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〜 2009年度 日建協秋期会社訪問 〜

日建協では毎年9月から10月にかけて各加盟組合の企業に訪問し、日建協活動を理解していただくとともに、産業が抱える様々な問題について加盟組合企業と意見交換をしています。2009年度の秋期会社訪問では、日建協が行っている2つの提言、および時短推進に向けての取り組みに関して意見を頂いてきましたので報告します。

国交省の各施策に対して、会社側から従業員の皆さんへの広報・教育活動は行っていますか? また、4月からの発注工事には特記仕様書に「設計変更・工事一時中止ガイドラインの遵守」が記載されていますが、記載による現場管理の変化などについて、現場からの意見など上がっていますか?

施策の活用について作業所で話がでるようになった。ワンデーレスポンスで期限を決め、三者会議で設計者も入って方向性を出してくれるようになったので、コミュニケーションの場は以前より増え、風通しが良くなったとのことだった。


特に変化があったとは聞いていないし、具体的には把握していない。

ガイドラインについては現場に通達を出して、きちんと取り組むよう指示している。特記仕様書に記載されたということは業界と組合が建設業というものをとらえ、労使一体となって取り組んだ好事例である。

日建協では提言「契約内容の明確化と片務的体質の改善による労働時間の短縮に向けて」のなかで、無報酬業務の解消を提唱していますが、無報酬業務についてのお考えと、提言についてのご意見などを伺えますか?

国交省の担当者の意識が変わってないのが問題。本省や局は理解があるが、事務所の担当官まで周知されていないことが多々ある。周知されていたとしても、手間を嫌って動かない担当官が今でも存在する。いまだに、三者会議の資料も請負者側が作成している。引き受けるのはやむをえない部分もあるが、その対価としての作業報酬がきちんと支払われない無報酬労働はやはり問題である。

無報酬といっているが、我々にとって全く無報酬というわけではない。
有利な変更を取るためには自ら動かなければ仕方がないところがある。

このような提言活動や周知活動は良いことだと思う。
一企業ではできないことを今後も継続的に行ってもらいたい。

日建協では2009年7月に『工期と「安全衛生・品質」に対する意識調査』を実施しました。その結果、90%以上の技術者の方が工期と「安全衛生・品質」に関係があると回答していますが、どのように感じられますか?

調査結果のとおりだと思う。建設産業全体で何とかしなくてはいけない問題だが、一企業がデベロッパーに対して声をあげることは難しい。是非とも進めて欲しい。

民間工事の場合、工期が競争条件に入っているのは事実であるし、受注のためには工期が勝負になる。安全や品質と工期の関係性は十分理解するが、あくまでもコストが安くなければ受注できない。

あまりにも工期が短いと事故の発生する確率が上がることは顕著なことであり、建築ではここ2年くらいで相関関係が出ている。

短工期現場で働く職員に対して会社が一番心配しているのは、安全や品質を守ろうとするがために、職員が健康を害したり、精神的に病んでしまったりすることである。

日建協の提言「民間建築工事における4週8休を含む不稼働日を考慮した工期設定の実現にむけて」について何かご意見を伺えますか?

会社としても最終目標は時短である。良いものを安全に作るためには適正な工期が必要だということを、継続して声を上げていただき、労使一緒になって進めて行きたいと思う。

このような活動は、日建協のような組織が働き掛けていかないと、なかなか建設業の動きは進まないと思う。でも、活動の成果は出てきているように感じる。建設産業全体の問題として、やはり労働環境の向上は緊急的かつ重大な事だと思う。日建連の提言にもあるように、人材の確保・育成をしていかないと、何年かすると、本当に働き手がいない状況が訪れるでしょう。

一番の問題は、職人さんの日当月給の問題であろう。4週8休と、低い設計上の労務単価、両者の整合がまだとれていない。

日建協では年に2回統一土曜閉所運動を展開していますが、会社として特別に取り組まれていることがありますか?また、時短推進に向けて取り組まれていることがあれば教えてください。

統一土曜閉所運動の100%実施と作業所異動時休暇の取得率アップを、人事総務部の今年度の重点課題として位置づけ、組合と協働で取り組んだ。

社内のイントラネットを使い、統一土曜閉所運動ポスターをトップページに掲載したり、本社ニュースという形で社員に送信するなど意識付けを行っている。

社の各本部長と組合執行委員で構成される中央時短推進委員会の活動を強化し、今年度から中央時短推進委員(労使)による全支店巡回(作業所巡回)を実施している。

管理部署では週に2回のノー残業デーを実施している。

今回の会社訪問を通じて、会社側も日建協の提言に関して理解を示していることがわかりました。また、前回までの訪問と大きく変わったことは、「建設産業の将来のために粘り強く頑張ってほしい」とのエールを頂いた会社が非常に多かったことです。提言の実現は、私たち組合員だけでなく、会社も望んでいます。一企業では解決できない産業レベルの課題に日建協が取り組んでいるということで、産業別組織の意義を強く感じてもらっているということが分かりました。会社訪問での意見交換をきっかけに、この提言活動が産業をあげての大きな流れとなるよう継続して取り組んでいきます。

提言の実現は、建設産業が抱えている長時間労働問題の解消にむけての大きな一歩であり、みなさんの労働環境の向上や建設産業の魅力化につながっていきます。

また、時短に向けた取り組みでは、多くの会社で「他社の好事例を参考に取り組みたい」という意見を頂きました。
労使協働で取り組むことが成果に繋がる大きなカギですので、各社から頂いた好事例を会社訪問の機会を通じて会社側に発信していきます。


Compass Vol.784 一括PDF(15.6MB)

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