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◆賃金と給料(給与) ◆賃金表 ◆個別賃金 ◆一時金と賞与(ボーナス) ◆ベアと定昇 ◆物価上昇見合い分

◆「賃金」と「給料(給与)」

「賃金」=労働力の値段(単価)
「給料」=賃金×労働時間(料金)
「給与」は「給料」のうち税金から支給されるもの、つまり公務員の給料です。
どんなものでもそうですが、普通、ものの値段は売り手が決定し、買い手は、その値段と自分がほしい量との掛け算で料金を計算し、それを買うか買わないか決定するか、または値引きの交渉を行います。
同じように、労働力の値段も、労働力の売り手であるわたしたちに決定権があり、使用者側はその値段と、生産に必要な労働時間を掛け算して料金を計算します。しかし、普通のものとは異なり、売り手であるわたしたちが、買い手の支払い能力を生み出す担い手となっていることと、労働力の売り手に値段の決定権があるとはいえ、労働力が売れなければ、わたしたちの生活ができなくなるという点で、普通のものとは、値段の決定手順が異なります。


◆「賃金表」

賃金表は、賃金の一覧表です。
例えば、肉屋では、豚肉ならグラム120円とか、牛肉ならグラム240円だとか、肉の種類によって値段が決められています。同じように、労働力であれば、職種や熟練度といった労働力の種別(これを労働力の銘柄といいます)によって値段が決められていなければなりません。
そして決められた値段は、従業員全員がいつでも見ることができるように一覧表にして公開されていなければ、公平・公正な賃金とはいえません。


とはいえ、賃金表が未整備、不十分な企業もありますので、そのような場合は、賃金表を整備することから賃金交渉をはじめなければなりません。


◆「個別賃金」

賃金表に書かれる労働力の銘柄ごとの賃金を、銘柄個別の賃金=個別賃金といいます。 日建協個別賃金とは、わたしたちのあるべき賃金を銘柄別に示したものです。日建協個別賃金は、ある年齢での支出を基準にしていますので、銘柄別とは年齢別ということになります。


◆「一時金」と「賞与(ボーナス)」

わたしたちにとって、「一時金」と「賞与」という言葉は、「賃金」と「給料」よりも明確に区別しなければなりません。なぜならば、「一時金」と「賞与」はまったく意味が違うからです。
まず賞与ですが、賞与は業績などに応じて与えられる特別手当です。(賃金の3つの性格で言うところの生産性によるものです。)
次に一時金ですが、これは生活のための出費がかさむ夏と冬に生活保障のために支払われる、生活保障一時金です。(賃金の3つの性格で言うところの生計費ということです。)
生計費である一時金は、本来、毎月の給料で支払われるほうが、わたしたちにとっては、安定した生活を送るために有利となりますが、慣例的に夏と冬の年2回支払われることが多くなっています。(より安定した生活のために、一時金から月次賃金へのシフトを交渉している加盟組合もあります。)
理想的には、「一時金」と「賞与」の両方を受け取りたいところです。

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◆「ベア」と「定昇」

ベア(ベース・アップの略)とは、賃金の基本給部分(ベース)を改定する(上げる)ことです。つまり、賃金表にある銘柄ごとの値段を見直し、賃金表を書き換えることになります。賃金表の書き換えは、消費者物価などの経済情勢や、世間相場、賃金制度の見直しなどの要因で実施されます。
定昇(定期昇給の略)とは、ベアとは違い、賃金表はそのままで、賃金表上を移動することを指します。この移動は制度として行われることが必要です。わたしたちは1年仕事をすることで、1年分仕事の熟練度があがります。よってわたしたち一人ひとりは、1年経過するごとにひとつ上の銘柄へと移っていきます。銘柄が変われば、賃金もそれにあわせて変わるということです。


定昇は賃金水準を1円も上げるものではないということも理解しておかなければなりません。また、仮に1年間定昇が凍結された場合、その影響は1年間ではなく、退職するまで永遠に引きずることになることも理解しておかなければなりません。
<定昇が1年凍結された場合の生涯賃金への影響>
例えば、次の例の場合の生涯賃金(月次分)を計算してみましょう。
【初任給20万円、定昇1万円、勤務年数38年の場合で30〜31歳までの1年間定昇がなかった場合】


制度どおりの定昇の場合
  生涯賃金
  = (20万+57万)×38年÷2×12ヶ月
  = 1億7,556万円

1年間定昇がなかった場合
 生涯賃金
  = (20万+28万)×9年÷2×12ヶ月
   +28万×1年×12ヶ月
   +(29万+56万)×28年÷2×12ヶ月
  = 1億7,208万円

よって、定昇が1年間とまることによって、生涯賃金は348万円減少することになります。


◆「物価上昇見合い分」

物価上昇見合い分とは、消費者物価の上昇による、実質賃金の目減りを補うためのベースアップ率を意味します。
仮に前年度と同じ金額の賃金でも、消費者物価が上がれば、購買力としての価値が低下したことになり、生計費は維持されたことにはなりません。
そこで、消費者物価の上昇に合わせて、賃金表を書き換えることが必要となります。
2009年の日建協の要求基準では、この物価上昇見合い分の確保を掲げています。

Compass Vol.781 一括PDF(15.9MB)
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