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 あらためて知る 所得税と個人住民税

2005年6月21日に政府税制調査会(注@)より発表された「個人所得課税に関する論点整理」には、給与所得者の課税体系を大幅に見直す方向性が示されており、年末の税制大綱の作成にむけた検討が予定されていることをご存知ですか。
そこで、税金について基本的なことから、政府などが今後の税制改正においてどのようなことを行うのか、わかりやすいように説明していきたいと思います。
 まず第1回の今回は、税金の種類とそのなかでもみなさんが毎月納めている所得税、個人住民税について基礎的なポイントを説明します。
(注@)政府税制調査会とは、税制に関する基本事項を調査、審議するために設置された内閣総理大臣の諮問機関です。中長期的な観点から税制を検討し、毎年度の税制改正について答申を行っています。

●日本の税金の体系について
日本には、50種類以上の税金があります。これは、負担が特定の人に偏らないように、納税者の所得や税金を負担する力にあわせて、さまざまな種類を組み合わせて徴収するためです。
税金はまず、「国税」と「地方税」に分かれています。国税はその名のとおり国に納める税金であり、徴収の方法によって直接税と間接税に分かれます。また、地方税は地方自治体に納める税金で、納税先により都道府県税と市町村税に分かれています。
それぞれの分類に分けられる税金は、次のようになります。
国税 直接税 … 所得税、法人税、相続税など
間接税 … 消費税、酒税、印紙税など
地方税 都道府県税 … 都道府県民税、自動車税、
          不動産取得税など
市町村税 …… 市町村民税、固定資産税など
政府の平成17年度一般会計予算・歳入内訳においては、所得税、法人税、消費税の3種類により税収全体の約8割を見込んでおり、この3種類は日本税収の基幹税と考えられます。
●所得税、個人住民税のしくみについて
@所得税のしくみ
表−1 単位:万円
給与収入 600
 -)給与所得控除(@) 174
 -)各種控除(A) 237
社会保険料控除 60
扶養控除 101
配偶者控除 38
基礎控除 38
=)課税所得 189
×)所得税率(B) 10%
=)所得税額 18.9
 -)定率減税
  (所得税額×20%)
3.8
所得税納税額 15.1
所得税は1月1日から12月31日までを1年とする個人の所得から、控除分を差し引いた「課税所得」に対して課せられるものです。このしくみを表であらわすと表−1のようになります。(出典:連合経済政策局)
年収600万円のサラリーマンAさん(所得のない配偶者と子ども2人、うち1人は16〜22歳)の場合

◎各控除についての説明
(i) 給与所得控除…給与所得を得るための必要経費として一律に差し引くものです。
(ii) 各種控除…所得控除ともいい、表に記載されている種類の控除があります。
(iii) 所得税率…累進課税制度により課税所得額により税率が変わります。
各種控除により課税所得が決まり、それに税率をかけて、所得税額が算出されます。そしてこの後、定率減税による税額控除がなされて、所得税納税額が算出されます。

ところでみなさんは12月に所得税の金額が大きく違っているのはなぜか、ご存知ですか。所得税においては、その年に源泉徴収(注A)された総額と、その年の最後の給与が支給されたときに確定する税額を照合した結果、源泉徴収されている税金が多ければ還付され、少なければ追加で納税することになります。これが年末調整と呼ばれている税務上の手続きです。年末調整の計算は「給与所得者の扶養控除等申告書」などをもとに、みなさんの勤務先が計算します。
(注A)源泉徴収とは、勤務先などの所得の支払者が、私たち納税義務者に対して所得を支払うときに、所定の所得税相当額を給与天引きして国に納めることです。これにより国は、早期に所得税を国庫収納することが可能になっています。

A個人住民税
表−2 単位:万円
給与収入 600
 -)給与所得控除(@) 174
 -)各種控除(A) 204
社会保険料控除 60
扶養控除 78
配偶者控除 33
基礎控除 33
=)課税所得 222
×)所得割(市町村民税) 8%(-10万円)
×)所得割(都道府県民税) 2%
=)個人住民税(所得割) 12.2
 −)税額控除 1.8
 +)均等割分 0.4(=0.3+0.1)
個人住民税納税額 10.8
個人住民税は1月1日の住所地において、前年1年間の所得に対して課せられます。
個人住民税は都道府県税と市町村税の2種類の税金を合わせたものであるため、給与天引きされた個人住民税は、まず納税窓口となる市町村に一括して納められ、その後都道府県民税分を都道府県に市町村から納めるようなしくみとなっています。
個人住民税には、所得割と均等割という2種類の算出方法によって徴収されます。所得割は、税率が各自治体の条例によりそれぞれで定めてよいことになっているため、自治体によって税率が変わることもあるのに対し、均等割というのは、所得に関係なく均等にかかると地方税法に記載されています。
個人住民税のしくみを表であらわすと表−2のようになります。(出典:連合経済政策局)
年収600万円のサラリーマンAさん(所得のない配偶者と子ども2人、うち1人は16〜22歳)の場合 表-2 各控除(給与所得控除、各種控除)については所得税の項目と同じ扱いとなります。

ところで、定率減税については2007年に全廃する方針であることを政府与党が9月に発表していることをみなさんはご存知ですか。定率減税については「私たちの所得税はどうなるの?」に掲載していますのでご参照ください。

次回は、政府税制調査会が今年行った「個人所得税に関する論点整理」についての解説と、連合など労働組合が考える私たち労働者にとっての問題点について、考えてみたいと思います。

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