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個々の事件ベースで考えると、昨年、わが国でおきた主な出来事は実に多様性に満ちていたという印象を受けます。しかしながら、見方を変えると一貫性に乏しく、産業界全般を通じた潮流といったものが比較的少なかったようにも感じられます。 “変化” という観点で見るならば、参議院選挙における「自民大敗、民主躍進」は世論の大きなターニングポイントとして位置づける事ができるでしょう。

産業別に見た場合、私たちが生きる建設産業では“潮流”という観点から、いくつかの特色があったと思います。私自身、最も印象付けられたのは「企業のコンプライアンス」でしょう。CSR(企業の社会的責任)、あるいは企業価値向上に向けた取り組みの一環として、コンプライアンスという文字がメディアを通じて毎日のように見受けられ、あたかも各企業のコンプライアンスへの取り組みが建設産業のイメージアップに繋がるかのようにも感じられましたが、組合員の皆さんはどう感じられましたか。

『一企業を産業や社会、そして広くは地球規模での生態系の一部として位置づけ、それぞれの持続的な発展に貢献するため、「経済性」本位だった従来までの企業活動に加えて「環境問題」「社会問題」に対しても自主的に取り組んでいく必要がある』というCSRの本質からすると、「企業のコンプライアンス=法令遵守」は、いささかCSR以前のあたり前の事のようにも思えます。コンプライアンスの徹底はあたり前の事として、むしろ、その他の社会的・環境的な取り組みをアピールしていくならまだしも、「あたり前の事をあたり前に守らせる」という取り組み自体をCSR活動の一つとして位置づけ、社会に対してアピールしていく事が、直接、建設産業のイメージアップに繋がるとは思えません。

しかしながら、今後「豊かな産業」「豊かな社会」を実現する上では、この「あたり前の事を、あたり前に成す」という考え方が、今、私たちに一番求められる事であり、また一番欠けている部分である事も事実です。失いつつある建設産業の信頼、魅力を取り戻す事は一朝一夕に進むものではありませんが、今年も日建協は「産業の魅力とはなにか」を業界内外に問うていきます。業界関係者の全てが「あたり前にすべき事」が何かを自発的に考え、そして成す事が、すなわち建設産業の魅力化の根幹であるという事を訴えていきたいと思います。

産業の魅力とは、「産業で働く人間の魅力」「産業に生きる人間の魅力」であります。建設産業に従事する者が、「日々の労働に対して魅力を感じているのか」、「どれほどの豊かな生活をおくっているのか」、そういった産業に生きる人間の姿を見る事によって、次世代の若者は、魅力ある人間が集うこの業界に入る事によって自分自身も魅力を実感したいと感じるであろうし、私たち自身も魅力が実感できるこの産業に対して誇りを持てるようになるのではないでしょうか。
まずは、今年一年、私たち一人ひとりが「あたり前の事を、あたり前に成す」事から始めましょう。そして家族や、次世代の若者に対して自信を持って語れる産業にしていこうではありませんか。
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