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2011年も春を迎え、賃金交渉の季節がやってきました。賃金交渉は、私たちの生活を守るために、そして建設産業を魅力あるものとしていくために、とても大切な取り組みです。
みんなで賃金交渉について考え、スクラムを組んで、ゴールへのトライを目指しましょう!!

建設産業で働く私たちの「会社」や「家族」に対する『熱い思い(ハート)』をひとつにして、会社に働きかけ、充実した交渉にしていきたい、という思いがキャッチフレーズに込められています。

春が近づくにつれて「春闘」に関するニュースをよく耳にするようになりました。同じ業種の労働組合と連帯して「賃金を上げてほしい」「労働時間を短くしてほしい」など、様々な労働条件について要求を出して会社と交渉する春の交渉を「春季生活闘争(春闘)」と呼びます。
日建協では、加盟組合の皆さんとまず「賃金」の向上に注力すること、会社としっかりと「話し合う」ことを大切にしており、「賃金交渉」として取り組んでいます。
もちろん付帯要求として、各種手当や労働時間短縮の取り組みについても加盟組合間で情報交換を実施していて、加盟組合は自社状況に応じた交渉を進めています。



皆さんは「賃金」の持つ意味を知っていますか?
賃金用語としては、「賃金」は労働力の価格であり、「給料」は、賃金×労働量、つまり残業代などが含まれる個人別に支払われる報酬を指します。
 そして、この「賃金」には、3つの性格があるとされ、この性格が賃金決定に影響を与えているのです。

(1)労働力の供給価格(再生産費用) …生計費※
賃金は、労働者である私たちの唯一の生活の糧です。生活していくうえで必要なお金がなければ、十分な働きはできませんし、働き続けることはできません。

       

組合が統計や家計調査から「生計費」を算出して、
『現在の賃金水準は生活給』として交渉する根拠は
ここにあるのですね。

       

 ※生計費…生活を維持するために必要な支出。生活費。

(2)労働力の需要価格(雇用者の配分所得) …生産性
労働は資本と結合して生産活動を行い、それを通じて新しい所得(付加価値)を生み出します。その所得は、資本と労働に利益と賃金という形で配分されます。

       

配分するパイを増やす観点から生産性は重要です。
時短等による生産性向上もここに繋がるのですね。

       

(3)労働市場における労働力の需給価格 …労働力需給
賃金は労働力という商品の価格です。労働市場における需給関係によって、変動、調整されます。

賃金の決定には、これらの3つの性格に加えて、「労使関係」(労使交渉力等)も影響を与える要因とされていて、私たち組合員も重要な役割を担っています。これらを図で表すと下のようになります。

まずは「生計費」について、ライフステージから考えてみてみましょう。
生計費は、結婚や育児、住宅取得、車の購入など年を重ねるにつれて増加していきます。また、定年後のことを考えると貯蓄も必要ですよね。


○結婚(いつ結婚するのか?)        
○出生(子の人数は?出生時の年齢は?)
○教育(公立か?私立か?最終学歴は?)
○住宅取得(取得時期は?借入れ金は?)
○自動車(乗換え期間は?所有期間は?)
○余命    ○退職金   ○老後の生活 

これらの各ライフステージにおいて、理論上必要となる生計費を積み上げて算出し、「日建協個別賃金」として「先行」「標準」「必要」と3つの水準を設定しています。


「日建協個別賃金」は、諸官庁の統計や民間調査機関のデータはもとより、加盟組合の皆さんに協力いただいた家計調査結果などが活用されています。その内容は、老後の生活も見据えた、安定した生活を将来にわたって確保できる水準であり、産業としての働く魅力を確保していくうえでも「あるべき賃金水準」であると私たちは考えています。
また、加盟組合ではライフステージを自分たちで設定し、各年齢断面で必要な賃金水準を算定して、これを労使交渉に使っているケースもあります。
現在は、建設産業を取り巻く厳しい経営環境のため、一時金や年収の水準は概して抑えられたものとなっていますが、各加盟組合はそれぞれに「あるべき賃金水準」の目標を定めて、計画的に実現を目指しているのです。


ちなみに、日建協個別賃金は、物価変動等に対応する必要があるため、個別賃金専門委員会で3年ごとに検討されています。現在のものは、2009年1月に加盟組合から集まった皆さんと検討して改定されたものです。

