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時短特集


巷では「ワーク・ライフ・バランス」(仕事と生活の調和)という言葉が大きくクローズアップされています。簡単に説明すると、「仕事ばっかりの人生じゃなくて、仕事以外の時間にもっと目をむけましょう!」ということです。家族との時間、余暇の時間、ボランティア活動などにも時間を割き、そのことによって生活(ライフ)の部分が充実し、仕事(ワーク)の部分にもいい影響がでる、という考え方です。オンとオフをはっきりさせる、メリハリをつける、本当に理想的なことですよね。ただし、現実に目をむければ、簡単なことではありません。

このことは、みなさんにご協力をいただきました11月の時短アンケート結果をみれば一目瞭然です。
昨年11月、1ヶ月間の残業時間は調査開始以来、最も長い時間となっています。組合員のみなさんが、社会・地域に貢献をし、信頼を勝ち得るために、それぞれの職場で最大限の努力をしていることがわかります。

今回の調査で、ひとつ明るい兆しが見えたのが、休日の取得状況です。といっても、依然として外勤者の土曜日・祝日の取得状況はお世辞にもよいとはいえません。ただし、残業時間が大きく伸びているにもかかわらず、僅かながら休日の取得状況が改善されたことには大きな意味があると思います。みなさん一人ひとりが、統一土曜閉所運動をはじめとした、時短推進活動に努力して取り組んだ結果が出ているのです。

休暇あれこれ
さて、今回の記事の本題ですが、いろいろな休暇制度を集めてみました。日建協に加盟している各組合・企業の休暇制度や、他産業で取り入れている休暇制度の紹介です。
平日の残業時間を減らすことも、もちろん大切ですが、今のように、労働時間が長いなかで、「休息の時間」「生活の時間」をまとめてとるためには、休日をとることが非常に大切だと考えるからです。

作業所異動時休暇
多くの組合(会社)で導入されています。工事終了後休暇と呼んでいるところもあります。その名のとおり、担当した工事が終了した際の慰労として、だいたい5日程度の休暇が付与されるものが多いようです。1年以上にわたる工期の場合には、1年経過ごとに休暇が付与されるように工夫されている場合もあります。

メモリアル休暇・アニバーサリー休暇
まだまだ事例としては多くはありませんが、従業員個々の記念日に休暇をとることができる制度もあります。誕生日休暇、結婚記念日休暇などが代表的なものです。(航空会社の割引制度みたいですね)自分の記念日を、大切な人と過ごす。次の日からの仕事に活力がうまれそうです!

リフレッシュ休暇
長期勤続休暇、永年勤続休暇とも呼ばれることが多い休暇制度です。休暇が与えられる勤続年数は、10年、20年、30年などが多いのですが、10年以降は5年ごとに休暇が与えられるところもあります。休暇日数としては1週間前後が最も多いようです。なかには、連続して3週間なんて超長期休暇も! 建設業以外の事例では、「ピット・イン休暇」といった名称で、なんと3ヶ月に1回、まとまった休暇が与えられる、なんてものまであります。

ライフプランニング休暇
リフレッシュ休暇に似ている休暇制度です。一定の年齢に達した時に、今後の人生設計について考えるために少し休暇をとって考えてみましょう、といった目的の休暇です。60歳以降の雇用が前提となった今、一息ついて今後の人生設計をじっくり練ることは必要なことでしょう。

ボランティア休暇
地域社会などへの従業員の貢献をバックアップする休暇制度。障害者・老人・児童への貢献活動の他に、地域の消防団への参加や、スポーツ活動(試合の審判など)など、幅広いボランティア活動のために休暇をとることができるようです。 地域社会の輪が希薄になり、物騒な事件が少なくない現代社会においては、このような制度を利用して、ボランティア活動を行い、社会人として地域社会を担うことも考えなければいけませんね。 ただし、建設業ではあまり導入されていないようです。

出産に関する休暇
女性が子供を出産する際の、産前・産後休暇は、法律で定められた休暇です。独自に定めている休暇としては、配偶者が出産をする際に休暇を与えるケース(1日〜3日がメイン)があります。また、最近では、子供を望む従業員に対する支援策として、不妊治療のための休暇制度を取り入れる電機産業のような企業も出てきました。

代償休日制度
この制度は、はじめて聞く方が多いのではないでしょうか? それもそのはずです、この制度は厚生労働省がまとめた「今後の労働時間制度に関する研究会報告」の中で提案されたもので、現在の労働基準法では導入することができない制度なのです。 どのような内容かといいますと、残業した時間を、割増賃金で支払うのではなく、休日に換算して(割増率を加味して)休みを与えよう、というものです。ただ、制度としてはこれから検討がすすめられるのですが、現実の問題として、残業手当をあてにしなければならない賃金水準であったり、「休み」そのものを取ることができる環境になかったり、整理しなければならない課題はたくさんあります。 「今後の労働時間制度に関する研究会報告書」では、代償休日以外にも、さまざまな提案がなされています。今後も、コンパス紙上でご紹介していきたいと思います。興味のある方は、厚生労働省のホームページに掲載されていますので、読んでみてください。
いろいろな休暇制度を紹介してきましたが、大事なことは休日・休暇をとることができるようにすることです。「制度はあっても、休暇をとることができないんだよ」と思う方も少なくないと思います。もちろん、皆さんの組合も、制度をつくることだけではなく、その制度に実効性をもたせる取り組みにも注力しています。また、本来休むべき土曜日・日曜日の取得をしっかりと進めることが大前提としてあります。
ただ、休暇制度があれば本当に休みが必要な時に、休暇をとることができます。また、自分は取らなくても、必要な人は必ずいるはずです。できるときに1日でも多く、休みをとる。そんな意思をもつこと、そして、普段、目一杯頑張っているのですから、自信をもち、胸を張って「休みます!」と言う勇気を持つことが休日の取得につながるはずです。
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