作業所での仕事の中で、「無報酬業務※」が多くて、
一日の労働時間が長くなっていると感じたことはありませんか??
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※無報酬業務とは
□本来発注者が行うべき業務が、受発注者間の片務的な
関係性によって負わされる業務。
□契約において受発注者間の責任区分が不明確なまま、
その後も明確にされずに受注者の業務範囲とされた業務。
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作業所に従事する組合員からの声により、「無報酬業務」が業務の中で大きなウェイトを占めている実態が確認されています。「無報酬業務」を行うことによって、本来費やす必要のない労働時間が積み上げられ、長時間労働となる可能性が非常に高いものと考えられることから、日建協では「無報酬業務」の解消を訴えていく提言活動を実施してきました。2006年度の提言活動から、国土交通省側でも「無報酬業務」の発生が受発注者間の良好な関係性、ひいては建設産業の発展の阻害要因に繋がることとして問題意識を持っていることがわかりました。それに対し発注者は「工事条件明示の徹底のための手引き」や「設計変更業務についてのガイドライン」等、以下に示すような具体的な施策を講じています。
そこで、昨年はみなさんにご協力いただき、以下の施策が作業所において実際にどれだけ活用されているのかを調べるため、アンケートおよびヒアリングを実施しました。
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アンケート・ヒアリングから、まずは上記の施策内容の認知度がまだまだ低いことから、作業所において有効に活用しきれていないということがわかりました。また、本来施策の運用を推進していくべき立場である発注者側担当者の認知度の低さや、施策の有効活用に向けた発注者側からの広報が不十分なのではないかとの指摘もありました。
しかしながら、この施策の適切な運用が受注者側での労働負荷の軽減につながるであろうとの組合員の期待が大きいことも分かりました。日建協では、①『発注者側担当者までの施策内容の浸透および発注者側からの積極的な広報』と、②『作業所で働く組合員の施策に対する認知度向上および積極的な活用』という2点に着眼して、今後「無報酬業務」の解消にむけ取り組んでいきたいと考えています。
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(1)「改善提案書」の作成および提言活動
前述の①『発注者側担当者までの施策内容の浸透および発注者側からの積極的な広報』を働きかけていくために、加盟組合から募集したメンバーとともに作り上げた「契約内容の明確化に向けた提案」(改善提案書)を用いて、現在、各地方整備局に提言活動を実施しています。
提案書の中では、受発注者双方がもっとも目にするのは特記仕様書など契約書類であるため、施策の活用についてそこに記載することや、三者会議、ワンデーレスポンスなどの対象を広げて欲しいといったことを提案しています。上図に示すとおり、無報酬業務は設計照査や設計変更のときに発生しやすいと考えられます。しかし、その発生を抑えるためにはその前段階である契約の時点で施工条件が明確になっていることが最も有効であると考えられます。したがって今回の改善提案書の中でも、特に条件明示については「受発注者ともに徹底して確認すること。そのツールとしてチェックリストなどを使ってはどうか。」といったことを強く働きかけています。
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(2)提言先の反応
8月現在、関東、北陸、近畿、四国の各地方整備局と北海道開発局を訪問しました。
そこでの意見として「条件明示の徹底」については「整備局のみならず工事事務所の職員に対しても、適切に行うよう指導している。」「契約前に受注者から条件について指摘してもらうことは、発注者側にとっても有効なのでどんどん声を上げてきてもらいたい。」「もし契約後不具合に気づいたなら、早めに照査で上げて欲しい。」といった意見がありました。
「設計変更等のガイドライン」については「今後、受注者側の意見もとり入れ順次良いものに改定していきたい。」「三者会議については、工事を円滑に進めていく上で効果を感じているので開催を申し出てもらいたい。」などの意見もありました。
上記提言先の反応や、最近の「全地方整備局で設計変更ガイドラインの作成」、「2009年度からの全直轄土木工事へのワンデーレスポンスの適用」などの動きから、今後契約内容の明確化にむけた社会的機運は高まっていくと考えます。
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日建協では、前述の②『作業所で働く組合員の施策に対する認知度向上および積極的な活用』の一環として、組合員向けのリーフレットを作成しました。加盟組合執行部を通じて皆さん一人ひとりの手元に届くものと思われます。
このリーフレットの内容を通じて、まずは「条件明示」と「設計変更」に関する国土交通省の施策内容について理解していただきたいと思います。また、現状の業務をいま一度振りかえってみて、今まであたり前のように行ってきた業務が実は「無報酬業務」ではないだろうかと考えなおしてもらうためのきっかけとしていただければと考えます。
今抱えている業務について振りかえり、職場単位で「受注者としてすべきこと」「発注者がすべきこと」について話し合い、施策の有効活用を通じた「無報酬業務」の改善に向けて、積極的に声をあげていくことが作業所における労働環境の改善につながるものと考えます。
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