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前ページにて、生計費はこれ以上、下げられないということを主張しましたが、その根拠はどこにあるのでしょう。
日建協では、毎年、約330世帯に協力をいただいて、1ヶ月の家計収支状況を調査する家計調査を実施しています。2008年調査は42回目となります。
ここでは、調査時報No.242「家計調査報告特集」(2009.1)※より、わたしたちの生計費について考えていきます。



     ※日建協家計調査 調査時報No.242
     【対象時期】2008年8月25日〜9月24日
     【対象数】 330世帯
     【回収数】 306世帯 【回収率】 92.7%
     【対象世帯の選出基準】
     ・ライフステージ別に選出:
      25〜29才は3人世帯、30〜34歳は3人
      または4人世帯、35才以上は4人世帯
     ・地域:なるべく関東、関西地区
     ・収入:原則として世帯主の賃金収入で
      生活している世帯(少額のパート収入は可)
     ・その他:世帯主と家族が別居している世帯、
      現場宿泊や出張の多い世帯は除く

     あなたの家計の実態は?―自由意見欄から

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過去10年間の4人世帯の1ヶ月間の家計収支についてみてみましょう。

【世帯主勤務先所定内収入(以下、所定内収入)】と所定内収入のほか、超過勤務手当や配偶者の収入などを加えた世帯全体の【実収入】ともに、家計調査では2002年を底として増加傾向にあります。特に、超過勤務手当ての増加による実収入の増加が目立ちます。
【生活費】については2003年を底として2007年までは増加し、2008年は減少しています。

家計全体の収支(【実収入】−【生活費】)は、2002年までは赤字、それ以降黒字となっています。また、所定内収入による収支(【所定内収入】−【生活費】)は、過去10年間すべて赤字となっています。
この収支状況から言えることは、わたしたちの所定内収入だけでは、生活を維持することが難しく、超過勤務手当や配偶者の収入によって生活を維持しているという現実があるということです。「配偶者の収入の使途」について、2008年調査で特徴的であったのが、2007年に比べて、『不時の支出に備えて貯蓄している』が減り、『日常生活費に充てている』と答える方が増加している点です。これは最近の物価上昇による家計の厳しさを浮き彫りにしているものだと判断されます。

一方、わたしたちは収支の悪化に対しどのような対策をとってきたのでしょうか。消費支出の推移をみると、『飲食費』と『その他の消費支出』の減少が目立ちます。また、小額ではありますが、『被服履物費』『保険医療費』『教養娯楽費』なども減少しています。日々の食費や、小遣い、交際費などを切り詰めて、どうにか収支バランスを保とうと努力してきたということでしょう。しかし、「最近の家計収支」をみると24.9%の世帯が『貯金の引出しや借金でやりくり』と答えており、節約にも限度があるということが分かります。

「外食を減らしたり、日々の食費で無駄遣いのないよう工夫しているが、最近の産地偽装問題など食の安全が心配される中、多少高くても安心して食べられるものを家族には食べさせたい。」「レジャーや自分の趣味にかけるお金は減らせても、子どもの教育費を削ることはできない。」これらは、自由意見欄で多くの方が言われていることですが、わたしたちが安心して生活していく上では、節約も大事ですが、これ以上節約できない部分があるということを忘れてはいけないということではないでしょうか。

 家計調査自由意見欄より

 〜家計調査では、家計収支のほか自由に意見をいただく欄を設けています。 
 ご協力くださったみなさんからいただいた声を以下にご紹介します〜

【あなたの家計の実態は?】


育児費は減らせない
食費など無駄がないようにしているが、結果赤字であった。子ができたことでの粉ミルク、おむつ代の出費が要因であると思う。また、妻の産休、育休中のため、収入が安定していない。           

(28歳 3人世帯)


将来を考えると共働きが必要
出産直前ということもあり、検診代が辛かった。その分外食やレジャー費が減ったので今月はましだったのではないかと感じる。将来のために貯蓄するにはやはり共働きの必要があると感じた。

(25歳 3人世帯)


日常生活は収入に見合ったものにしているが・・・
日常生活は収入に見合ったものになっていると思うが、帰省費等はボーナスから出すしかなく、今後子供が大きくなり必要になってくる養育費の貯金ができるか不安だ。

(29歳 3人世帯)


希望の生活とは違うけれど・・・
私一人の収入ではとてもやっていけないので、10月から妻にも働いてもらうことになっている。(次男が1歳になるので)正直妻の収入をあてにした生活は本当はしたくない。内勤でほとんど残業がないのはいい面もあるが経済的には厳しい。

(31歳 4人世帯)


食の安全のためには食費は下げられない
この家計簿を記入することにより、一年間にどのくらい子供にかけているかとか、保険料がどのくらいかかっているかなど、確認することができました。世間を騒がせている食品偽装は我が家の食費にも多少なりとも影響を及ぼしているようで、安全を確保しようとすると食費が下がらないのが現状です。

(35歳 4人世帯)


もっと節約できる部分もあるが・・・
最近の物価上昇でかなり厳しいのですが、今回記入してみてまだまだ切り詰めなくてはと反省しました。ガソリンを使わないように車に乗るのを控えたり、外食を控えたりしているのですが、もっと節約できる部分(食費、娯楽費等)があると感じました。貯蓄を取り崩す日が続いて底をついてきているので、下の子が小学校に上がる来年には私も働かなければと思っています。

(35歳 4人世帯)


もう少し余裕がほしい
基本的な生活はできるが、余暇を楽しむレジャー費、老後のための貯金をすることが難しい。今後、子供の教育費も上がってくるので心配。給料の大幅な上昇も期待薄であるが、もう少し余裕が欲しい。

(37歳 4人世帯)


教育費は切り詰められない
生命保険、子供の塾の費用が高い。生命保険については今後検討の必要がある。塾については来春受験を控えているため、切り詰められるのは食費ぐらいしかない。

(40歳 4人世帯)


やっていけるか不安
子どもが大学生と高校生になりました。少なくとも後6年くらいは教育費の割合が高く、やっていけるか不安です。

(49歳 4人世帯)


2009年賃金交渉 イベント支出と蓄え へに続く


Compass Vol.781 一括PDF(15.9MB)
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