「生計費」に続いて「生産性」について考えてみましょう。日建協では組合員の皆さんとワーク・ライフ・バランス実現のために、所定外労働時間を削減するための取り組みを進めています。
例えば、時短アイデア大賞で皆さんから時短に関する取り組みやアイデアを募集して水平展開したり、この機関誌Compass(No.787)でもタイムマネジメントの特集を組んだりしています。
こうした「個人の意識改革」「職場の早く帰る雰囲気づくり」「業務の効率化」といった私たちの時短の取り組みは、生産性を向上させる活動でもあります。私たちの生産性をさらに向上させていくことは、時短だけでなく、企業収益の向上や私たちの賃金改善にもつながっていきます。

これまで「生計費」「生産性(付加価値)」にふれてきましたが、これらは固定した要素であるため、「労使関係」の1つである「賃金交渉」は、賃金を決定するにあたって大切なものなのです。
「現在の年収では生計費に足りない、生活が苦しい。」
「住宅ローンの支払いが厳しい、貯金を取り崩している。」
「賃金が厳しくても、せめて休みを充実させてほしい。」
「雇用を優先して、安心して働けるようにしてほしい。」

こうした私たち組合員の声が、加盟組合が会社と交渉するにあたって、より良い回答を引き出す大きな原動力、‘交渉力’となります。だからこそ職場会、オルグ、一斉集会等は、私たち組合員の切実な思いを会社に届けるため、また、皆さんが所属する組合が会社と交渉する際の後押しとするために大切な取り組みなのです。


組合が作成する要求案は、職場会やオルグで私たちの声を集め、これを反映させて支部や本部で討議して決定されていますし、会社回答への対応についても私たちの声が決定付けます。
会社は業績や受注見通しなど組合と比べてより多くの情報を持つ立場にあります。そのような会社と交渉し、最大限の回答を得るためには、経営陣の気持ちを動かす私たちの熱い思いと、それを伝える生の声がとても大切なのです。

この他にも、賃金に限らず、労働条件向上のための施策を付帯要求している組合もあります。
単身赴任者の処遇改善、負担の多い部署の手当検討、労働時間短縮への施策、有給休暇や作業所異動時休暇の取得しやすい制度や雰囲気づくりなど、全ては私たちの声から始まるのです。

賃金交渉に向けて、日建協では毎年、社会・経済情勢をふまえた基本構想を策定・決議し、全加盟組合が連帯して賃金水準の向上に取り組んでいます。
今年度は1月14日にみなさんの代表が集まる機関決定会議を開催し、2011年賃金交渉基本構想を決議しました。この基本構想では、厳しい環境下だからこそ現状を乗り切るために、今いる社員を大切にし、企業の財産である「人」への投資を行うことで会社業績向上につながるとしています。社員一人ひとりが労働意欲や働き甲斐を高め、生活の安定を図るためにも定昇を確保するとともに計画的にベースアップを目指すことが必要なのです。

〜2011年賃金交渉基本構想 要求基準〜

全加盟組合は、連帯して日建協個別賃金水準の実現にむけて、賃金水準の向上に全力で取り組むものとする。

1.

月例賃金について

・全加盟組合は、定昇(賃金カーブ維持分)を確保する。
・加盟組合は、あるべき賃金水準に向けて、ベースアップに計画的に取り組む。

2.

一時金について

・加盟組合は、生活給として納得が得られる水準への引き上げに向け取り組む。

3.

初任給について

・加盟組合は、優秀な人材確保のため、他産業に見劣りしない水準として、
 学卒年齢22歳総合職において21万円以上の実現にむけて取り組む。

これまで見てきたように、賃金交渉は、会社に「私たちの思い」を伝える大切な取り組みです。厳しい労働環境の中で会社を支えてきた私たちが、安心して生活し、働けるように、会社への熱い思いをしっかりとぶつけましょう。そうすることで、会社から誠意ある最大限の回答を引き出しましょう。
そして、活き活きと働くことで生産性をさらに向上させ、会社を発展させて、賃金上昇、そんな好循環を目指し、実現していきましょう!

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・未来の技術者が見る建設産業・・・出前講座アンケート 
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