等しく、自分自身も魅力を実感したいと感じるであろうし、私たち自身も魅力が実感できるこの産業に対して誇りを持てるようになるのではないでしょうか。私たち自身の手で、魅力が実感できる活力溢れる産業に生まれ変わらせなくてはいけません。家族や、次世代の若者に対して自信を持って語れる産業にしていかなければなりません。
日建協は今年も、建設産業の魅力化に向けた様々な活動を実施していきます。
(2009年 元旦)


Compass Vol.780 一括PDF(15.6MB)
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