本文へジャンプ
先日、愛犬ピーチ(ミニチュアダックスフンド)と散歩をしていたら、地元(台東区)の掲示板に「未来に伝えたいもの」と題し、上野近辺のお寺めぐりを行う散策ツアーが紹介されていました。残念ながら所用がありツアーには参加できませんでしたが、「未来に伝えたいもの」ってなんだろう? と疑問がわいてきました。
そこで、職業がら(土木作業所に18年勤務)もあり、現存する建造物の中から探してみたら、世界遺産*に関する中に伝えたいと思えるものがみつかりました。
今回は、その中から私が選んだ建造物を5つ紹介します。


1972年のユネスコ総会で採択された「世界遺産条約」に基づいて、「世界遺産リスト」に掲載(登録)された自然や文化のことです。
世界遺産リストの作成は、地球にある素晴らしい自然や文化を、国や民族の区別無く、全地球人のものとして守り、未来に受け継ぐことを目的としています。
日本国内には、法隆寺や白川郷など18件の世界遺産があります。現在、12件の世界遺産への追加登録申請を文化庁が審議しています。その内の3件が、今回紹介する、大浦天主堂、錦帯橋、碓氷川橋梁です。

世界遺産 http://www.unesco.or.jp/
岐阜:白川郷
山口:錦帯橋
群馬:碓氷川橋梁
長崎:大浦天主堂 千葉:座生川排水門
今回、誌面で紹介した他に、みなさんご存知の法隆寺や姫路城を含め18件の世界遺産が日本にはあります。HPを検索し、気に入った所をみつけ旅してみましょう。
また、自分で造った建造物や会社が造った建造物を家族や大切な人とたずねてみませんか。そして、私のように心の中の世界遺産に登録し、私たちが後世に残るすばらしい仕事をしていることを実感しましょう。

▲このページのトップへ

最初に紹介するのは、中高生の修学旅行や観光旅行で訪れることでも有名な大浦天主堂(長崎市)です。長崎市は私が大学生活を4年間過ごした思い出の地でもあります。
大浦天主堂を選んだ理由は、西洋のゴシック建築様式を用い造られた、日本最古(1864年)の木造ゴシック造りの教会であり、日本にいながら、西洋の雰囲気を味わえるからです。教会の特徴は、自由の象徴として、尖頭に十字架があり、内部はステンドグラスが張られ美しい内観を擁し観光客を魅了しています。
また、高台の斜面に位置し長崎湾や市街中心地を一望することができる絶景で、隣接しているグラバー園やお土産屋さんを、ブラブラ見て歩くのも結構楽しいものです。みなさんも一度、ここで西洋の雰囲気を味わって下さい。
大浦天主堂HP http://www1.bbiq.jp/oourahp/


▲このページのトップへ

次に紹介するのは、錦帯橋(山口県)です。
私は大学で橋梁を専攻していたこともあり、景観の美しい橋を見るのが好きで、特に、アーチ橋は一番好きな形式です。
錦帯橋を選んだ理由は、大好きな美しいアーチ形式の橋であること、また、橋梁技術が現在と遜色ないところです。錦帯橋は、約330年前(1673年)に造られ、他に例を見ない特異な姿の五連の反り橋が特徴です。反り橋の構造は、頑丈な組木の技法により、橋上からの圧力で更に強度が増す仕組みになっており、経間35mを無脚で渡した技術は、現在の橋梁技術からみても遜色ないものといえます。
錦川の渇水の時期は、川原を歩けます。橋の上を歩くだけでなく、川原におりて、橋の下からながめ、昔の土木技術者のすごさを見てみて下さい。
また、この橋の付近は、春は桜、秋は紅葉の名所となっており、四季おりおりの景観とマッチして美しい街並を呈しています。みなさん、長期休暇を利用し一度訪れ、アーチ橋の美しさを体感して下さい。
錦帯橋 http://www.kintaikyo.jp/


