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日建協と業界団体との意見交換

労働条件の向上を通して建設産業の魅力化に取り組む私たちとは立場的な違いはありますが、 企業経営者の視点で産業の発展のために活動している団体があります。 それが「業界団体」です。
私たちが「長時間労働」をはじめとする喫緊の課題を抱えているのと同様に、業界団体も「技術の伝承」「優秀な人材の確保」といった様々な問題を危惧しています。つまり同じ建設産業の一員として「時代を睨む目」と「産業の発展に向けた心」を持って活動している仲間なのです。
双方が手をとりあうことによって、魅力ある産業の実現に向けた相乗効果が生み出せることを期待して、日建協では5つの業界団体との意見交換会を実施しています。 皆さんから寄せられた生の声を伝えることによって得られた意見やアドバイスは「いま、業界はどう考えているのか」を知るうえでの貴重な手がかりとなります。今後も日建協は「業界一体」の理念で産業の課題に立ち向かっていきます。

『生活・仕事・産業』に対する組合員の意識、
どう考えますか??
生活実態意識調査の結果から「ワークライフバランス」「家計」「モチベーション」という切り口で、組合員にとっての「満足度の高い生活の在り方」を提案しました。
業界発劣悪な労働環境からくる労働意欲の低下は、生産性の低下にも繋がる。問題ですね。
「自分の時間が持てない」「賃金水準が低い」という意識によって働く熱意や、産業に対する意識が変わってしまうのでしょう。建設産業から人材が流出していく原因の一つになっていると思われます。
建設産業に対する批判で「手抜き工事・品質を軽視した施工」と回答している人が42.8%もいるようですが、この結果が自分の会社で起きている実態を訴えているものだとすれば軽視できない問題だと感じます。
仕事にやる気が持てれば誰も不満は持たないはずです。働く者の意識のなかで成し遂げた仕事量と、それに見合う待遇とのアンバランスが生じると、生活に対しても不満足を感じてしまうのではないでしょうか。


受発注者の責任区分の明確化に向けた取り組みについてアドバイス願います!!
「公共工事における無報酬業務を解消するために」提言活動や、各地方整備局との 意見交換で得た行政の施策について説明しました。
明確化を実現するための環境は整いつつある。この機運に乗って、ともに発注者に対して声をあげていきましょう!!
責任区分の明確化については日建連でも取り組んでいます。技術者不足等の問題もあり、発注者サイドでも改善のためのしくみが必ずしもうまく機能していないことを感じているようです。
発注者、受注者、設計者が、 Face to Face で言い合えるような環境を整えていくことが責任区分の明確化には必要だと考えます。
発注者責任の問題に対して工事中止命令は出せないまでも、相談できる環境はある程度整ってきたのではないでしょうか。発注者サイドの改善に向けたしくみが浸透していくにつれて、無報酬業務がどれくらい解消されていくのかフォローしてほしいです。


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ともに取り組もう!『統一土曜閉所運動』提案します。『作業所異動時休暇』 これぞ時短のカギ。
建設産業において常態化する長時間労働の現状を説明し「統一土曜閉所運動」や「作業所異動時休暇」といった休日取得を柱とした時短推進活動の有効性を訴えました。
確実に休みを取れる産業へと向かうことが『産業の魅力化』を前進させるのでしょう。
作業所異動時休暇取得のしくみがあるのにもかかわらず、確実に休みがとれない現状は悲惨であると感じます。休暇の確実な取得のためには、上職の意識改革とトップダウンによる強力な指導が必要だと考えます。
建築作業所の月あたりの平均残業時間(約90時間)の内訳が、平日の2.5時間と、毎週の土曜日を含む5日分の休日出勤によるものだとすると、やはり土曜日の出勤を削減することが時短推進のうえで効果的だということがよく理解できました。
労働時間について法の管理基準と実態との間の乖離を解消していくことは、まさに企業のコンプライアンスの問題だと考えます。残業時間の実態がそのままサービス残業の実態であるのだとすればゆゆしき問題です。


『4週8休を含む不稼働日を考慮した適正工期』を
 主張していきます!!
民間建築工事における労働環境の向上に関する新しい提言 「4週8休を含む不稼働日を考慮した工期設定」の方向性を紹介しました。
次世代にとって4週8休はあたり前。
時代にあわせて建設産業も変わっていかなければ。
施工管理やマネージメントの観点でいえば「工期を効率的に、より短く」という考えは経済原則としてどこまでも追求されることなので、今後も短工期化は進むものと思われます。ただ、それと個人の労働環境とは別問題です。
現状から考えると民間建築で土日を休むことは困難だと思います。残業手当を正当にもらえるしくみを監視する事が大切です。
建築協としても「若者が積極的に働きたいと思う産業にするためにはどうしたらよいか」検討していきたいと考えており、参考にしたいと思います。


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「会社の集まり」と「労働組合の集まり」という立場の違いはありますが「産業の魅力化」に向けた視点の中で、いくつかの共通認識が得られました。「ともに取り組めること」を柱に「業界団体ができること」「日建協ができること」を双方がしっかり取り組むことにより、産業の課題を解決していくための『協調』が大切であることを再認識しました。
日建協は今後も、働く者の生の声を業界に対して強く発信していきます。

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