子供からお年寄りまで手軽に利用できる交通手段である自転車は、通勤・通学や買物の足として日常生活に欠かせない存在です。(財)自転車産業振興協会の資料によると、国内の2005年の自転車保有台数は8,660万台にのぼり、国民の半数が1台以上保有している計算になります。
自転車は排気ガスを出さない環境にやさしい乗り物として注目されており、政府の「地球温暖化対策推進大綱」の中では、“安全かつ適切な自転車利用の促進”が位置づけられています。また、健康増進効果に対する期待も高まるとともに、燃料代が高騰するなか維持費用の手軽さからも、今後ますます自転車利用者は増えていくものと考えられます。
しかし、実際に街中を自転車で走ってみると、自動車や歩行者と接触しそうになったり、電柱や看板、放置自転車などが多く通りづらかったり、歩道の段差で転んでしまいそうになったりと、結構、危険な箇所が多いことを感じます。まだまだ日本の自転車利用環境は多くの課題を抱えているようです。総務庁のアンケート調査では、調査対象の3割が「自転車をもっと利用したい」と考えており、そのうちの2/3は、「自転車の利用環境が整備されればもっと利用したい」と回答しています。
このような状況をふまえ、国土交通省では、施策として「エコサイクルシティ(Eco-Cycle city)の形成」をあげ、自転車が人や車と調和するまちをめざした道路整備を進めています。街中でも安心して走行できる環境を、早く実現してもらいたいものですね。
一方、郊外の自転車道整備は着々と進んでいます。国土交通省では、1973年から「大規模自転車道」の整備を行っています。これは、自然公園、名勝、観光施設、レクリエーション施設等を結ぶ自転車専用道路を整備するもので、2003年までに、路線数135路線、総延長3440kmが整備されています。その周辺や他の地域にも、地方自治体が自転車専用道路等を数多く整備しており、インターネットで「サイクリングロード」を検索すると、日本全国各地に様々な自転車専用道路を発見することができます。サイクリングロードは、一般道とは違い安心して走れるので、初心者や家族でのサイクリングには最適です。
私が住んでいる千葉県にも、数ヶ所のサイクリングロードが整備されています。数年前に安売りで何気なく購入した折りたたみ自転車を車に乗せ、サイクリングに出かければ、ちょっとした小旅行気分を味わうことができます。「街中から近い場所なのに、こんなに自然が溢れていたなんて・・・。」と驚きです。いつも電車や車で通り過ぎる場所でも、自転車で走ってみると景色が違います。ゆっくりと行き過ぎる木や草花、昆虫や頭上を舞う鳥。風の香りや日差しの暖かさ、植物の葉が揺れる音など、五感で自然を味わうことができます。
大きな公園や河川敷なども、自転車道がよく整備されています。オートキャンプやデイキャンプに自転車を持参すれば、行動範囲を広げることができ、楽しさ倍増ですよ。
東京の都心にもサイクリングコースがあります。渋谷の代々木公園にはサイクリングセンターがあって、中学生以下には無料で自転車を貸し出してくれますし、国立競技場や神宮球場がある神宮外苑は、休日に一般道から車を締め出しサイクリング専用コースとなります。
ほんの一例ですが、欄外に全国のサイクリングロードを紹介しておきます。お近くのコースを是非楽しんでみて下さい。また、もう少し涼しくなれば、絶好のサイクリングシーズンの到来です。11月11日の統一土曜閉所日に狙いを定めて、本格的なサイクリング計画を早めに立ててみるというのはいかがでしょうか?
冒頭の「サイクリングの3K」に、「気持ちいい」と「パパかっこいい」を加えて「5K」になることでしょう。
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