▲このページのトップへ

3番目に紹介するのは、すでに世界遺産に登録(1995年12月9日)されている白川郷(岐阜県)です。
白川郷を選んだ理由は、白川郷の「合掌造り」が降雪に対処することや養鶏のために小屋内の空間を広くとることを目的として、約150年前の庶民の方々が知恵を絞り考えられた合理的な建築物であるからです。「合掌造り」の特徴は、叉首構造の切妻屋根とした茅葺きの家屋で、一般の日本の民家に比べて規模が大きく、屋根の勾配が急傾斜となっていることです。
対象となる3集落は、庄川沿いに形成された段丘面にあり、いづれも集落の歴史的景観とその周囲の自然環境が良好に保存されており、非常に心をなごませる景観美です。
白川郷はテレビでもよく登場するので、馴染が深い方や旅行に訪れた方も多いかと思います。私も含めまだ訪れていない方は、長期休暇を利用し一度訪れ、体の休息とともに、心をなごませて下さい。
白川郷 http://www.shirakawa-go.gr.jp/


▲このページのトップへ

4番目に紹介するのは、碓氷川橋梁(群馬県)です。
碓氷川橋梁を選んだ理由は、全長91メートル、川底からの高さ31メートル、使用された煉瓦は約200万個にも及ぶ現存する煉瓦造りの橋の中では国内最大規模であるからです。まだ機械化が進んでいない約120年前(1893年)に建設されたことを考えると、その当時の土木技術者の知恵と英知を絞って作った、傑作の一つではないでしょうか。
現在では、碓氷川橋梁を使用していた信越本線横川−軽井沢間(碓氷線)が北陸新幹線(長野行き新幹線)の開通にともない1997年(平成9年)9月30日に廃止されました。その後、横川駅からこの橋までの旧線跡が遊歩道となり、橋上の手すりや国道18号へ通じる階段などが整備されています。また、この橋梁とともに旧信越本線碓氷峠鉄道施設や車両等は、旧横川運転区跡地にオープンした「碓氷峠鉄道文化むら」を拠点にして保存活動が進んでいます。
みなさんの中には、鉄道ファンも多いかと思います。家族や大切な人と遊歩道を歩き、自然を感じてみませんか。そして、歩き疲れたら、「碓氷峠鉄道文化むら」で鉄道模型などで遊んで童心に戻って下さい。
碓氷峠鉄道文化むら


▲このページのトップへ

ここまで、世界遺産に関する建造物を4つ紹介しました。どれも甲乙つけがたいものがあります。しかし、それ以上に「ものづくり」に携わる私が「未来に伝えたい」と思うのは、やはり自分が造った建造物です。そこで、最後に紹介するのは、私が30歳の時に監理技術者として、初めて地上に残る建築物として作った座生川排水樋門です。この現場で働いている時に結婚し、初めて自分が造った現場を自慢したたこともあり、私の中では「未来に伝えたい」世界遺産のトップです。
座生川排水樋門は千葉県野田市岩名にあり、付近は市街地化が進み、住宅が立ち並んでいます。近辺には清水公園があります。清水公園に行った帰りに寄り道して、私の世界遺産を見てみて下さい。

今回、誌面で紹介した他に、みなさんご存知の法隆寺や姫路城を含め、日本には18件の世界遺産があります。一度、HPを検索し気に入った所をみつけ旅してみましょう。
また、自分で造った建造物や会社が造った建造物を家族や大切な人とたずねてみませんか。そして、私のように心の中の世界遺産に登録し、私たちが後世に残るすばらしい仕事をしていることを実感しましょう。


Compass Vol.775 一括PDFはこちら(8.94MB)

●このページのトップへ   ●Compassバックナンバーへ   ●ホームへ
◆統一土曜閉所キャッチフレーズ募集◆年頭所感◆出前講座◆100万人の市民現場見学会◆未来に伝えたいもの
◆心の健康:メンタルヘルス不全を吹き飛ばそう !!◆トピックス◆加盟組合交流日誌◆東西組合細見:佐藤工業職員組合

   Compass775