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現在国土交通省は片務性の解消と契約内容の明確化に向けていくつかの施策に取り組んでいます。それがうまく運用されれば私たちの訴えてきた無報酬業務の解消につながります。その現状はどうでしょうか。
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発注段階で制約を受ける施工条件を具体的に明示することは、工事を円滑に進めるためには重要であり、国土交通省は平成14年に「条件明示について」という通達を出しています。しかし、今回の調査では条件明示が十分ではなく、施策はあまり活用されていないとの結果が出ました。不十分だった内容としては、「用地の未解決」や「工程未調整」といった問題点が記されていなかったことが上げられています。
これらの問題を、現場に乗り込んでから解決するためには、多くの資料の提出が必要となり、そこで無報酬業務が発生していました。
また、解決が難航すると後の工程が厳しくなり、長時間労働につながっていました。このような事態を防ぐためには、請負者側も契約前の段階で施工条件を現場と照らし合わせて、違いがある場合は質問書によって解決しておくことが必要です。北陸地方整備局では具体的な条件明示のチェックリストを作成しています。これを活用すれば、発注者側と共通の認識で条件を確認することが出来ると考えます。 |
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契約後、受注者側には設計図書の照査が義務付けられています。しかし、これまでは受発注者の責任範囲が具体的に明示されておらず、解釈の違いから受注者側は過度の負担を強いられてきました。
責任範囲の明確化のためにこれまで北海道、北陸、中部、九州の地方整備局で、最近では今年1月に近畿地方整備局で設計照査のガイドラインが作成されました。
この中には受注者の責任範囲の例が具体的に載っています。私たちの責任範囲を知り、受発注者間で本来どちらがやるべき事か協議することが無報酬業務の解消につながります。 |
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設計図書どおりに工事が進まない事もありますが、その場合は設計変更をすることとなります。設計変更に対し、これまでは手続きの流れが不明確となっていました。
今年になって国土交通省は、片務性の排除と設計変更の円滑化に向けて、今年度中に全地方整備局で「設計変更ガイドライン」を整備すると発表しています。関東地方整備局では先行して「設計変更ガイドライン」を作成しており、その中では「口頭のみの指示」など変更できないケースや、変更できる事例を変更手続きも含めて具体的に示しています。
変更の必要がある場合には、ガイドラインを事前に確認し手順を踏むことが、後の手続きを順調に行うことにつながります。 |
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各地方整備局では当初発注された設計思想の理解、設計図書の不具合と責任の所在を明らかにする事を目的として、発注者、受注者、設計者の三者で協議する三者会議の取り組みが始まっています。開催したところからは有効であったという声が多く聞かれます。
対象工事となっていなくても、受注者側の申し出があれば開催を受け付けるとのことなので、ぜひ活用してみてください。 |
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国土交通省は受注者からの質問・指示依頼があった場合、できる限りその日のうちに、またすぐに解決できない場合でも回答日を予告するなど、何らかの回答をその日のうちにする、「ワンデーレスポンス」という施策に力を入れています。
実施した作業所からは、「発注者の対応がすべての面で以前より速くなった。発注者の意識が変わってきた。また実施したい。」との意見がありました。 |
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