皆さんの周りに後輩はいますか。なかなか新入社員が入ってこなくてさびしく感じている方も多いのではないでしょうか。
以前日建協が実施した学生や大学教授へのヒアリング調査では、「ゼネコンで働く具体的なイメージがわかないので不安がありゼネコンを志望しない」との声がありました。
日建協では、ゼネコンの社会的役割や実体験に基づいた社員の具体的な働き方を学生に直接伝え、ゼネコンの本当の姿と、ものづくりのすばらしさを理解してもらうため、昨年度より「出前講座」を行っています(Compass771参照)
11月15日、今年度最初の出前講座を法政大学で行いました。

 ■学生の就職に対する意識


日建協では昨年、3大学延べ53人の学生に対し「出前講座」を実施し、ゼネコンの本当の姿と、ものづくりのすばらしさを伝えてきました。
今年度は更に多くの学生を対象に出前講座を行うことに合わせ、建設系学生の就職に対する意識を広く調査するためのアンケートを行いました。
その結果、学生が就職先を選ぶ理由の一位は「仕事のやりがい」でした。(図1)
また、ゼネコンを志望しない理由に43%の学生が「仕事の内容がわからない。」ことを挙げていました。(図2)
つまり、ゼネコンの仕事の内容を具体的に伝え、建設産業の魅力と仕事のやりがいを感じてもらうことが学生の入職を促すために今一番必要であるという結果が確認されました。




 ■今年度の出前講座開始
 
11月15日、今年度最初の出前講座を、昨年に引き続き法政大学工学部都市環境デザイン工学科(東京都小金井市)で土木系の学生に対し実施し、3回生100名(うち女性18名)の参加がありました。
出前講座は企業が行う一般的な就職ガイダンスとは異なり、個々の企業への就職を勧めるのではなく、社会資本整備に携わっている建設産業の役割や技術者としての働きかたを実体験を基に直接伝えるものです。
講師は日建協の役員だけでなく、建設産業の第一線で活躍されている方の生の声を伝えるため、加盟組合から講師を募集し、今回はペンタユニオンの小澤さんと奥村職組の福士さんに熱い講演をいただきました。
2時限(各90分)の講義ではまず、日建協から文明社会を支えているインフラの重要性や、建設産業が担っている社会資本整備や災害復旧といった社会貢献度の高さ、自らが建設したものが仕事の成果として形となり後世に残る満足感、などについて説明しました。

出前講座の様子

続いて講師の二人には、自分がゼネコンに入社した動機や入社以来の仕事に対する充実度の変遷などについて話をしていただきました。
小澤さんからは現在勤務しているシールド工事の現場を題材に、工事の目的、工事の必要性、ゼネコン職員の働き方などを、福士さんからは、これまでの自分の経験を元に、働くとはどういうことか、仕事のやりがい、現場でのゼネコン職員の働き方などを熱く伝えてもらいました。
受講された学生たちは全員昼食後の眠気にも負けずメモを採りながら講師の声に耳を傾けていました。
また、質疑の時間には、一人の女子学生から「女性はどのような場所で活躍できるか。」という質問がありました。

小澤さん(ペンタユニオン) 福士さん(奥村組職員組合)
 熱心に聞き入る学生たち

 ■学生の意識に変化あり

講義終了後には、受講前は公務員志望だった学生から「今日の講義を聞いて、ゼネコンも選択肢の一つとして考えたい。その上でゼネコンはなかなか休めないと聞くが、本当にそうなのか。」との質問があり、講義を行った効果はあったものの、学生は労働時間を入職の際に重要視している事を再確認しました。
さらに、今回の学生に対するアンケートでは、受講前の「ゼネコン志望者」が19%(図3)だったのに対し、講義終了後には、「ゼネコン希望」と「ゼネコンも選択肢の一つとして考えてみたい」と回答した学生は両方合わせて53%に増えました。(図4)
また、アンケートの自由筆記の中では、「ゼネコンのイメージが変わった。」「ゼネコンの仕事内容の具体的な話が聞けてためになった。」との意見があり、建設産業に対する偏ったイメージを払拭し、具体的な建設産業の働くイメージを持ってもらえました。
また、ゼネコンの魅力向上に何が一番必要かとの設問には「労働時間の短縮、休日の確保」を一位に挙げており、労働環境の改善も人材確保には重要であることを再確認しました。

 ■私たちの仲間を増やすために

日建協秋の会社訪問では、各企業から採用に苦労しているという意見を多く聞きました。さらに日建連をはじめとする業界団体も新卒者の建設業離れに危機感を感じ始め、学生との意見交換会の開催や、専門委員会を設けるなど人材確保・育成対策に本腰を入れ始めています。
日建協では、建設産業に対する偏ったイメージを払拭し、ひとりでも多くの学生に建設産業で働く素晴らしさを知ってもらうため、今後も出前講座を通して産業の魅力向上に向けた活動を実施していきます。
尚、名工大(12/13)、北大(12/14)、大工大(12/21)の3校で出前講座が開催される予定です。
今年度の出前講座の受講生が一人でも多く再来年の春に私たちの仲間になってくれる事を目指し今後も活動していきます。




Compass Vol.775 一括PDFはこちら(8.94MB)

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